日本人の草食化が海外から注目の的に!「結婚がすべて」の考え方が自由恋愛を阻止しているとの見解
日本では成人における性交渉未経験者の割合が増加している
日本は現在、世界でももっとも出生率の低い「草食化」している国の1つです。
その理由として、成人における性交渉未経験者の割合が増加していることが示唆されています。しかし、これまでのところ、その事実に対する全国的なデータを使用しての調査研究は行われていませんでした。
この問題について、 東京大学大学院、医学系研究科国際保健政策学教室が1987年から2015年の間に実施された出生動向基本調査のデータを用いて調査を行い、その研究が11月9日付けでオープンアクセスジャーナル『PLOS ONE』に掲載されました。
そのため、海外の科学系メディアからも日本の草食化に関心が寄せられているようです。
草食化により日本の独身者が増加している
日本では、この30年間で独身者の割合が飛躍的に増加しています。
2015年には30代女性の4人に1人、30代男性の3人に1人が独身であり、その半数が「異性関係に興味がない」と回答しています。
日本のメディアではこうした現象を「草食化」と呼んで話題にしているのです。
疫学の専門家であり、今回の研究チームの1人である東京大学のピーター・ウエダ博士は、この草食化現象について「その定義も、本当に現象が存在するのかどうかについても、日本では10年前から熱く議論されてきましたが、全国的なデータが不足していました」と述べています。
そこで今回の研究では、日本の国立社会保障・人口問題研究所が1987年から2015年の間に、約5年ごとに実施した「全国出生動向基本調査」の収集データを用いて分析が行われました。
日本では18歳から39歳までの独身者の割合が、1992年から2015年まで間に、女性で220万人、男性で170万人も増加しています。
また同じ年齢層の独身者の割合は、1992年から2015年まで間に、女性で27.4%→40.7%に、男性で40.4%→50.8%に増加しています。
男性の独身率はかなり高い数値となっていますが、これは女性が平均的に自分より年上の男性と付き合う場合が多く、男性の既婚者は主に39歳以上に多いため、調査対象外だったことが原因と推測されています。
また、その他の要因として、18歳から39歳の男性の総人口が多いこと、男性は複数のパートナーと付き合う傾向が強いこと、男女で恋愛状況の報告方法が異なることなどが考えられます。
イギリスやアメリカと比べても、日本が独身者が多く草食化が進む
イギリスの「性生活調査Natsal-3」、およびアメリカの「総合的社会調査(GSS)」のデータと、日本の調査データを比較すると、ここでも日本の独身者割合の増加が顕著なことが示されます。
女性の独身者の割合は、若い年齢ではイギリス、アメリカ、日本で同程度ですが、年齢を重ねていくと日本の女性の独身割合が大幅に増加してきます。
18歳から24歳、35歳から39歳までの女性の独身である割合を比較すると、日本は65.6% → 24.4%、イギリスは41.5% → 14.0%、アメリカは62.2% → 16.6%となっており、日本の割合が高いことがわかります。
結婚以外の男女関係を認めない日本社会の弊害?
日本では1992年以降、独身者は着実に増加していますが、一方で現在「交際中」を自称する人の数は安定しています。
しかし30歳を過ぎると、結婚しているか独身かのいずれかになり、交際中という人はほとんどいなくなります。
日本では男女間の関係は結婚していることが社会的にもっとも受け入れられる大人の関係であり、それ以外の関係があまり認められない風潮があります。
これが日本で恋愛関係を形成するための障壁となっている可能性がある、とウエダ博士は述べています。
2015年の調査では、交際相手を見つけることに興味があると答えた独身者は、男性で65.7%、女性で62.9%と半数以上になっています。
恋愛に興味がないと答える日本人は若年層ほど多くなっており、18歳から24歳では男性の36.6%、女性の37.4%が恋愛に興味がないと回答しています。
この割合は30歳から34歳の年齢になると、男性で19.5%、女性で14.4%と、恋愛に興味がない人は大幅に減少します。
若い頃は1人のほうが気ままでいいと思っていても、歳を重ねてからでは時既に遅し、となってしまうパターンが日本には多いのかもしれません。
収入、学歴はやはり未婚と大いに関係している
出生率の低下や、未婚割合の増加についてよく話題にのぼる原因が、収入面や雇用の安定面における問題です。
研究では、男性の場合収入の低さは独身であることと強く関連していると述べています。
年齢に関係なく、既婚男性は定職に就いている場合が多く、収入ももっとも高くなっていました。逆に未婚の男性にはもっとも収入の低い人の割合が高くなっています。
既婚男性の32.2%は年収が500万円以上で、独身だが交際相手がいる人は8.4%、交際に興味がある人は7.1%となっています。
これは必ずしも因果関係を表しているわけではありません。未婚の男性の銀行口座に今すぐ1億円振り込んだとして、彼が恋愛に興味を持つかどうかは明らかにすることができません。
しかし、収入の低さや不安定な雇用が日本の恋愛市場において、大きなデメリットになっていることは明らかで、データは強い相関を示しています。
日本では、経済的地位の低さが、出会いの減少に寄与している可能性は研究からも示される事実のようです。
また学歴も同様の相関を示していて、高収入、高学歴は男女の結婚に深く関連していることが伺えます。これは欧米のデータでも同様の傾向。ただ、結婚はともかく、恋愛への関心にどのように影響するかはよくわかっていません。
なお、この調査は異性間での性交渉や交際が対象とされており、同性間の性交渉や交際は除外されています。
何にせよ、現在のパンデミックによる経済の低迷は、若年層の恋愛に対する関心を、さらに低下させる可能性は高いと考えられます。今後出生率を上昇させ、日本人を「肉食化」させるには安定した経済活動の充実が必要なのかもしれませんね。
マイコメント
日本における独身男女の増加の要因となっているのは何だろうか?
ある調査によると結婚は煩わしいことが多いということと収入が問題となっているという
点に集約されるそうです。
それと男女とも30代を超えると独身比率が高くなることが指摘されていますが、この
要因として収入が少なく結婚できる環境にないことが多いようです。
そして、すでに結婚している人は概して年収が高いという事実と照らし合わせると収入の
多い人との方が結婚しやすいということになります。
経済的問題はかなり大きそうです。
また、この記事でも指摘していることですが、日本では結婚以外の男女関係を認めたく
ない傾向が強く、それが男女交際におけるわずらわしさ(結婚の強要)という問題を
生んでいて、それならば独身でいる方が・・・ということになるのだろう。
それと結婚していない人は社会的にも認知されにくくなっている環境もあると思います。
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