「宇宙と脳は構造が似ている」と数学的に証明される! 宇宙は脳で脳は宇宙だった?
やはり宇宙は脳かもしれません
11月16日に『Fronties in Physics』に掲載された論文によれば、脳内のニューロンと宇宙の大規模構造の類似性を数学的に証明することに成功したとのこと。
脳と宇宙の間に、いったいどんな類似があるのでしょうか?
目次
宇宙と脳の不思議な類似性
多くのヒトにとって、脳と宇宙の関連性を意識させられたのは、2006年に『ニューヨーク・タイムズ』に掲載された一対の画像でした(上の図)。
この画像の左側はマウスの脳内のニューロンを赤く染色したもの、右側には宇宙に分布する銀河の大規模構造をシミュレートした結果が映されています。
両者の構造が非常に似通っているという事実は衝撃的であり、多くの人々の記憶に脳と宇宙の神秘的な関係を刻みました。
以前から両者の構造が似ている理由は、構成割合の類似性が原因ではないかといわれています。
人間の脳はおよそ860億個(うち小脳は690億個)のニューロンとそのネットワークで構成されている一方で、観測可能な宇宙には1000億個の銀河からなる「銀河の網」が存在します。
そしてニューロンと銀河は共に、それぞれの属するシステム(脳全体と宇宙全体)の質量のごく一部(30%未満)に過ぎません。
脳の場合は77%が水であり、宇宙の場合は70%がダークエネルギーです。
さらに両者ともに、その構造は網目とつなぎ合わされた結節点によって組織化されています。これらの構成割合と構造が類似性を引き起こしていたのかもしれません。
しかし脳と宇宙の類似性は、真面目な科学者にとっては、常に一歩引いて接する問題でした。
なぜならば両者の構造は一見して似通ってみえるものの、一方は生命活動の結果であり、他方は重力を主とした物理学的な力によって引き起こされた結果だからです。
そのため両者を混ぜて論じる試みは、控えめに言っても挑戦的過ぎました。
しかしボローニャ大学の天体物理学者のヴァッツァ氏とヴェローナ大学の脳神経外科医のフェレッティ氏からなるコンビは、そんな恐れからは無縁だったようです。
ネットワークの類似性を数学的に解明
ニューロン(特に小脳)と銀河の類似性を調べるにあたり、2人の研究者たちはまず最初に、双方の密度のゆらぎ幅に着目しました。
結果、小脳の神経回路網は最も密な部分が1マイクロメートル幅で、最も疎な部分が丁度100倍の100マイクロメートル幅で分布していることを突き止めます。
驚くべきことに、この密度のゆらぎ幅は、宇宙でも同じでした。
「銀河の網」の最も密な銀河間の間隔は500万光年であり、最も疎な部分はニューロンと同じく100倍にあたる5億光年だったのです。
自然界には網目状をとる多くの構造が存在しますが、密度のゆらぎ幅まで一致することは多くありません。
次に研究者たちは脳のニューロンネットワークと銀河の網の結節点の性質について調べました。
1つの結節点に3本の線が伸びている網と、100本の線が伸びている網では、同じ「網目模様」であっても大きく構造が異なる別物だと判断できます。
分析の結果、ニューロンの場合は1つの結節点に4~5本の軸索が伸びている一方で、銀河の網の結節点にはおおよそ4本の銀河の連なりが伸びていました。
さらにニューロンネットも銀河の網も、中央の結節点の周りに接続のクラスターを作りやすいという同じ傾向を示しました。
そして最も興味深い点として、ネットワークが記憶できる情報容量を比較した結果、両者はほぼ同じスケールの量を保持できることが判明したのです。
近年行われた他の研究でも、人間の脳のネットワークは理論上2.5ペタバイト、銀河の網は4.3ペタバイトの情報を記録できることを示しています(全てを情報記憶に使った場合)。
ネットワークが保持できる記憶容量は僅かな構造の違いが指数関数的な差をうみだすことが知られており、そのような意味では2.5ペタバイトと4.3ペタバイトは非常に類似性が高い記憶容量だと言えます。
どのような理由かは不明ですが、銀河の網の記憶容量は、経験豊かな人間の一生分の情報量にあわせたサイズになっているようです。
宇宙は誰の脳だろうか?
今回の研究により、人間の脳のネットワークと銀河の網の構造が非常によく似ていることが数学的に示されました。
この事実は、ニューロンと銀河を制御する物理学的な力は全く異なるものの、ネットワークの接続性に限れば、同様の法則に従って進化していることを示します。
研究者たちは、脳神経学と宇宙論の分野におけるこの奇妙な一致は、ネットワークについてより良い理解を可能にすると結論付けました。
宇宙が誰かの脳であるか、あるいは私たちの脳が誰かの宇宙であるのか…断言できる証拠は何もありませんが、この奇妙な類似性には今後も着目していきたいところです。
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