「民主国家としての日本が危ない」「コロナが怖いという空気が、法的にどうなのか?を押し流した」グローバルダイニング社長の長谷川耕造社長
22日、飲食店グループ「グローバルダイニング」が東京都に対し104円(1店舗につき1日あたり1円とし、時短営業の命令を受けた26店舗が時短営業した4日間分)の損害賠償を求め、東京都を提訴した。同日夜、『ABEMA Prime』にグローバルダイニングの長谷川耕造社長と、代理人を務める倉持麟太郎弁護士が生出演。訴訟の意味について話を聞いた。
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■「“感染、感染”って大騒ぎしているのが僕には理解できない」
グローバルダイニングの主張
グローバルダイニングといえば、かねてから時短営業に従わないことを公表、東京都に対し行政からの協力金などでは要請に応じられないとする弁明書を提出、その内容をSNSでも公開していた。 長谷川社長は「政治家に社名を公表すると言われ、“ごめんなさい。公表されるくらいなら、自分たちから“と1月5日に公表した。営業を続ける理由もFacebook上で説明しているが、緊急事態とは認められないのではないか、ロックダウンが有効なのか、具体的な支援が順当なのか。そういうことを説明してきた。それが神経に触ったのかもしれない」と話す。
そんな長谷川社長が訴えてきた新型コロナウイルスに対する認識は、次のようなものだ。 「今年1月にFacebookに投稿したことだが、例えばロックダウンもしていない、マスクも着用していないスウェーデンと、かなり苦しいロックダウンを繰り返しいるイギリスを比べてみると、10万人あたりの死亡率は全く変わらない。アメリカでも、共和党の知事がいるテキサス州と非常にうるさい民主党の知事がいるカリフォルニア州を比べてみても、10万人あたりの死亡率はそんなに変わらない。つまりロックダウンもマスクも全く関係ないということではないか。1998~1999年の冬、日本ではインフルエンザで3万3000の人が亡くなった。一方、新型コロナウイルスでも免疫が弱かったせいだろうが、8000人を超える方が亡くなっている。ただ、このうち86%位は70歳以上の高齢者で、なおかつ基礎疾患があった。そして20代の犠牲者は3名、30代が16名だ。これで“緊急事態”なのか。
そして国も都も、そして皆さんジャーナリズムも“感染”と“陽性”を一緒くたにして、“感染者数が増えた”と言っているが、死者数は激減している。今は春が来ているから収束しかけているのであって、そもそもドライな日本の冬に感染者数が増加するのは当たり前だ。インフルエンザや風邪だって冬に増えるし、高齢者が亡くなるのも冬が多い。また、ウイルスというのは免疫との戦いの中で変異するのが仕事。そうしなければ生き残れないからだ。僕たちが毎年のように風邪にかかるのも、ウイルスが変異しているからだ。こういうことは最初からわかっていたことだ。 それなのに“感染、感染”って大騒ぎしているのが、僕には理解できない。 だから感染症を乗り越えるためには、集団免疫を免疫かワクチンで作るか、両方を合わせるかしかない。うちの店にも去年の春頃からクレームが寄せられていたが、こうした僕の考えをまとめてホームページに載せ、取引先にも説明したところ、クレームは来なくなった。確かに会社の存亡にかかるような時期もあったし、稼ぎたい。だからきれいごとを言いたくはない。ただ、お客様や社会に害を与えることはないと確信しているからやってきた」。
■「このままでは民主国家としての日本は危ないのではと思った」
今回の訴訟にあたりグローバルダイニング側は、時短命令は病床使用率などが大幅に改善された状況で出されたもので、特措法上の要件を満たしていないとしている他、そもそも飲食店が主な感染経路という明確な根拠がないのに、一律で営業制限をする特措法は憲法違反だと主張している。 長谷川社長は「皆さんはコロナで辛い思いした人をご存知か?少なくとも僕は誰も知らない。ただ、時短営業など、行政の指導によって死ぬほど辛い思いをしている人はよく知っている。これって正しいのだろうか。僕らが弁明書を書いたのは、外食も含め、困っているサービス業の全てを一緒くたにするような、乱暴で恣意性も入ったものだったからだ。うちも申請したが、アメリカではPPP(Paycheck Protection Program)という制度があって、売り上げに沿って限度額を決めて借り入れを申請でき、2週間でお金が入った。その代わりに、命令に反して営業すると逮捕される。だからみんなが納得できる。それが日本は“常識”とか、“まあ、まあ”でやろうとする」と指摘。
「僕は法律の専門家ではないが、これを看過すれば、民主国家としての日本は危ないのではと思った。当初は1人で原告になるよりも集団訴訟的なものにした方がいいと思ったが、もう1カ所は僕らよりも筋が通っていて、罰金を払ってでも営業するということだった。うちから独立した人も含めて、業界から反対意見は聞こえてこない。外食産業というのは、お客様を喜ばせれば売上が上がるし、失敗すればお客様が離れて潰れてしまう、辛く、難しい、大変な業界だ。だからこそ政治とつるむ必要がないし、僕はそれが好きだ。逆に組織力がないから時短のターゲットにされたのかなと思う」と訴えた。
■「法の支配とか民主主義の脆弱さをいま一度問う」
一方、倉持弁護士は「損失を補償するための提起というよりも、露呈された日本の法の支配とか民主主義の脆弱さをいま一度問うということが中心だ」と説明する。 「高齢者や基礎疾患を持っている人、これに加えて、コロナというリスクに対応することによって、新たに自由を制限されている“コロナの弱者”たちがいる。たとえば一斉休校になった小中高生、非正規雇用、シングルマザー、大学生、そして飲食店の方々もそうだと思う。“なんとなくコロナが怖い”という社会の“空気”によって、“法的にどうなのか”、という議論が押し流されてしまった。
都のモニタリング会議によれば飲食店は感染経路として平均4%くらいだ。代理人として言っておくと、グローバルダイニングでも従業員の方はマスクをしていて、手の消毒をしていて、施設の消毒も最低限の感染症対策は行っている。そういう対策を行っている店にまで一律に時短する命令を出す必要はあるのかどうかを問いたい。なぜ都を訴えたかというと、命令を発出したのは小池百合子東京都知事だからだ。ただ、その命令の根拠となっている新型インフル特措法は国が作ったもので、これが違憲だという話をしている以上、その議論にもなる。ただ命令自体は21日に撤回されているので、国家賠償の中でしか争えないという制約はあったということだ」。
東京の小池都知事は「特措法にのっとった手続きだ。要請については丁寧に手続き通りの流れでこれまでやってきているということだ」と反論している。
倉持弁護士は「また、どこまでいったらダメで、どこまではいいのかということが不明確なまま、本来は従わなくてもいいはずの“要請”が事実上強制されることで、どんどん市民社会が萎縮してしまう。コロナに関して声をあげにくい、反対しづらいという空気が出てきているので、そういう声なき声を集約できないかなというのが今回の訴訟の意義の一つでもある。その発現形態として、今回は訴訟費用、さらにはコロナで困っている人に還元できないかと思い、クラウドファンディング『Call4』で募ることにした。数時間で300万くらい集まったのも、この空気感に閉塞感、違和感がある人が多いということではないか。訴訟でも、それを可視化したい」と訴えた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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