ルート案内アプリの不備と準備不足が背景に・・・
交通事故75件、交通違反が28件
五輪開幕から先月29日までの大会関係者による交通事故が都内で75件、一時停止無視、進路変更などの交通違反が28件あったと報じられました。
さらに1日には、首都高で五輪ボランティアの男性が運転する大会関係車両が車2台にぶつかる事故を起こし、立ち去ったとされています。女性2人がけがをして搬送されたとされた一方で、運転手は「スタッフを送ることを優先した」と警察に話したそうです。
開幕ギリギリまですったもんだ続きだった東京五輪ですが、開幕後も「準備不足」によるすったもんだが次々と明るみになっています。
いったい延期した一年の間、組織委員会は何をやっていたのか。
ボランティアの人たちにワクチンも徹底していなければ、組織委が導入した輸送システムアプリも不具合だらけ。「当て逃げ」は言語道断ですが、組織委は「運転手が足りない」と多くのボランティア応募者に伝え、「カーナビに従うだけなので大丈夫」と説明していたそうです。
ルート案内アプリが使い物にならない
ところが蓋をあけてみれば、目的地に到着する前にルート案内が終了したり、ルートが勝手に変わったりするトラブルが多発。そこで運転手の人たちは地図で行き先などを確認し、運行しているため行き先変更や待機時間などの細かい指示が伝わらず、別の目的地に選手を運んだり、選手の滞在先にバスが来なかったりする事態が起きているそうです。
んったく。アプリ一つ作れないってどうなってるんでしょうか。思い起こせば厚労省のコロナ接触アプリも全く使い物になりませんでした。
そもそも運転をする人ならわかると思いますが、首都高は乗り慣れた人でないと「えっとどの車線だっけ?」ってなりますし、競技場や選手村のあるお台場周辺もなかなか難しい。ましてや「大会関係者を乗せてる」という緊張感から注意散漫になって当たり前です。
アプリを渡して「一つよろしく!」でできるほど、「運転」って簡単じゃない。一歩間違えば車は「凶器」です。ケガをした女性2人が大事に至らないことを祈るばかりです。
運転手の宿泊施設はかなりの密
問題はそれだけではありません。なんと運転手の人たちが待機する選手村にある部屋も、バス運転手の宿泊所も、かなりの「密」だというではありませんか
宿泊所を訪ねた野党議員のツイッターによれば、「宿泊環境は聞いていた以上に悪い。小さな冷蔵庫と電子レンジが30人が使う共用スペースに各1台だけ。共同洗面所は狭くしかも仕切りがない」とのこと。
いったい組織委は「ボランティア」を何だと思っているのでしょう。
ボランティアの多くの人たちは、少しでも海外から日本に来てくれた人たちが「東京五輪、やってよかったね!」思ってもらえるようがんばってるわけです。
コロナ禍での開催で、「ボランティをやるべきか、辞退するべきか」を悩んだ人たちも多かったはずです。開催が決まり「自分が辞退したら困る人が多いだろう」と責任感だけでやっている人もいるかもしれません。
そういった「善意」を利用し、無茶な労働をさせるとは。「え?でも、ボランティアだし」とでも思っているのでしょうか。
国連ではボランティアを「個人が利益、賃金、出世を目的とせず、近隣、そして全社会のために行う貢献活動」と定義し、経済企画庁国民生活審議会は「自発性に基づく行為であり、慈善や奉仕の心、自己実現、相互扶助、互酬性といった動機に裏付けされた行動」としています。
ボランティアに参加する人たちは、こういった定義のことは十分理解したうえでエントリーしたことは明らかでしょう。
ボランティアを守る自覚のない組織委員会
しかし、無償でも「労働者」であることに変わりはなく、ボランティアを使う側には「ボランティア保護の責任」がある。なのに組織委にはその自覚がないのです。
組織委だけではありません。阪神淡路大震災以降、さまざまな分野でボランティアが活躍していますが、「保護」という視点が欠如しているのが日本です。
例えば、ドイツではボランティアに対する労災保険の適用が一部認められていますし、フランスではボランティアを派遣する団体には一般労働者と同様の社会保障制度に加入させる義務が課せられています。
とにもかくにも今回の東京五輪では、「日本の常識、世界の非常識」であることがさまざまな側面で明らかになりました。
五輪ボランティアの問題が続出してる今だからこそ「ボランティアを守る対策」に早急に手をつけ、日本でのボランティア活動のあり方にまで繋げてほしいです。
…今の日本じゃ無理ですかね。コロナ対策でも一年前からずっと同じことやってますしね。
みなさんのご意見、お聞かせください。
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