「太陽光パネル税」、美作市議会で可決、パネル1m2当たり「50円」

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太陽光パネル 政治・経済

「太陽光パネル税」、美作市議会で可決、パネル1m2当たり「50円」

税収の使途は環境保全と防災対策のほか、町民の生活環境の維持向上

岡山県美作市の市議会は、12月21日に定例会本会議を開き、美作市が導入を目指す「事業用太陽光パネル税」を創設する条例案を審議し、賛成多数で可決した。太陽光パネル税は、地方税法に基づく法定外目的税で、パネル設置面積に応じ、発電事業者に課税するもの。

 法定外目的税の創設には、議会で条例が可決された後、総務大臣の同意が必要になるため、これらの手続きを考慮すると、導入されるのは早くても2023年度からになりそうだ。同意する要件の1つである、国の政策との整合性に関して、総務省は、エネルギー政策を所管する経済産業省に確認すると見られ、総務大臣の判断には時間かかることも予想される。

 美作市の目指す「太陽光パネル税」は、1m2当たり50円を5年間、課税する。課税対象は、出力10kW以上の野立てタイプの事業用太陽光発電所で、建築物の屋根上に設置した太陽光パネル、連系出力50kW未満の低圧事業用太陽光のうち平坦な立地する案件は課税対象から外す。税収は1年で約1億円、5年間で5億円を見込んでいる。税収の使途(目的)は環境保全と防災対策のほか、町民の生活環境の維持向上としている。

 「1m2当たり50円」は、美作市の試算では固定価格買取制度(FIT)による太陽光発電事業では収入の0.75~2.5%、JPEA(太陽光発電協会)の試算では、1kWhあたり約0.3円に相当し、買取価格14円/kWhの場合、売電収入の2%になる。これらの負担感が再生可能エネルギーの推進にとってどう影響するのか、「エネルギー政策との整合性」での論点となる。美作市から他の自治体に波及した場合、影響は全国的なものになる。

 総務大臣の同意には、エネルギー政策との関係のほか、国税または他の地方税と二重課税にならないこと、という要件もあり、こちらについても、国税である固定資産税との重複が問題視されてきた。

法廷では「税の公平性」が論点に

 21日の定例会本会議では、複数の議員が反対の立場から意見を述べ、「カーボンニュートラルを目指す国の政策と逆行する」「国が再生可能エネルギーを推進するため、さまざま税制優遇を行っているなか、これらの効果を相殺する」など、エネルギー政策との不整合を指摘する内容のほか、「実体として固定資産税との二重課税になっており、取りやすいところから徴収するというのは、社会から受け入れられない」との意見もあった。

 美作市議会は、本会議に先立つ11月18日に有識者から意見を聞く機会を設けていた。岡山商科大学の岡本清代志名誉教授と、おかやま丸の内法律事務所(岡山市)の小寺立名弁護士が、いずれも太陽光パネル税に賛成の立場から意見を述べ、「パネル税は、発電事業という行為に課税し、その税収を環境保全に充てるという趣旨なので、固定資産税との二重課税にはあたらない」の見方を示していた。

 美作市議会で賛成した議員の多くは、この両専門家の考え方を引用しつつ、「県下でも太陽光発電所の多い美作市の将来を考えると、地域が太陽光パネルと共存していくうえで、有意義な税になる」との見方が目立った。

 一方で、反対した議員の中には、「太陽光発電所はすでに開発時点で、さまざま環境規制を受けて対応策を打っており、その上にパネル税を課すのは、ゴルフ場などほかの開発事業者と比較すると公平性に欠く」との意見もあった。

 今回、可決されたパネル税は、当初案を修正し、50kW未満の低圧事業用太陽光については、急傾斜地など災害リスクの高い立地にある場合を除き課税対象外にした。これにより事実上、低圧事業用サイトは納税義務者から外れ、課税対象は50kW以上の高圧・特別高圧連系太陽光に限定され、数社に過ぎない大規模発電事業者の狙い撃ちという側面が強まった。

 「税の公平性」は、法定外目的税の総務大臣の同意に際しての要件にはないものの、税制に求められる根本理念でもあり、かりに将来、美作市が納税義務者から裁判に訴えられた場合、法廷で大きな論点になる可能性がある

マイコメント

税の公平性という概念は国税や物品税の二重三重課税が公然と行われていることからすでに
崩れているので、むしろ税収の使途と目的の方が問題です。

単に市の税収を増やすことの方が優先されているような印象を受けます。
岡山県が太陽光パネル設置で環境の悪化や景観を損なっているかという点と、その税収でどの
ような対策を行うかということです。

すでに設置されているパネルを景観保全のために市が整備するのかと問われればそれは無理で
あり、むしろ太陽光パネル以外の目的に使われる可能性が高いように思えます。

それよりも環境保全のために設置条件の大幅な見直しをする方が大事なことではなかろうか?

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