無料配布「紙の時刻表」廃止の動き、高齢者からは存続求める声…ネットだと「閲覧に手間」
なくなると困る人もいるでしょう。誰もがネット使えるわけでない。
公共交通機関で無料配布していた紙の時刻表を廃止する動きが相次いでいる。
インターネットの普及が主な理由だが、新型コロナウイルス感染拡大による公共交通機関の利用者減少で廃棄が増えたことも要因だ。高齢者を中心に存続を求める声もあり、行政が代わりに発行する動きもある。
「紙時刻表の配布終了について」。JR新潟駅前にある新潟交通(新潟市中央区)のバス案内所窓口にはこうしたお知らせが貼られている。
同社は年2回のダイヤ改正ごとにA3判の時刻表1万部を発行していたが、昨年11月のダイヤ改正からやめた。代わりにネットの時刻表などを利用するよう呼びかけている。
新潟市中央区の無職女性(73)はバスターミナルに貼られた時刻表をスマートフォンで撮影しながら、「不慣れで時刻表のサイトを開くことができない。紙の方が見やすかったんだけど……」とため息をついた。
同社が紙の時刻表を廃止したのは、経営改善の観点からだ。新型コロナの影響で業績が悪化し、市から2億5000万円の財政支援を受けるなど厳しい経営状況が続く。
多くの路線を抱えるため、紙の時刻表は20種類を超えていた。一方で、スマホの普及で余剰も目立っていた。今回の廃止で数百万円の経費を削減できるという。
紙を望む利用者には時刻表を印刷するサービスを行っている案内所もある。同社乗合バス部の担当者は「厳しい業績が続く中、再配布は難しいが、利用者の要望にできるだけ応えたい」と話す。
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こうした動きは鉄道や旅客船でも。JR東日本新潟支社は3月12日のダイヤ改正をもって、壁貼り用と手のひらサイズの携帯用の無料配布を終了。佐渡汽船は今年、新型コロナ前の3年前と比べてA3判を半分の6万部、ポケット版を3分の1の1万5000部に減らして発行したが、「経営状態を考えると、今後廃止を検討する可能性がある」(総務課)とする。
廃止は利用者の減少だけでなく、環境面への配慮でもある。ほくほく線を運営する北越急行(新潟県南魚沼市)はポケットサイズを毎年約7万部発行していたが、新型コロナの影響で乗客が減ったこともあり、この2年間、約半分を廃棄していたため、3月12日のダイヤ改正で廃止した。代わりに新聞折り込みで沿線に配っている壁貼り用を例年より多く駅に置くなどした。
えちごトキめき鉄道(上越市)は昨年、時刻表を新聞折り込みで配布するのをやめたところ、沿線住民から問い合わせが相次いだため、今年はより見やすくデザインを変えて戸別配布するなどした。同社営業課は「ニーズがあるので、もっとしっかりしたものを作ろうと考えた」としている。
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交通ジャーナリストの鈴木文彦さんによると、紙の時刻表廃止は、昨年の京阪電鉄(大阪府)や小田急電鉄(東京都)、全日本空輸(ANA)など、ここ2、3年、全国で相次いでいる。
ただ、鈴木さんは「ネットの時刻表は閲覧に手間がかかり、一覧性にも欠けるため、不便さを感じる人は多い」と指摘。「紙の時刻表をアップするだけでなく、利用者が見やすい工夫が必要だ」と話す。
一方、市民の利便性と公共交通機関の利用促進のため、行政などが代わりに紙の時刻表を発行する動きもある。
上越市は北陸新幹線が開業した2015年から地元の鉄道や路線バス、乗り合いタクシーの時刻表をまとめた「総合時刻表」を作成し、全戸配布している。地元で路線バスを運行する頸城自動車はそれに合わせ、自前の時刻表を廃止した。同社乗合課は「費用や手間が少しでも軽減されるのは助かる」としている。
同市交通政策課の木南加奈子副課長は「『やっぱり紙がいい』という人はいる。市として地域の交通機関の利用促進につなげたい」と話している。
マイコメント
確かに紙の時刻表廃止で経費が数百万浮くかもしれませんが、これは乗客に対するサービス
対価と考えるべきなのでは・・・と、思います。
紙の時刻表は各家庭の壁に張るなどして利用されていると思いますが、田舎であればあるほど
高齢者が多いのでネットは使えない人も多いし、老眼で見づらい人もいるでしょう。
紙だと当凱線の時刻表だけでなく接続される各鉄道の時刻表や新幹線・バスなどの時刻表も
掲載されていてとても使い勝手がいいものです。
ネットだといちいちそれぞれの鉄道の時刻表を調べないといけないので面倒で時間もかかり
ますから嫌ですね。使い方に精通している人なら接続時間もすべて網羅しているサイトを
探すのが上手いでしょうけどね。
ここは紙の時刻表は残してほしいものだと思います。
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