【速報】岸田首相「今の段階でマスクの着用緩和は現実的ではない」
屋外マスク着用は不要と言う流れは否定していない
岸田首相は12日の参院厚労委員会で、新型コロナ対策のマスク着用の在り方について「今の段階でマスクの着用を緩和するのは現実的ではないと考えている」 と述べた。
岸田首相は「今の段階でマスクの着用を緩和するのは現実的ではないと考えている」とする一方で、「屋外で人との距離が十分取れれば、マスクの着用は必ずしも必要ではない。特に気温や湿度が高い時には熱中症のリスクが高くなるので、屋外で人との距離が十分である場合には、マスクを外すことを奨励している」と述べた。
屋外でのマスク着用については、全国知事会の平井会長が国に新たなルールの策定を求めているほか、東京都医師会の尾崎会長が「見直してもいいのでは」と発言している。
日本でマスクはいつ外せる?4人の専門家が解説
ワクチン接種が進むことで、世界では一足先にマスク着用義務の解除をめぐる議論が進んでいます。日本では、今後マスク着用について議論されていくのでしょうか。
アメリカは空港・機内でのマスク着用義務を撤廃
世界ではマスク着用の基準が着々と変化しています。具体的に各国の状況を見ていきます。
まずは、アメリカです。アメリカでは基本的に全面撤廃されている中で、CDC=疾病対策センターは2月の段階で、マスクを着用する際は「こんな時にしてください」という指針を全土に渡ってリスクにより地域別に色分けしています。リスクの低い緑と黄色に関しては「学校や公共施設など屋内は原則必要なし」、リスクの高いオレンジ色は「屋内での着用推奨も」という形になります。さらに、公共交通機関ではマスク着用を推奨しているものの、4月18日にアメリカの航空会社は、一部国際線を除く空港や機内でのマスク着用義務をなくすと発表しました。これに関しては賛否両論さまざまな声があがっている状況です。
徐々に緩和に舵を切る中で、新規感染者の数字がどう動いているのかを見ていきます。アメリカでは、1月に入って感染者数が100万人を超えることがありました。ただ、その後下がってきたところで、2月に入ってまずはニューヨーク州が屋内でのマスクの着用義務を緩和しました。その後も特段増えていないことがわかり「そこまで大きなリバウンドを見せなかった」という考えがアメリカにはあります。2月中にほぼ全ての行動規制を廃止したイギリス
続いてイギリスを見ていきます。1月27日に屋内公共施設でのマスク着用義務などを撤廃しました。そして2月24日には、新型コロナのほぼすべての行動規制を廃止。ジョンソン首相は「ウイルスとの共生を学んでいこう」と発言しています。
では、イギリスの新規感染者数の数字はどう動いているのか見ていきます。イギリスも1月には20万人を超えるような数字を見せていましたが、下がってきた1月27日に屋内の公共施設でのマスク着用義務を撤廃しました。新規感染者数は、3月頃にまた少し増えてきたのですが、今、再び減ってきている状況で、大きなリバウンドは起きていないということがいえるといいます。
韓国は屋外でのマスク着用義務解除を検討中
続いて、日本の隣国である韓国の状況です。規制が厳しいと言われている韓国ですが、4月18日に飲食店の利用時間や人数制限など規制の大半を解除しました。当初、この規制解除のタイミングに合わせて、マスク着用義務を撤廃するという話もあったそうなのですが、ひとまず屋内でのマスク着用は継続したといいます。5月にも屋外でのマスク着用義務を解除するか検討している状況です。
感染者数は、3月には60万人を超えるなどしていましたが、下がってきている今このタイミングでマスクに関する議論が始まっています。
“減少傾向”ワクチンの接種状況などが要因
マスクを外しても、アメリカ、イギリス、韓国では大きく感染者がリバウンドすることはなく減少傾向にあるのはなぜなのか。東邦大学 感染制御学の小林寅喆教授に話を聞きました。
東邦大学 感染制御学・小林寅喆教授:
いままで、ワクチン接種、ブースター接種がある程度進んでいるということが、まず1つの要因だと思います。イギリスは特に、ブースターのパーセンテージがかなり高いので、ワクチン接種に伴って感染者数が減少していると言えます。
東邦大学 感染制御学・小林寅喆教授:
またアメリカなどは、感染者数が非常に多かったということで感染による免疫を獲得している方も相当います。その中でも、オミクロン株になって、症状が非常に軽い方や無症状の方もいらっしゃって、潜在的に感染をしているかもしれないけれども、カウントされていない方が多くいらっしゃるということも減少傾向にある背景なのかもしれません。
では、日本はどうなっているのか、新規感染者数をみていきます。2月あたりに10万を超えていますが、“下げ止まり”ということも言われており、約4万人、5万人くらいの数字になっています。
各国の人口10万人あたりの感染者数と比べたところ、アメリカ、イギリスと比べてそんなに変わっていません。韓国だけが7倍近く多いという状況になっています。
それでも、韓国は解除の方向に行こうとしているわけですが、日本ではまだマスクを外す議論は時期尚早でしょうか。
東邦大学 感染制御学・小林寅喆教授:
これからの感染者数を見ながらということだと思います。ただ今の現状では、日本はまだ感染者数は多い状況にあるというのは間違いありません。ピークから比べてもそんなに大きく減っているわけではないので、これからワクチンの接種の状況によってどれだけ感染者数が減ってくるかで、また色々と議論が必要になってくるかと思います。
20日には、日本医師会の中川会長が「ウィズコロナの状況でマスクを外す時期は、日本において来るとは思っていない」と発言し、あくまでも新型コロナが収束したタイミングが外す時ではないかという見解を示しています。20日の東京の新規感染者数は6776人で、重症者も含めて9日連続で減少していますが、今度どのような対応になっていくのでしょうか。
日本でマスクを外せるのはいつ?4人の専門家が分析
日本ではマスク着用がいつまで続くのか、外すことができる時期は具体的にいつなのか。めざまし8は、専門家4人に話を聞きました。
浜松医療センターの矢野邦夫医師は、「今年の7月ではないか」としています。ただ、条件があり、「希望者への3回目のワクチンの接種終了」さらに「重症化を防ぐ効果を期待できる抗コロナウイルスの経口薬の普及」も必要だといいます。マスクの着用による熱中症患者が増えることへの懸念も合わせて考えていかなければならないということもあり、今年の7月からではないかという見解を示しています。
昭和大学の二木芳人客員教授は、「夏頃には議論されるのでは」としたうえで、いくつかの条件を挙げています。「3回目のワクチン接種」の割合が全体で7割以上、20代・30代が6割以上、かつ、高齢者や医療従事者は4回目の接種を受けた方がいいということです。そして1日の新規感染者数も全国で1万人以下、東京も1000人以下、さらに、新たな変異ウイルスが出てこないことに加え、これらを総理大臣がしっかりと記者会見で呼びかけてほしいということです。この条件を全て満たすのは難しいかもしれませんが、「検査・医療体制の再整備と高リスクの人の不安を低減させることが大事」だということです。
3回目のワクチン接種の進行状況を見ると、全体の接種率は49.2%ということで半分を切っていて、20代・30代はまだ20%台にとどまっています。
川崎医科大学の中野貴司教授は、いつ外せるのかという問いに対して「年内?」とクエスチョンマーク付きで回答しています。というのも、条件として、新型コロナウイルスの扱いが季節性インフルエンザなどと同じ「5類相当」に分類され、かつ、新たな変異ウイルスが出てこないということを条件に挙げています。マスクを外すのは国民が納得する時ということで、感染症法上の位置付けを見直すことも必要だといいます。
そして、東邦大学 感染制御学の小林寅喆教授は、「早ければ今年の夏(7月・8月)ごろ」ということで、条件としては1日の新規感染者数が全国5000人以下、東京は500人以下ということに加え、重症者が出ない状況が続くこと。さらに、いきなりマスクを全部外すのではなくて、段階的に最初は人が密集していない屋外。続いて換気が十分されていて会話が少ない公共交通機関。さらには、声を出さない屋内。その後は状況を見ながら…というような段階的な措置が必要ではないかということです。
東邦大学 感染制御学・小林寅喆教授:
ワクチンのブースター接種が順調に進んでいって感染者数が減少していけば、やはり夏に向けて、マスクをあえて取っていくということも必要になってくると思います。これから熱中症なども注意して過ごさなければならないですし、夏になるとお子さんたちも非常に苦しい思いをされるので、そこは屋外から。そこから換気の良い屋内の会話が少ない場所へと徐々に段階的緩和をしていくのがよろしいんじゃないかと思いますね。マスクを外すメリット・デメリットのバランスを考えていかなければならないと思います。
「収束してから」という線引きをどこに設定するか、専門家でも意見が割れる難しい状況です。
(「めざまし8」4月21日放送)
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