損失を出したら誰が補填するんだ? 岸田政権「貯蓄から投資へ」のトンチンカン
岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の実行計画原案として、個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)の加入対象年齢を65歳以上に引き上げる方針が盛り込まれた。現預金に偏る個人金融資産に対して投資を促すのが狙いで、少額投資非課税制度(NISA)の抜本的拡充も検討。年内をめどに「資産所得倍増プラン」としてまとめられる予定だ。
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「インベスト・イン・キシダ」「貯蓄から投資へ」
──。岸田政権のこの動きを受け、自民党の経済成長戦略本部がまとめたのが、<国民一人ひとりが「一億総株主」として成長の果実を享受できることが重要>という提言だ。
金融庁のホームページによると、<「貯蓄」とはお金を蓄えることで、銀行の預金などがこれに当たります。一方、「投資」とは利益を見込んでお金を出すことで、株式や投資信託などの購入がこの「投資」に当たります>とある。
つまり、当たり前のことだが、投資は利益を得る時もあれば、損失を出す場合もある。対象年齢が引き上げられるイデコも加入者が毎月一定額を拠出し、投資信託などで運用する制度だが、運用成績によっては将来受け取れる額が変わる可能性があるのだ。
政府が「貯蓄から投資へ」と旗を振るのは結構だが、仮に虎の子の年金資産などを株や債券に投じて大きく目減りした場合は、誰が補填してくれるのか。「成長の果実を享受」どころか、最悪の場合、「1億総ブラックマンデー状態」にもなりかねない。自民党内では「カジノよりは投資の方が成長戦略としては現実的」といった声もあるらしいが、もっと長期的視野に立った中身のある戦略はないのか。これでは「資産所得倍増」など夢のまた夢だ。
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