防衛費財源に法人税 金融所得、たばこ増税も検討―政府・与党、税調で議論へ
これから始まる大増税時代
政府・与党が、2023年度予算編成の最大の焦点となっている防衛費増額の財源として、法人税を軸に金融所得課税、たばこ税の増税を検討することが16日、明らかになった。与党関係者が同日までに経済界の一部に財源案の大枠を伝えた。11月から本格化する与党税制調査会の議論に向け、調整を進める。
政府は6月に決定した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」で、「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明記。自民党内では国内総生産(GDP)比2%以上への増額を求める声もあり、5兆円規模の安定財源の確保が必要となる可能性がある。
財源の柱とみられる法人税は、所得税や消費税と並んで、国の税収の多くを占める「基幹3税」の一つ。国税と地方税を合わせた実効税率は現在29.74%で、大企業を中心に負担。金融所得課税をめぐっては、1億円を境に非上場株式などの譲渡所得が多い「高所得者」の税負担が減少する「1億円の壁」の問題が指摘されており、富裕層に相応の負担を求める意味合いもありそうだ。
残るたばこ税は、国防費確保の観点からスウェーデンで税率引き上げの動きがあり、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)などが財源案として参考にするよう提言している。
いずれも関係者の利害が絡むため、税率引き上げの議論が難航するのは確実だ。政府・与党内には、候補に挙がる3税のほか、国防力強化の費用負担の公平性を保つ観点から所得税を支持する声や、相続税も浮上。与党ではまた、防衛費増額の財源の全額を国債で賄うべきだとの主張も根強い。財源をめぐる今後の議論は曲折が予想される。
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