(ノルドストリーム破壊の)背後に誰がいて、誰が利益を得ているのかは明らかだ

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コンビナート エネルギー

(ノルドストリーム破壊の)背後に誰がいて、誰が利益を得ているのかは明らかだ

日本人もそろそろ考えた方が良いエネルギー危機問題

東京ガス、数千億円で豪州のLNG権益売却

 
東京ガスは7日、オーストラリアで保有する液化天然ガス(LNG)の四つの権益を米国企業に売却すると発表した。売却額は数千億円程度となる見通し。調達の長期契約は継続し、日本への安定供給には支障がないとしている。 
 

 

 

まさか!?友好国オーストラリアが天然ガスの輸出規制?

私たちの生活に欠かせない、電気やガス。
その原料となっているのはLNG=液化天然ガスです。
日本が輸入するLNGのうちおよそ4割を占めるのが日本と友好関係にあるオーストラリアですが、今、そのオーストラリアでLNGの輸出を規制するかどうか検討する動きが出ています。
いったいなぜ?
要因を探りました。
(シドニー支局長・青木緑) 
 
 
 
日本が輸入するLNGのうち、最も多いのはオーストラリアからで37.2%、次いでマレーシアからが13.7%、中東のカタールからが11.9%、ロシアからが8.4%、アメリカからが8.1%などとなっています。(財務省2020年度の統計より) 
 

中東依存度が高く、国際情勢が緊迫するたびに供給懸念に悩まされる原油と比べて、LNGは政治情勢も安定している友好国オーストラリアからの輸入が多いということで、日本にとって大きな安心材料です。

Q. なぜ輸出規制を検討?

資源が豊富にあるのになぜ輸出規制が検討されるの?と疑問を持たれる方もいるかと思います。

きっかけは8月、日本の公正取引委員会にあたる「オーストラリア競争・消費者委員会」がオーストラリア政府に対し、LNGの輸出を規制する措置を検討するよう勧告したことでした。

 
 
 

規制が導入された場合、輸出には政府の許可が必要となり、国外向けの天然ガスの量が減る可能性があります。

委員会が勧告を出した背景には、ウクライナ情勢を受けた、世界規模での天然ガス価格の高騰があります。

特にヨーロッパでは、ロシアからのパイプラインを通じた天然ガスの供給がたびたび停止。代替調達としてLNGの需要が急速に高まっているのです。

 

委員会では「このままではオーストラリアからのLNGの輸出が増え、国内向けのガスが足りなくなる」として、輸出規制を検討するべきだと説明しています。

委員会の試算では、来年(2023年)、国内向けのガスの供給量が需要を1割程度下回ると予測しています。

Q. 資源大国なのに増産できないの?

資源大国のオーストラリア。天然ガスを増産すればいいのではと思う方も多いと思います。

しかし、ここに「脱炭素化」という世界の大きな潮流が立ちはだかります。

増産や新たなガス開発プロジェクトの立ち上げには資金が必要ですが、投資家の間では、化石燃料にかかわる事業からは資金を引き揚げるダイベストメントという動きも広がっていて、エネルギー企業も簡単には増産できない環境に置かれているのです。

 

さらに、石炭火力発電所の閉鎖が進む一方で、太陽光や風力などの再生可能エネルギーはまだ安定的な供給には至っていません。

その結果、オーストラリアでは天然ガス火力発電の需要が高まっていて、こんな状況で輸出が増えれば国内でガス不足になってしまうという委員会の勧告も分かる気がします。

Q. 日本への影響はどうなる?

仮に規制が導入された場合、日本にどれほど影響があるのかは、現時点では不透明です。

 

JETRO=日本貿易振興機構の高原正樹シドニー事務所長は「オーストラリアが輸出を規制する方向に動けば各国が入手できる天然ガスの量が減り、価格の上昇につながる可能性がある」と指摘しています。

一方、業界関係者の間では、影響は限定的だという見方もあります。

ガス不足が懸念されているのは、最大都市シドニーなどがある、国内人口の大部分が集中する東部地域。輸出規制が導入された場合、対象となるのは、東部にあるガス開発プロジェクトに限定される見込みだといいます。

日本に輸出されるガスの大半は西部や北部に集中しているため、即座に日本向けの輸出が規制されることはないと見られているのです。

規制の対象地域や内容によって、日本への影響の大きさも変わりそうです。

Q. 政治的に輸出規制なんてありうるの?

オーストラリアで輸出規制措置の仕組みが作られたのは2017年で、これまでに規制が実際に導入されたことは一度もありません。

ただ、2017年の当時のオーストラリアは、保守連合が政権を握っていましたが、ことし5月の選挙で、気候変動対策を重視する労働党に政権が交代しました。

 

そのため関係者の間では、脱炭素化を進める労働党政権として規制を導入する可能性は否定できない、という懸念も広がっています。

Q. 今後のスケジュールは?

オーストラリア政府は、遅くともことし11月までには輸出規制措置を導入するかどうか判断することになっていて、関係企業や輸出相手国と協議を進めています。

規制の導入を判断することになるキング資源相は次のように話しています。

 

キング資源相
「ガス産業に携わる海外の企業が、投資や雇用の創出などによってオーストラリアのために貢献してきたことに敬意を表する。 一方で、オーストラリア国民のためのガスの確保も重要だ」

Q. 日本はどう行動するべき?

オーストラリアが海外に輸出するLNGの4割は日本向けで、実はオーストラリアにとっても、日本は最大の輸出先です。キング資源相は「オーストラリアが『信頼・信用できる安定した貿易相手国』という評価を得てきたことを重視している」とも述べています。

これまでに続いてきた輸出が止まるような事態になれば、国際的なオーストラリアへの信用が下がることは間違いありません。

 

JETROの高原シドニー事務所長は「日本としては、規制が導入されれば、長年培われてきた両国の信頼関係を損ないかねないということを、オーストラリア側に訴えていく必要がある」として、政府や企業がオーストラリア側と話し合いを続けることが大切だと話しています。

資源大国オーストラリアの行方に、世界の関心が集まっています。

 

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