信号待ちのスマホ操作! サンダルでの運転! これって道交法違反?
信号待ちであればスマートフォンを操作すること自体は「ながら運転」にはならない
交通違反のように見えて交通違反じゃないルールとは
公道を走るドライバーが守るべきルールは、基本的に「道路交通法」に即したものとなっている。そもそも運転免許を持たない人が、公道でクルマを走らせてはいけないという法的根拠は、道路交通法に記されているほどだ(第64条)。
そんな道路交通法は、社会情勢に合わせて改正も繰り返している。最近でいえば、2019年に「ながら運転」が厳罰化され、2020年には「あおり運転」も厳罰化されたのは多く報道された。時代に合わせて進化しているのが道路交通法だ。
「ながら運転」が厳罰化されたニュースを見て、運転中にスマートフォンなどを使うこと全般が禁止されているという風に捉えているかもしれないが、そういうわけではない。
たとえば、ハンズフリーで通話することは禁止されていない。さらにいえば、携帯電話を保持しての通話や画面の注視を禁じる条項において『自動車等が停止しているときを除き』となっている。赤信号で止まっている状態は停止と見なされるので、じつは信号待ちであればスマートフォンを操作すること自体は「ながら運転」にはならないのだ。
もっとも、信号待ちで夢中になってスマートフォンを操作していると信号が変わったことに気付かなかったり、周囲の確認を怠ったりすることにつながるので推奨はできないが、信号待ちのタイミングで、画面を確認する程度であれば道路交通法的にはOKといえそうだ。
なお、道路交通法においても例外として『傷病者の救護又は公共の安全の維持のため当該自動車等の走行中に緊急やむを得ずに行う』通話については除くと規定されている。緊急事態であれば電話をすることは認められているといえる。
冒頭でも書いたように「あおり運転」は社会問題となっているが、あおり運転の被害を受けているときに警察に助けを求めるためであれば電話の使用もやむを得ないといえるだろう。
違反ではないが安全を考えたら装着するのが賢明
さて、道路交通法では古くからシートベルトの着用を義務化している。一般道では後席シートベルトの非着用についての罰則がないこともあって、義務と感じていないユーザーもいるようだが、じつはどんなときもシートベルトは着用しないといけないのだ。
これにも例外規定はある。よく知られているように、妊婦やけが人など「やむを得ない理由がある場合」はシートベルトの着用義務から除外されるとなっている。ただし、妊婦であっても、医師からシートベルトの着用をしないよう指示を受けていない限りは、万が一の事故を考えてシートベルトを着用すべきだ。
体型的にシートベルトを着用することが困難な場合も免除されることになっている。そのほか自動車を後退させるときもシートベルトを外していいとなっていたりするのだ。
また、シートベルトが適切に使えない乳幼児などにはチャイルドシートを使うことも、また道路交通法によって義務付けられている。チャイルドシートの使用自体は子どもの体形に合わせるべきだが、少なくとも6歳未満の幼児については、チャイルドシートを使わずにクルマに乗せることが禁じられている。
公共交通機関については例外とされているが、レンタカーなどでもチャイルドシートの貸出があるように、もはやチャイルドシートの使用義務については周知されているといえるだろう。
ただし、チャイルドシートの使用義務は明文化されていても、取り付け方法が適切かどうかまでは規定されていない。いい加減に取り付けたチャイルドシートに座らせても無意味ではあるが、法律的にはチャイルドシートに座らせていればOKということになっているようだ、残念ながら。
ちなみに、警察庁の発表によると、チャイルドシートが「適切な取付けができていた割合は65.2%」、「幼児を適切に着座させることができていた割合は49.5%」だったという。幼児のいる家庭では、あらためてチャイルドシートの取り付け方と座らせ方を確認してほしい。
ところで、自動車学校・教習所などではサンダル履きでは実技教習を認めていないことが多いが、サンダル履きは道路交通法で禁止されているのだろうか。
結論をいえば、サンダル禁止と明文化はされていない。『安全運転の義務』として、ドライバーはハンドルやペダル類を確実に操作することが規定されているくらいだ。
安全運転のためには、ペダル操作に難のある履物はNGであるし、ハンドル操作がしづらいであろう服装もNGだ。過去には袖の長い和服での運転が道路交通法違反に問われたこともあるという。
こうした観点から、サンダルでの運転はNGという話になっているのだ。ただし、サンダルといってもざまざまだ。木製の脱げやすいサンダルから、かかとをバンドで押さえて足にフィットするものまである。
クロックスのような踵部で固定できるベルト付きのタイプであれば即座にNGといえないだろうし、仮に運動靴であってもサイズが合っておらずブカブカであればNGだろう。
下駄やハイヒールなども運転に適していないことは言うまでもないが、ヒールの高さが何cmまではOKという規定がないのも事実だ。
どんな履物がNGなのか、都道府県の公安委員会が定めている細則で記されていることもある。禁止されていないものはOKだとすれば、裸足で鼻緒のついている履物(木製以外)であれば問題ないと読み取れる細則もある。なんにしろ、ドライバーとしてはミスをしないような履物を選ぶべきだ。
道路交通法では禁止されていると思いがちだが、じつは明確にNGとなっていない行為について見てきたが、いずれにしても安全運転を最優先する意識を大事にしてほしい。事故を起こしていいことなど何もないのだから。
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