「エンジンがないからといって安い課税水準でいいのか疑問」…え…?? 政府税調の考えるEV課税のチグハグさ
そもそも電気自動車の普及率は0.5%しかないのに何故今?
2022年10月26日、政府税制調査会(首相の諮問機関)は総会を開き、消費税や自動車関連諸税について議論した。参加した複数の委員から消費税の増税や(現在軽減措置を受けている)EVへの課税についての意見が出たという。自動車に関連する税金について議論するならば、まだ普及しておらず、普及を促進しなければいけない「EVへの課税」を考える前に、いままさに実施されている二重課税や、悪法としか言いようがない旧車への重税、「世界一高い」と言われている自動車関連諸税を見直すべきではないか。
■アクセルとブレーキを同時に踏んでいる
前提条件:(1)排気量2000cc (2)車両重量1.5t以下 (3)JC08モード燃費値 20.4km/L(CO2排出量114g/km)(4)車体価格242万円(軽は140万円) (5)フランスはパリ、米国はニューヨーク市 (6)フランスは課税馬力8 (7)13年間使用(平均使用年数:自検協データより) (8)為替レートは1=¥125、1£=¥143、1$=¥107(2020/4~2021/3の平均)※2021年4月時点の税体系に基づく試算 ※日本のエコカー減税等の特例措置は考慮せず/日本自動車工業会調
10月26日に開催された政府税調の総会では、「EVは、普及させるために多額の税金を投入しているうえ(車両重量が)重いので道路への負担が大きい。エンジンがないからといって安い課税水準でいいのか疑問だ」、「走行距離に応じた課税などを検討すべき」との意見が出たという。
昨年(2021年)の日本国内におけるBEV(電気自動車)の累計販売台数は約2万台強であり、国内総販売台数約445万台の約0.5%程度に留まっている。残り99.5%は「世界一高い」と言われている日本の自動車関連諸税を支払っており、そちらについていっさい言及せず、また二重課税や旧車への重税など問題の多い税制を改善しようとせずに、優遇税制を受けているEVについてだけ「課税方法を考える」という趣旨の発言は、「取れるところから取ることしか考えていない」と言われても仕方ないだろう。
もちろん今後EVは増えてゆくだろうし、時代の移り変わりに応じて税制を調整することは重要ではあるが、いっぽう現在EVに対して税率が軽減されているのは「2035年までにカーボンニュートラル社会を実現する」と決めた日本政府の方針に依る。こうした状況でEVへの課税を検討するのは、アクセルを踏みながらブレーキを踏むようなものではないか。
現在、日本国内の自動車販売は低下トレンドに入っている。1990年には約777万台だった国内年間新車販売台数は、上述のとおり2021年に約445万台まで下がっている。自動車産業は国内経済の基盤であり、雇用と景気を支える重要な歯車のひとつといえる。政府税調はこの30年間の日本経済全体の疲弊について、責任を感じていないのだろうか?
そもそもの話として、自動車産業は裾野が広く、クルマの製造や販売だけでなく、各種部品やアフターパーツ、燃料代や高速道路利用料のほかにも、人が動けば移動先で食事をし、名所旧跡などの観光名所に立ち寄って入場料を支払い、駐車して宿泊して、お土産を買う。多くの人がクルマを買ってクルマで動けば、経済全体が潤うことになる。本来は大事に育てるべきジャンルに対して、「クルマを買うこと」「持つこと」が、まるで「罰」のように感じられる税制はおかしい。
現在の自動車関連諸税は、「クルマを持っているということはお金持ちである≒なので税金をたくさんとっても大丈夫」という半世紀以上前の意識で組み立てられている。しかしたとえば高齢化が進む地方において、クルマは重要なライフラインのひとつでもある。そうした状況を税制に反映すべきではないか。
環境や社会情勢、人々の意識に沿って変えてゆくべきなのは間違いないのだけど、金の卵を産むニワトリを「食べられるから」といって調理してしまうような制度には、強く反対したい。
マイコメント
この記事ではEVの税制改正について書かれていますが、政府税調の目的は0.5%しかないEVに
あるのではなく自動車全般にあり、それはほぼ増税になるということです。
従って、本来の目的である走行距離税の新設から話をそらし、EV税制の変更に争点を当てて
論点のすり替えを行っているとしか思えません。
このグラフにあるように、年々下がり続ける燃料課税を何とかしようとしているのです。
2001年の8兆円と比較して20年後の2021年度には半分の4.1兆円まで税収が減っています。
これを2001年度の燃料税の税収に戻そうとしているのです。つまり増税です。
年々車の性能が上がり続けていて、その大きな改善点は燃費です。EV以外のハイブリッド車や
PHEV車の普及により、燃費はそれまでの12km/lから2倍以上の30km/lまで伸びた車が現れ
そうした車を所有している人が増えています。
これが燃料税の税収を大きく減らしています。
国民からすれば燃費が改善しガソリンを多く買わずに済むことはとても素晴らしいことなの
ですが、政府からすれば困ったことになるのです。
彼らの頭の中には国民の生活水準の改善なんか眼中になく、ただひたすら税収の増減だけです。
そこで政府税調が考えているのが走行距離に応じた税金を払うシステムです。
仮に年間1万キロ走った車が支払う燃料税はかってのリッター153円で考えると
153円からガソリン本体価格83円を引いた残りの70円が税金です。
これを基準に考えると年間1万キロ走れば燃費12km/lの車のガソリン消費量は830L、燃費
24kmの車であれば415Lとなります。
そうすると支払っている燃料税は燃費12km/lの車で58,100円で燃費24lkm/lの車で半分の
29,050円になります。いかに燃費が大きくガソリン税に関与してるかわかろうと言うものです。
そこで走行距離税をどのように設定してくるかはわかりませんが、仮に上記の燃費の車の平
均である18km走った場合に70円と設定されると燃費12km/lの車も燃費24km/lの車も同額
の39,000円の燃料税に相当する額となります。
従って燃費の良い車は増税となり、燃費の悪い車は減税となります。そうすると不公平感が
出てくるので、今のガソリン税を少し減らし(なくなりません)バランスを取ろうとするで
しょう。
結果的に見れば燃費の悪い車は今まで通りの税収になり、燃費の良い車は増収となり結果と
して燃料税が走行距離税に置き換わると増税になるということです。
政府税調の狙いはまさにそこにあります。
そのため0.5%しかないEV車がどうのこうのと言う問題ではないのです。
そして、走行距離税によって多大な被害を被るのが地方に住む人々です。地方では都会の
ように電車やバスの交通網が発達してないばかりか1時間に1本のローカル電車が走るので
待ち時間が多く、バスも年々運営費がかさみバス停が減らされています。
こうした状況にあるので車を使わざるを得ないのです。そして走行距離が都会に比べっれ
ば数倍ですから自ずと走行距離税を多く払わされることになり、都会に比べ年収の低い地
方にとっては生活水準の低下を招きます。
だから、走行距離税は国民にとって百害あって一利もないものなのです。
こうした記事に騙されないように政府税調の本当の目的を見ましょう。
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