「1億円の壁」是正検討 富裕層課税、市場配慮に課題 政府・与党
金融所得と勤労所得を合わせて1億円を超えると税率が下がるのを是正
政府・与党は2023年度税制改正の議論で、所得額1億円から税負担率が減少する「1億円の壁」の是正を検討する。
格差の固定化を防ぐ観点から富裕層を対象にした金融所得課税の強化などが浮上。少額投資非課税制度(NISA)拡充など市場活性化策との「合わせ技」で打開を探る。
1億円の壁は、一般的な給与が総額に応じて10~55%課税されるのに対し、株式譲渡益などの金融所得には一律20%が適用されていることから生じる。岸田文雄首相は昨年の自民党総裁選で是正を公約したが、その後株価が下落。「岸田ショック」との批判が高まり、見合わせた経緯がある。
財務省によると、20年に所得が1億円を超えたのは申告納税者650万人超のうち約1.9万人で、所得総額は約5.6兆円だった。このうち5割弱は非上場株式(27.4%)と保有5年以上の土地・建物(21.3%)が占める。上場株式は14.4%で、政府関係者は「市場に配慮した是正はできる」とみる。
ただ、与党の一部や証券業界などで慎重論は根強く、自民党の中堅は「所得が多いのは個人の努力の結果だ。増税はあり得ない」と反発する。富裕層の所得に占める割合が最も大きい非上場株の利益には、岸田政権が成長を促すスタートアップ(新興企業)の事業成功に伴うものも含まれるとみられ、単なる増税は起業意欲に冷や水を浴びせる恐れがある。
政府・与党は金融市場などに配慮し、中間層の所得向上につながるNISA拡充を検討する。若い世代が資産形成に踏み切れるよう、制度を恒久化する案や、運用益が非課税となる期間を無期限にする案などを詰める。スタートアップへの税制優遇も講じ、政策全体で均衡を図ろうと知恵を絞る。公明党税制調査会の幹部は「単に懲罰的に税を取るという話ではない」と強調する。
自民党税調の宮沢洋一会長は「金融市場の動向も勘案しながら年末にかけて議論する」と語る。12月中旬までの与党税調の審議で激しい討議が交わされそうだ。
マイコメント
ついに政府は岸田総理が就任早々言及し、市場の大反発を食らった高所得者の所得税の是正に
踏み切るようです。
金融所得に対する税率は、一律20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)となっています。特徴は金融所得がどれだけ高くても、負担する税率は同じ点です。
反対に、給与や事業で得た収入は「累進課税」が採用されます。所得が増えるほど税率も増えていく制度で、最も高い税率が45%です。
「1億円の壁」とは、所得税の負担率が所得1億円をピークに下がる現象です。通常は所得が高いと税の負担率も上がる「累進制」をとっています。しかし、1億円を超えている富裕層は税率が20.315%に固定されている「金融所得」を増やそうとします。
結果的に金融所得が増えても一律の税率なので、図表2にあるように1億円を超えると税負担率が28.8%から減少し始めます。
引用→https://financial-field.com/tax/entry-147548
図は→https://www.sankeibiz.jp/business/news/211007/bse2110070603001-n1.htm
こうしたことから政府税調はこれに対応するために以下のような策を取るだろうと言われています。
・総合課税に含めて給与などと合算して考える
・利益に応じて金融所得の税率を変える
もし、上記のような是正がなされた場合、勤労所得と金融所得が1億円を超える場合、税率が上がる
ことは避けられないだろうと思います。
しかし、一般国民から見れば1億円を超える所得者の税率を増やすならその分消費税を下げろという
声が聞こえてきそうな気がします。
政府は税率を上げることばかり考えていて下げるなんてことは一切考えないバランス感覚のない人
ばかりだという印象が一般国民にはぬぐえない気がします。
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