“スーパー耐性蚊”東南アジアで発見 同じ殺虫剤の継続的な使用で… 日本に入ってきたら?
もし、日本で繁殖して増えたら?殺せないから大繁殖する。
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今度は蚊です。
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25億匹の遺伝子組み換え蚊の実験的放流を許可
国立感染症研究所などのチームは、“殺虫剤が効かない蚊が増えている”ことを発表しました。
●1000倍の耐性
●日本にも侵入
●冬でも刺される?
以上のポイントを中心に詳しく解説します。
■“スーパー耐性蚊” ベトナム・カンボジアで発見
国立感染症研究所の葛西真治昆虫医科学部長らは、「スーパー耐性蚊」の存在を明らかにしました。
「ネッタイシマカ」という種類の蚊をベトナムやカンボジアの都市部4か所で採集して調べたところ、世界中の家屋で使われている標準的な殺虫剤、「ピレスロイド系殺虫剤」に著しく強い耐性を持つスーパー耐性蚊が約8割もいることがわかりました。これは遺伝子が変異したことが要因だといいます。
さらに、カンボジアの首都・プノンペンで採集された蚊には、“二重の遺伝子変異を持つ蚊”が7割以上を占めていて、この蚊に至っては殺虫剤に対する耐性が野生の蚊と比べて1000倍程度と桁外れに強い耐性を持つとみられているといいます。
■デング熱・ジカ熱など媒介 「ネッタイシマカ」とは
蚊は「世界で最も多く人間の命を奪う生き物」とも言われていますが、そもそも「ネッタイシマカ」とはどのような蚊なのか、確認します。
ヤブ蚊に属する蚊で、人を吸血する嗜好(しこう)性が高く、家の中の花瓶など水たまりで発生しやすいです。東南アジアや中南米など熱帯・亜熱帯地域に生息していて、日本ではかつて、沖縄、熊本、東京都の小笠原でも確認されたことがあります。現在、日本には生息していませんが、飛行機で国内に侵入し、国際空港で生きたまま捕獲されることがたびたびあったといいます。
ネッタイシマカは、デング熱やジカ熱など重い感染症を媒介する蚊でもあります。
デング熱は、日本では2014年に東京都を中心に70年ぶりに国内で流行し、大きな問題となりました。東京・代々木公園を訪れた人などが「ヒトスジシマカ」に刺され、デング熱に感染したとみられる症例が多数確認されました。当時は、代々木公園周辺の一部地域が立ち入り禁止となり、殺虫剤が散布されるなど問題になりました。
ネッタイシマカもデング熱などの感染症を媒介するのですが、「ヒトスジシマカよりも大規模な流行を起こす」と言われています。
■なぜ“スーパー耐性蚊”に? 同じ殺虫剤の継続的な使用で…
なぜ、ネッタイシマカの中に“スーパー耐性”を持つ集団が現れたのか、研究をした国立感染症研究所の葛西部長に聞きました。
ネッタイシマカは家の中にとどまることが多い性質があるそうです。そのため、同じ殺虫剤を継続的に使用したことによって、耐性を身につけた蚊が生き残って繁殖している可能性があるといいます。
つまり、いろいろなタイプの蚊がいて、たまたま殺虫剤に強いタイプの蚊が生きながらえたということです。
■日本に入ってきたら… 温暖化が進むと“定着”の恐れも
葛西部長は「決して日本も対岸の火事ではない」と話しています。では、どのような対策が必要なのでしょうか。
例えば、駆除をする場合は、「長年使われて耐性がついてしまった殺虫剤とは作用が異なる別の薬剤を用いて、殺虫効果を高める」という対策があります。そうした違う殺虫剤をローテーションしながら、駆除を行う必要があるといいます。
さらに、新しい薬剤の開発や殺虫剤に頼らない新たな駆除を進める必要があるといい、こうした対策を国などが進めることが急務だということです。
基本的に「ネッタイシマカ」は熱帯でしか生息できないので、日本では冬を越せません。ただ、夏になると入ってくる可能性は十分にあるため、水際対策が重要になってきます。さらに、温暖化が進んで1月の平均気温が3℃上がってしまうと、関東まで定着できるようになってしまうといいます。
過度に恐れることはありませんが、注意が必要だということです。
■日本にいる身近な蚊 冬はどうしている?
今、この時期に日本にいる身近な蚊についても確認します。冬の間、蚊はどう過ごしているのでしょうか?
(1)卵の状態で過ごしている
(2)どこかでじっとしている
(3)冬でも活動して吸血する
――実は、3つとも正解となります。アース製薬によると、蚊の種類で違いがあるといいます。
「ヒトスジシマカ」は寒さに弱く冬を越せないので、(1)の卵の状態で過ごしています。
(2)「どこかでじっとしている」のは、家に侵入してくるタイプの「アカイエカ」です。オスは冬の間に死にますが、メスは家屋の床下や押し入れ、げた箱など薄暗い一定の温度の場所でひっそりと冬を越しているといいます。
気になる(3)「冬でも活動して吸血してくる」蚊は、「チカイエカ」です。ビルの地下や地下鉄の側溝などの水がたまったところに発生する蚊で、北海道から沖縄まで全国で確認されています。もし、冬に刺されたことがあれば、ほぼこの蚊だということです。
蚊は身近にいる生物なので、こうした知識を身につけておくことも大切です。
(2023年2月21日午後4時半ごろ放送 news every. 「知りたいッ!」より)
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