日本は世界の金庫か?
【随時更新】岸田首相 キーウへ移動中 大統領と会談へ
インドを訪れていた岸田総理大臣は、すでにインドを離れ、現在ウクライナの首都、キーウに向かっています。21日中に到着し、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行うものとみられます。
政府 岸田首相がキーウ訪問し大統領と会談行うと発表
首脳会談では、岸田総理大臣がゼレンスキー大統領のリーダーシップのもとで祖国を守るために立ち上がっているウクライナ国民の勇気と忍耐に敬意を表し、日本と、日本が議長を務めるG7=主要7か国として、ウクライナへの連帯と揺るぎない支援を直接伝える予定だとしています。
また、ロシアによるウクライナ侵攻と力による一方的な現状変更を断固として拒否し、法の支配に基づく国際秩序を守り抜く決意を改めて確認するとしています。
そして、22日、ポーランドを訪問して首脳会談を行い、ウクライナ情勢をめぐる対応を含めた2国間や国際社会での協力強化を確認し、23日朝に帰国するとしています。
自民 茂木幹事長「現地情勢を直接確認することは大きな意義」
自民 森山選対委員長「無事にお帰りになるのを祈る」
立民 泉代表「帰国後に国会で報告してもらうことが重要」
その上で、「戦争が行われているウクライナへの訪問なので、当然、情報を一定程度秘匿した中で対応せざるをえないことは、われわれも理解している。帰国後に国会で報告してもらうことが重要だ」と述べました。
立民 岡田幹事長「何が求められているかしっかり話し合って」
その上で「G7広島サミットが行われ、日本が議長国であるという意味でも、直接会って意見交換することは非常に有益で、日本に帰国したら、訪問の意義を国会で話してもらいたい。戦争状態にあるウクライナに行くので、無事を祈りたい」と述べました。
日本時間の21日午前 ポーランドの駅からウクライナに出発
車列は、プシェミシル駅のウクライナ方面に向かう国際列車が利用するプラットホームの手前に直接、乗り入れました。そして、車列の1台目の車から、岸田総理大臣が降り、停車中の列車に乗り込みました。
このあと、岸田総理大臣に続き、外務省の山田外務審議官などの外務省関係者や、秋葉国家安全保障局長などの政府関係者が乗り込む姿が確認できました。段ボール箱に入った荷物を積み込む様子も確認できました。その後、列車は、各車両の扉を手動で閉めたあと出発しました。
ポーランドへはチャーター機を利用
岸田総理大臣のインド訪問にあわせて政府は、水面下で民間のビジネスジェットをチャーターしていました。
大リーグ、エンジェルスの大谷翔平選手が今月1日にアメリカから日本に帰国する際に使ったチャーター機と同じ機種で、10人あまりが搭乗できるということです。
チャーター機は、岸田総理大臣を乗せた政府専用機が出発する3時間あまり前、19日午後8時ごろに羽田空港を出発し、インドに向かっていました。
岸田総理大臣はインドでの一連の日程を終えたあと、空港に待機させていたチャーター機にひそかに乗り込み、日本時間の21日未明にインドを出発しました。そして、午前7時40分ごろウクライナに近いポーランド南東部の街、ジェシュフに到着しました。
政府としては、岸田総理大臣に同行する職員も最小限に絞るなど情報管理を徹底するためにチャーター機を利用したものとみられます。
岸田首相 インドからウクライナへ
岸田総理大臣は19日、日本をたってインドを訪れ、20日はモディ首相と首脳会談を行いました。
当初の日程では日本時間の21日午後、インドから帰国の途につく予定でしたが、岸田総理大臣は21日未明にチャーター機でインドを離れ、けさ、ウクライナの隣国、ポーランドのジェシュフに到着しました。
その後、国境に近い街、プシェミシルまで車で移動して、列車に乗り込みウクライナの首都、キーウに向かっています。そして日本時間の今夜、ゼレンスキー大統領と首脳会談を行うことにしています。
太平洋戦争後、日本の総理大臣が戦闘が続く国や地域を訪れたことはなく、日本の首脳によるウクライナ訪問は、去年2月にロシアが軍事侵攻を開始して以降、初めてとなります。
ゼレンスキー大統領との首脳会談で、岸田総理大臣は、G7議長国として、ロシアに対する厳しい制裁などで国際社会の結束を促すとともに、日本としても復興や人道面を中心に最大限のウクライナ支援を継続していく考えを伝えるものとみられます。
岸田総理大臣はゼレンスキー大統領との会談を終えたあと、再びポーランドに移動し、首脳会談を行うことにしていて、23日の朝に帰国することにしています。
ウクライナ訪問めぐる経緯
ウクライナには、去年2月の軍事侵攻開始以降、ヨーロッパ各国首脳らが相次いで訪問し、岸田総理大臣も水面下で模索してきました。
去年6月には、ドイツでのG7サミット出席にあわせて訪問することが検討されましたが、実現には至りませんでした。
最大の課題は安全の確保です。各国の首脳は、軍隊や特殊機関なども動いて訪問したとされていますが、日本の自衛隊には、海外での要人警護などに対応できる明示的な規定がなく、難航しました。
去年12月にも訪問の検討が行われ、関係国の協力を得て警護態勢の構築を試みましたが、ウクライナでの戦闘が激しさを増したことなどもあり、見送られました。
そして、ことしG7の議長となった岸田総理大臣。1月6日にはゼレンスキー大統領と電話で会談し、現地への訪問を要請され「検討する」と応じました。
政府内では「G7広島サミットまでに何としても実現すべきだ」という意見が強まり、十分な安全確保に向けて、関係国との調整を加速させていました。
各国首脳の訪問状況
去年2月の軍事侵攻開始以降、各国首脳は、相次いでウクライナを訪問しました。
去年3月、ポーランドなど東欧3か国の首脳が訪れ、ゼレンスキー大統領と結束を確認しました。
一方、アメリカは、ブリンケン国務長官ら高官が訪れたものの、バイデン大統領の訪問は実現しておらず、動向が焦点となっていました。
そうした中で、侵攻開始から1年になるのを前に、2月、バイデン大統領が電撃訪問し、国際社会を驚かせました。アメリカ政府高官の話として、訪問計画は、ハリス副大統領の周辺にも知らせず、極秘裏に実行されたことが伝えられています。
去年就任したイギリスのスナク首相や、イタリアのメローニ首相も、すでにウクライナを訪れています。
ウクライナ 日本に財政支援などで主導的な役割を期待
ウクライナ政府は、ロシアと対抗する上でG7=主要7か国との連携は非常に効果的だと考えています。
アジアで唯一のメンバーである日本からの強い連帯の意思の表明は、ウクライナにとって大きな意味を持っています。
G7のことしの議長国をつとめる日本には、欧米やアジアの国々の意向をとりまとめ、財政面や人道面の支援で主導的な役割を果たすことを期待しています。
ウクライナ側が特に重要視しているのが、「復興支援」です。NHKが先月、ウクライナの調査機関と共同で行った市民1000人に対する意識調査でもその傾向が浮き彫りになりました。
この中で日本がウクライナを支援するため国際社会で何ができるか尋ねたところ、「復興支援」が33%ともっとも多くなりました。
一方、意識調査で、日本がウクライナに対して行っている人道支援について知っているか尋ねたところ、「はじめて聞いた」という答えが61%ともっとも多く、日本が進めている人道支援があまり知られていない実情も明らかになっています。
日本がロシアに対する制裁措置に加わっていることもウクライナ側は評価していて、今後も経済的な圧力の強化や、ロシア軍の戦争犯罪の責任追及などを巡り日本の継続的な協力を期待しているものとみられます。
これまでの日本の支援
政府はこれまでに、ウクライナや周辺国などにおよそ15億ドルの支援を順次実施しています。
人道支援では、ウクライナや、避難民を受け入れている周辺国に、食料や生活必需品、医薬品などを提供しました。
また、ウクライナ国内の発電所などが破壊され、各地で停電が起きたことから、発電機などの供与も進めています。
さらに「防衛装備移転三原則」の運用指針を改正し、防弾チョッキやヘルメット、それに化学兵器に対応した防護マスクや防護服など、自衛隊の装備品も提供しました。
一方、ウクライナからの避難民の受け入れも進めてきました。出入国在留管理庁によりますと、これまでに2300人あまりが入国し、就労や教育などの支援を受けながら日本国内で暮らしています。
そして、岸田総理大臣は、ロシアの侵攻開始から1年となった先月、ウクライナに55億ドルの追加支援を行うことを表明しました。
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