チャットGPT マスク氏も「コントロールの限度を超えている」……“一時的に開発停止を” AIの第一人者「驚くほど速すぎる」
AIの開発中止を求めているマスク氏
■チャットGPT「複雑な問題」とは?
有働由美子キャスター
「『複雑な問題があり、慎重な検討が必要』。これは、『チャットGPTの開発は停止するべき?』という質問をして、当のチャットGPTが返した答えです」
「チャットGPTはグーグルなどで検索するのとは違い、何かを相談したら、世界中の論文など学習したデータにアクセスし、わずかな時間で返答してくれます。とても便利なものですが今、開発を一時的に停止すべきという声が上がっていて、署名活動も起きています」
「その中には、当初開発に出資していた実業家のイーロン・マスク氏まで参加しています。どういうことなのでしょうか?」
■急速に普及…日本の企業も興味津々
小野高弘・日本テレビ解説委員
「あまりに普及スピードが速いからです。今や日本の企業も興味津々です。4日、東京・渋谷区で法人向けチャットGPT説明会がありました。さまざまな企業がチャットGPTをどう活用したらいいか、そのノウハウを伝える新たなサービスが発表されました」
「このサービスを始めたITベンチャーは、例えば、営業のメールを代わりに書いてくれるとか、新入社員の歓迎会の案内文を書いてくれるなど、身近なところから始めてはどうかと提案しています」
■リスクも…マスク氏らの考えは?
有働キャスター
「便利ですからね」
小野委員
「便利な一方で、今後私たちが使っていくにあたり、心配なこともあります」
「信ぴょう性のない回答もあるのに、本当であるかのように思えてだまされたり、犯罪に巻き込まれる。より殺傷力の高い武器や毒物の作り方が相談できてしまうのではないか。そして何より、人が担ってきた仕事などを高性能なAIが奪うといった心配です」
有働キャスター
「だからストップしようと?」
小野委員
「マスク氏たちの考えは『AIの激しい開発競争で、人がコントロールして活用できる限度を超えている。そのため最新版の開発を半年間一時停止して、その間にみんなが安全に安心して使えるよう、ガイドラインのようなものを作ろう』というものです」
■専門家「開発の透明性向上で改善を」
有働キャスター
「ただ開発競争が激しくなることや、人を脅かすような可能性があるというのは、分かっていたことではないですか?」
小野委員
「東京大学大学院の松尾豊教授は『開発のスピードが驚くほど速すぎる。数年単位で起きる社会の変化が数か月単位で起きつつあり、社会の変化に対応した議論もこれでは間に合わない』と指摘しています」
「その上で『ただ競争である以上、開発を停止するのは不可能だと思う。それよりは、開発の透明性を高めて課題について改善を重ねていくほかない』と話しています」
■落合さんに聞く…「一時停止を」の背景
有働キャスター
「なぜ、『一時停止を』という声が上がったのでしょうか?」
落合陽一・筑波大学准教授(「news zero」パートナー)
「『止めろ』と言っている人たちの本音はおそらくシンプルです」
「チャットGPTを作っている『オープンAI』にユーザーが1億人集まるのはとても早かったですし、毎日1億人が使って、それがまた学習に使われているというのは非常に独壇場になっている、そのことが不満だという方々の非常に政治的なメッセージだと感じます」
有働キャスター
「自分たちも開発したいのに『待ってくれ』、ということですか?」
落合さん
「表でやめろと言いながら、裏でみんな作っているという感じです」
■「新しい道具にリスクはつきもの」
有働キャスター
「リスクがあると言われていますが、使う側の私たちはどうしたらいいですか?」
落合さん
「新しい道具が出てきた時にリスクがあるのはつきものです。むしろ、新しい道具が出てきたのに乗っていかないとうまく使えません」
「『リスクがあるから』と作らないでいると、作っている人たちに全部産業を取られてしまいますから、自分たちもきちんと作っていかないといけないのではないでしょうか」
有働キャスター
「ただ、使う時にリスクリスクとも言われるので、『どう使ったらいいの?』となりますが、とにかく今はただ使えばいいですか?」
落合さん
「使うといいますか作る、使って新しいもっと面白いものを作ったり、それによって社会が変わるのであれば変えていったりする必要があります」
「みんなが『やめろ、やめろ』と言っているのを真に受けている人は、みんながテスト勉強してないと言っているから勉強しない人のようになってしまうと思います。『みんな(テスト勉強)してなかったの?』と聞いたら、『してた』(と言われる)ような」
有働キャスター
「多くの学者が人類、社会が変わってしまうほどの可能性をこのチャットAIに見出しているということにもなります。ますます、使う人間側のモラルや知恵も問われることになりそうです」
コメント