増加する「若者のうちに結婚できない」若者たち

スポンサーリンク
財務省 少子化問題

増加する「若者のうちに結婚できない」若者たち

政府の「若者いじめ」によるお金の不安が婚姻数を減少させている

 日本社会を衰退させる「少子化」の原因として、平均初婚年齢がかつてより高くなったとする「晩婚化」が挙げられることがしばしばある。自民党の麻生太郎・副総裁も今年1月、講演で「(少子化の)一番、大きな理由は出産する時の女性の年齢が高齢化しているからです」と述べている。しかし、独身研究家・荒川和久氏は、「晩婚化など起きてはいない」と断言する。一体どういうことか。日本の人口の半分が独身者となる「超ソロ社会」の到来を予言し、家族をはじめとするコミュニティのあり方を検討した近著『「居場所がない」人たち』が話題の荒川氏が、統計データを読み解きながら、解説する。

 * * *
「若者の晩婚化が進んでいる」などとよくいわれるが、それは本当だろうか。

 確かに平均初婚年齢の推移を見れば、皆婚時代だった1980年には夫27.8歳、妻25.2歳だったのに対して、2020年には夫31.0歳、妻29.4歳となっており、これだけ見れば、晩婚化していると思うかもしれない。しかし、それだけで晩婚化と断ずるのはあまりに短絡的である。

 晩婚化としてしまうと「初婚の年齢が後ろ倒しになっただけで、いずれ結婚はするだろう」という安易な誤解を招く。百歩譲って晩婚化はあったとしよう。しかし、晩婚化は少子化の直接的な原因ではなく、むしろ本質的な原因によって生じた単なる表層にすぎない。

 では、実際に、ファクトを検証して、本質的な原因に迫ってみよう。

「若者が若者のうちに結婚できなくなった」

 2021年の婚姻数は約50万組である。2010年はまだ約70万組もあった。この10年ちょっとの間に28%減である。出生数は2010年約107万人から2021年約81万人で減少率は24%であるから、大騒ぎしている出生減より婚姻数の絶対減の方が深刻なのである。

 さらに、1980年から20年ごとの年齢別未婚人口に対する初婚達成率(対未婚人口)を男女別年齢別に比較したのが次の図である。

男性は25−34歳、女性は25−29歳での初婚達成率が激減している(『「居場所がない」人たち』より)

男性は25−34歳、女性は25−29歳での初婚達成率が激減している(『「居場所がない」人たち』より)

 初婚達成率とは、当該年齢層ごとに初婚数を未婚人口で割ったものだ。内閣府が出している少子化社会対策白書にも初婚率を掲出しているが、なぜか分母を有配偶も含めた総数で計算しているのでまったく妥当性がない。それでは、未婚者当たりどれくらい初婚したかの初婚率指標にはならない。私が独自に計算した初婚達成率は、各年齢層の初婚数を同年齢層の未婚人口で除したもので、より正確性が高いと思う。

 これによれば、男性は25−34歳、女性は25−29歳での初婚達成率が激減しているが、かといって晩婚化しているかといえばそうでもない。実は35歳以上で見るとほぼ変化はないのだ。女性に関しては、40年前も今も35歳以上の初婚達成率はほぼ一致している。男性に至っては、むしろ1980年より2020年の方が35歳以上の初婚達成率は下がっている。これを見る限り、男女とも晩婚化とはいえない。

 晩婚化というのであれば、少なくとも中高年の初婚達成率が上昇していないとおかしい。しかし、20代までの初婚達成率の低下に対して、それが決して30代以降に後ろ倒しになったわけではなく、35歳以上も40年前とたいした違いはないわけで、これは晩婚化ではなく、むしろ、「若者が若者のうちに結婚できなくなったから」だと解釈するのが妥当だ。

若者の可処分所得は減り、天引き負担は増えた

 若者が若者のうちに結婚に踏み切れない要因のひとつに経済的問題がある。

「失われた30年」といわれるように、給料が上がらない時代が続いている。実際、国民生活基礎調査に基づき、29歳以下の若者が世帯主の年間可処分所得の中央値を計算すると、2021年ですら、わずか272万円にすぎない。半分以上が300万円にすら達していない。1996年の可処分所得は281万円だったので、25年も前の20代より減っているのだ。

 平均給料が上がっても可処分所得だけが減る理由は、直接税と社会保障費負担の増額である。この25年間に、20代の若者はこうした天引きされる負担が、1996年の約63万円から約102万円へ1.6倍増にもなっている。ただでさえ少ない給料の上に、なぜか20代の若者たちが苦しめられ続けてきたという事実がある。

 この間、就職氷河期、リーマンショック、今回のコロナ禍という大きな経済的環境の悪化という荒波を受けている。この90年代から今に至る長い「若者いじめ」が、現在の婚姻数減少と無関係とはいえない。この期間に、可処分所得が上がらなかった世代とは現在の45歳以上の生涯未婚率対象年齢となりつつあるのだから。

 晩婚化など起きていない。起きているのは、若者が若者のうちにお金の不安により結婚できなかったことによる、結果的非婚があるだけなのである。

【プロフィール】
荒川和久(あらかわ・かずひさ)/広告会社にて自動車・飲料・ビール・食品など幅広い業種の企業業務を担当したのち独立。ソロ社会やソロ文化、独身男女の行動や消費を研究する「独身研究家」として、国内外のテレビ・ラジオ・新聞など各種メディアに多数出演。著書に『超ソロ社会』(PHP新書)、『ソロエコノミーの襲来』(ワニブックスPLUS新書)などがある。

※荒川和久『「居場所がない」人たち 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論』より一部抜粋・再構成

マイコメント

昨日も取り上げたように若者の貧困化による結婚を妨げているのは実は政府なのです。

税金をこれまで毎年のように上げ、社会保障費を上げ、年金徴収額を上げ、さらには復興税
環境税、消費税を上げ、政府関連企業による資格等の徴収額を上げ、徹底してお金を巻き
上げてきたのは政府なのです。

この30年間実質賃金が低下しているのに政府から徴収される金額は上がるという反比例の
力が働き生活が楽にならなかったのです。

それを今さら少子化対策だと言ってさらに国民からお金を巻き上げるやり方のどこが正しい
のかと言いたい。

本当に国民の生活力を上げるならば消費税をゼロにすればいちばん効果があるのです。
それをしない政府は国民をさらに貧しくさせて若者の結婚率を下げ、さらに少子化を進めて
いるとしか言えないのです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました