社会保険料 少子化対策財源への「流用」の大きな弊害とごまかし
もはやこの国はいかに国民を騙して金をむしり取るかしか考えてない
公的医療保険料を引き上げ、少子化対策の「支援金制度」に回す案が取り沙汰されています。日本総合研究所主席研究員の西沢和彦さんは、政府は「ウソにウソを塗り重ねようとしている」と言います。【聞き手・須藤孝】
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◇社会保険への信頼を利用している
――これまでは、社会保険料ならば負担しようという雰囲気がありました。
西沢氏 社会保険への国民の信頼は、今の日本の政治に対する信頼よりも高いでしょう。社会保険料から財源を捻出しようとする考え方は、その信頼を利用しようとしているのです。
――社会保険が信頼されてきたことには理由があります。
◆健康保険組合が象徴的です。健康増進の呼びかけをしたり、ジェネリック(後発医薬品)に切り替えたり、医療費を節約するための努力をしています。だからこそ、組合員は保険料を払います。
マンションの管理組合にたとえるとわかりやすいでしょう。管理費を払っているからこそ、清掃や保守点検などの費用についてはみな真剣に議論します。
負担と給付が結びついているから、費用を節約しようと思うし、保険料を払う気持ちにもなります。これが社会保険の核心です。少子化対策の財源に回せば、その関係が切れてしまいます。
◇逆進性がある
――社会保険料を税の代わりにすると弊害が大きいと指摘されています。
◆社会保険の特徴の一つは負担に上限があることです。上限を設けないと、現在の賦課方式のもとでは、富裕層が保険料を際限なく払えば、老後に際限なく給付を受けられることになって現役世代を苦しめます。そもそも社会保険の性格上、そこまでやる必要はありません。
また、社会保険料は基本的に賃金が基準になり、資産は対象外です。所得を失った時の保障という意味もあるからです。
助け合いの性格がある社会保険を、税のように再分配の財源として使うと、非常に不公平になります。
――もともとの考え方が違うということですね。
◆社会保険は給付に応じて負担する考え方です。給付を受けるならば低所得の人もそれなりに負担しなければいけません。
たとえば国民健康保険は所得比例部分と世帯人数比例部分があり、世帯の人数が多いとより多くの保険料を支払う仕組みがあります。世帯人数が多いほど給付が多くなるからという理由で、社会保険としては合理性があります。
ところが再分配を役割とする税として考えると、「家族が多いと負担が重くなる」という極めて逆進的なデメリットになります。
――社会保険料の引き上げは雇用に影響します。
厚生年金保険料などは基本的に正社員の賃金にかかるものです。引き上げは正規雇用を抑制し、非正規雇用を増やす方向に働きます。不安定な非正規雇用は少子化の原因として指摘されていることです。
◇子どもは財政を支えるために生まれてくるわけではない
――子どもが増えれば、社会保険の財政が改善するので、負担と給付はつながるという意見もあります。
◆入り口の考え方からおかしいと思います。子どもは社会保険財政を支えるために生まれてくるわけではありません。
社会保障制度の改革は負担を増やして給付を減らすことになります。国民を説得しなければなりません。一方で、少子化対策は子どもが増えなくても誰も責任を取りません。子どもにおしつけるのではなく、今、我々ができる限りのことをやるべきです。
現役世代から高齢者への所得移転の規模を抑えることをまず考えるべきです。年金給付の抑制や高齢者医療や介護の自己負担割合を見直すなどの手段をとるべきです。
――「増税はしない」ことが前提になっています。
◆政府は、増税というと聞こえが悪いので「支援金」です、と言いますが、それこそ「子どもだまし」です。ウソにウソを塗り重ねている感じです。
財源が必要ならば、はじめから正直に税で賄うと言うべきです。政府は増税というと国民が反発すると思い込んでいます。しかし、それは本当でしょうか。
――説得する努力を放棄しています。
◆国民は政治を信頼していませんが、政治も国民を信頼していません。まず、政治が国民を信頼しなければなりません。岸田(文雄首相)さんにはそこに気がついてほしいのです。
岸田さんの大先輩である大平正芳元首相は大型間接税(消費税)の導入を主張しました。国民を信頼していたからです。
時間はかかるかもしれません。しかし、きちんと説明すれば、大方の国民は納得すると思います。
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この記事はタイトルこそ国民側に立つようなものになっているが、中身はまるで違います。
社会保障費を財源にしてはいけないと言ってはっきり税金で賄うと公言し、消費税を上げる
べきだと言っているのでまさに提灯記事です。
そもそも、健康保険料は徴収書をみればわかるように、はっきりと「健康保険税」と書か
れています。
それを上げると政府が言っているのはまさに税金を上げると言っていることになり、これは
富むも者は優しく、貧しい者には過酷な税金です。
少子化の最大の原因は若者が貧しくて結婚に踏み切れないのと結婚しても育てていく経時的
余裕がないからです。それを子供一人数万円の支援金で誤魔化し、扶養控除を減らして取る
税金を上げてバランスを取ろうとする姑息さが問題なのです。
政府の計画している少子化対策よりも消費税をゼロにして法人税を上げれば国民の購買欲が
増し、経済の好循環が生まれ賃金上昇に結び付き、税収も増えるのです。
最初から国民から取りたてることしか考えない政府はアホと言うものです。
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