宇宙はこれまでの推定より2倍古い可能性。宇宙年齢を再定義、137億年ではなく267億年
これまでより古い宇宙年齢でも矛盾しない
これまで、宇宙の膨張スピードから導き出された宇宙年齢は137億年と推定されていた。
だが「光は長旅で疲れる」という古い仮説をあわせて考えると、じつはそれよりも2倍近く古く、267億年であるとする新たな研究結果が報告された。
宇宙では、宇宙そのものより古いとされる星や、年齢のわりに年老いて見える銀河などが見つかっているが、今回の研究はこの矛盾を解く鍵になるかもしれないそうだ。
遠くにある星々は、それが本来放っているはずの光よりも少しだけ赤く見える。その理由は、宇宙が膨張して光が引っ張られているからだ(とされる)。
すると、より赤みを帯びた光ほど、より長い距離を引っ張られた古い光ということになる。ここから宇宙の膨張率を求め、それを逆算することで宇宙が誕生した時期を推定する。
この方法によるならば、ビッグバンによって宇宙が誕生したのは137億年前ということになる。
それによると、遠くからやってきた光は”疲れている”のだという。つまりはエネルギーを失っている。すると周波数は下がり、波長が長くなる。だから赤くなる。
この「疲れた光説」は、さまざまな問題を抱えていたため、光の赤さは宇宙の膨張のせいであるという説が一般的になった。
だがオタワ大学の理論物理学者ラジェンドラ・グプタ氏によるならば、この2つの説はお互いに矛盾しているわけではないという。
むしろ、両者を組み合わせることで、異常なほど古い星がある理由や銀河が年齢以上に年をとっているように見える理由を説明できるかもしれない。
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した遠方の銀河 / image credit:NASA, ESA, CSA, STScI
結合定数とは、原始や分子のような粒子がお互いに作用する力の強さのことだ。
たとえば、磁石のS極とN極はくっつこうとする。このくっつき合う力の強さが結合定数だ。くっつき合う力が強ければ、結合定数は大きい。弱ければ、結合定数は小さいということになる。
一例として磁石を取り上げたが、この結合定数はどんな力にもあるものだ。そして、それは必ずしも一定ではなく、エネルギーによって変化する。
もしも結合定数が時間とともに変化し、それが光の動きを左右するのだとしたら、これまでの宇宙の年齢を求める計算は大幅に狂ってしまうことだろう。
このような考えからグプタ氏が導き出した宇宙の真の年齢は、一般的に言われているような137億歳ではなく、267億歳であるという。
例えば、恒星であるHD 140283は宇宙の年齢に匹敵するか、あるいは宇宙そのものより歴史が古いと考えられている天体と言われている。
HD 140283は、聖書に登場する最も長寿な人物「メトシェラ」(969歳で死んだと記述されている)の名前にちなんで、メトシェラ星とも呼ばれている。余談だが、同じ名をもつ世界最古の木も神秘的だ。
他にも、わずか3億年しか経っていないはずなのに数十億歳も年老いているような銀河なども発見されている。
だが、本当は宇宙がこれまでより2倍も古く、疲れた光のせいではるか遠くの天体の見え方が違ってくるのだとすれば、こうした謎をうまく説明できるかもしれない。
観測結果が予想とまったく違っていたとき、科学者はありとあらゆるアイデアを検証する。ときには古い理論を引っ張り出して、どうにか使えないか試してみることもある。
最終的にどのように説明されるにせよ、そうやって生み出された理論は、これまでよりも一歩進んだものだ。
この研究は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』(2023年7月7日付)に掲載された。
だが「光は長旅で疲れる」という古い仮説をあわせて考えると、じつはそれよりも2倍近く古く、267億年であるとする新たな研究結果が報告された。
宇宙では、宇宙そのものより古いとされる星や、年齢のわりに年老いて見える銀河などが見つかっているが、今回の研究はこの矛盾を解く鍵になるかもしれないそうだ。
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宇宙の年齢を推定する方法
宇宙の年齢を推定するのは、身長の伸びるスピードから子供の誕生日を当ててみるようなものだ。遠くにある星々は、それが本来放っているはずの光よりも少しだけ赤く見える。その理由は、宇宙が膨張して光が引っ張られているからだ(とされる)。
すると、より赤みを帯びた光ほど、より長い距離を引っ張られた古い光ということになる。ここから宇宙の膨張率を求め、それを逆算することで宇宙が誕生した時期を推定する。
この方法によるならば、ビッグバンによって宇宙が誕生したのは137億年前ということになる。
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過去の仮説を組み合わせることで真実の年齢が見えてきた
だが遠くの光が赤く見える理由についての説はこれだけではない。1929年、超新星研究の先駆者である天文学者フリッツ・ツビッキーは、また別の仮説を提唱している。それによると、遠くからやってきた光は”疲れている”のだという。つまりはエネルギーを失っている。すると周波数は下がり、波長が長くなる。だから赤くなる。
この「疲れた光説」は、さまざまな問題を抱えていたため、光の赤さは宇宙の膨張のせいであるという説が一般的になった。
だがオタワ大学の理論物理学者ラジェンドラ・グプタ氏によるならば、この2つの説はお互いに矛盾しているわけではないという。
むしろ、両者を組み合わせることで、異常なほど古い星がある理由や銀河が年齢以上に年をとっているように見える理由を説明できるかもしれない。
真の宇宙年齢は267億歳である可能性
グプタ氏のハイブリッド説は、宇宙の大きさについての天文学の常識は一応正しいということを前提にしている。だが、ここで「結合定数」というものを考慮する。結合定数とは、原始や分子のような粒子がお互いに作用する力の強さのことだ。
たとえば、磁石のS極とN極はくっつこうとする。このくっつき合う力の強さが結合定数だ。くっつき合う力が強ければ、結合定数は大きい。弱ければ、結合定数は小さいということになる。
一例として磁石を取り上げたが、この結合定数はどんな力にもあるものだ。そして、それは必ずしも一定ではなく、エネルギーによって変化する。
もしも結合定数が時間とともに変化し、それが光の動きを左右するのだとしたら、これまでの宇宙の年齢を求める計算は大幅に狂ってしまうことだろう。
このような考えからグプタ氏が導き出した宇宙の真の年齢は、一般的に言われているような137億歳ではなく、267億歳であるという。
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既存の宇宙理論の矛盾を解消
実際にこれまでの宇宙論ではうまく説明できない天体が見つかっている。例えば、恒星であるHD 140283は宇宙の年齢に匹敵するか、あるいは宇宙そのものより歴史が古いと考えられている天体と言われている。
HD 140283は、聖書に登場する最も長寿な人物「メトシェラ」(969歳で死んだと記述されている)の名前にちなんで、メトシェラ星とも呼ばれている。余談だが、同じ名をもつ世界最古の木も神秘的だ。
他にも、わずか3億年しか経っていないはずなのに数十億歳も年老いているような銀河なども発見されている。
だが、本当は宇宙がこれまでより2倍も古く、疲れた光のせいではるか遠くの天体の見え方が違ってくるのだとすれば、こうした謎をうまく説明できるかもしれない。
観測結果が予想とまったく違っていたとき、科学者はありとあらゆるアイデアを検証する。ときには古い理論を引っ張り出して、どうにか使えないか試してみることもある。
最終的にどのように説明されるにせよ、そうやって生み出された理論は、これまでよりも一歩進んだものだ。
この研究は『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society』(2023年7月7日付)に掲載された。
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