海外は再公営化の動きがあるのに、日本は水道事業などの重要インフラ事業を外資に売却
麻生大臣が水道民営化を約束していた
■上下水道観の老朽化の問題
水道管の法廷耐用年数は40年なのだそうです。
2018年度時点で日本中を走っている水道管の総延長約72万キロ(地球18周分)のうち、17.6%にあたる約13万キロが耐用年数を超えていると指摘されています。
2001年度は1.54%だった水道管の年間の更新率が2018年度は0.68%に低下するなど、老朽化する施設の更新が滞っているという現実があるようです。
人口減少や節水などの影響で使用水量が減り、料金収入による独立採算制である水道事業が財政難に直面していることが要因の一つだそうです。
その結果、水道管の事故が2019年度には全国で約2万件報告される事態になっていました。
■和歌山の事例
2021年10月には和歌山市の水道管が崩落して大規模な6万戸に断水が発生するという事故が起こった。
その後の調査で、2023年3月に地方公営企業法施行規則に基づく耐用年数の48年を迎える前に水道橋のアーチ部分から水道管をつっている鋼管製のつり材が腐食して切れたことが原因とみられた。目視による点検の甘さも指摘され、市は調査委員会を設けて原因究明を進めた。
老いる水道管、全国に13万キロ 更新阻む財政難 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
水道事業の不都合な現実、打開に必要な2つの連携 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
そして、2018年12月12日に厚生労働省が出した「水道法改正法案」が可決され、それによって、事実上の「水道民営化」が決定してしまいました。
国会で野党が安倍おろしのために「森かけ桜」ばかり取り上げ、それを連日報じるマスゴミによって、国民の目は、はるかに重要な問題から逸らされていたようです。
アンケート調査によれば、この水道民営化を国民の7割が知らなかった、との結果が如実に物語っているようです。
【改正水道法】水道民営化とは?水道民営化についてわかりやすく解説! (marutto.co.jp)
水道民営化によって起こるデミリットとして
水道料金が高くなる
水質が落ちる
などが挙げられていました。
具体例として、松山市は水道事業をフランスの水メジャーヴェオリアに買収されてしまい、それによって、短期間に水道料金が2.5倍になった、水がまずくなったなどの声が上がっています。
外資が水道事業で攻勢、仏ヴェオリアが松山市から受託 – 日本経済新聞 (nikkei.com)
アムステルダムを本拠地とする政策シンクタンクNGO「トランスナショナル研究所」所属の岸本聡子研究員は以下のような指摘をなさっています。
■フランスではむしろ水道事業は再公営化している
パリ市は1985年にシラク市長の時代に両社と25年間の契約を結び、水道の民営化し、パリの水道料金は民営化以降の25年で265%も値上がりした。この間の物価上昇率は70.5%だった。
その後パリ市は見直し作業を行い、2010年に再び水道を公営化した。
フランスでは2000年から09年までの10年間に再公営化が33件で。2010年のから激増し、2019年までの10年間で再公化は76件にのぼった。
創業の地であり、本社もあるパリでのビジネスを失った「水メジャー」。
近年、とつぜん日本で水道民営化の話が浮上することになったのは「新しい市場」として狙われたのではないか。
引用元:
なぜ日本で急に「水道民営化」の話が進んだのか 『水道、再び公営化!』 | BOOKウォッチ (j-cast.com)
■諸外国が再公営化を行った深刻な理由その2
コスト削減優先の民営化は、安全対策の手抜きを生んだ。
英国では1990年代に赤痢患者が増え、フランスでも未殺菌のままでは飲めない水が提供されるなどの問題が頻発した。
これに加えて、水道料金の高騰も各地で確認された。
民間企業である以上、採算がとれなければ話にならないので、公営以上に水道料金の引き上げは簡単に行われるため、例えばパリでは1985年から2009年までに265パーセント上昇した
Asanga Gunawansa, Lovleen Bhullar, Water Governance, p.378
世界の流れに逆行する日本―なぜいま水道民営化か(六辻彰二) – エキスパート – Yahoo!ニュース
「持続可能な水道事業の再構築」として、安易な水道事業の民営化しか思い浮かばなかったのか、結果的に水の安全までもが売り渡されかねず、実際、2020年に水質基準の見直しが行われて、農薬類の規制が大幅に緩和されていたようです。
2020年3月31日付の「長周新聞」の記事をそのままご紹介します
4月から水質基準見直し 農薬類の規制大幅に緩和
厚生労働省が今年4月から水質基準を見直す。
農薬類(7種類)の目標値変更や、新たな水質管理目標を設定するなど複雑な内容だ。そこには浄水で検出する農薬類の目標値を大幅に規制緩和する「見直し」も含んでいる。
厚生労働省は水質基準の見直し方針について「内閣府食品安全委員会による食品健康影響評価の結果を踏まえ、対象農薬リスト掲載農薬類(浄水で検出される可能性の高い農薬)3物質及び、その他農薬類(測定しても浄水から検出される恐れが小さく、検討の優先順位が低い農薬類)4物質について目標値を見直す」と明らかにしてきた。
同省が2月19日に開いた第2回水質基準逐次改正検討会で示した農薬類の目標値改正案は次の通り。
対象農薬リスト掲載農薬類
カルタップ
0.08㎎/L(現行0.3㎎/L規制強化)
ジクワット
0.01㎎/L(現行0.005㎎/L規制緩和)
プロチオホス
0.007㎎/L(現行0.004㎎/L規制緩和)
その他農薬類
セトキシジム
0.2㎎/L(現行0.4㎎/L規制強化)
チアクロプリド
0.03㎎/L(新規設定)
チオシクラム
0.05㎎/L(現行0.03㎎/L規制緩和)
ベンスルタップ
0.006㎎/L(現行0.009㎎/L規制強化)
そして厚労省は「このうち対象農薬リスト掲載農薬類については、パブリックコメント手続き(国民からの意見集約)、厚生科学審議会生活環境水道部会(3月23日に開催予定)を経て、見直しを行い令和2年4月1日から適用する」「その他農薬類については、厚生科学審議会生活環境水道部会における審議をもって、見直しを行い令和2年4月1日から適用する」と明記。
見直し理由については「令和元年12月末までに内閣府食品安全委員会による食品健康影響評価の結果が示され」「現行評価値と異なる評価値が得られたことから、見直しを実施すべき項目と考えられる」と説明している。
毒性強い除草剤や殺虫剤
だが今回、規制緩和対象になったジクワットは収穫前のジャガイモの蔓枯らしに使われる除草剤の一つだ。細胞毒性が強く、体内にとり込まれるとフリーラジカル(活性酸素)を大量に生み出し、体の各臓器に組織障害を引き起こす。それは腹痛、下痢、口の中のただれ、中枢神経障害、肝機能障害などをもたらし、最悪の場合死に至ることもあるという。
新たな水質基準はこのジクワットの目標値を現行の2倍(5000ng/L→1万ng/L)に緩和している。また有機リン系殺虫剤であるプロチオホスは現行の1・75倍(4000ng/L→7000ng/L)、稲やジャガイモの殺虫剤であるチオクラシムは現行の1.67倍(3万ng/L→5万ng/L)の基準緩和になっている。
もう一つうち出しているのは有機フッ素化合物のペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)の暫定基準値の設定である。この二つは消化薬剤、コーティング剤などに使われる。
毒性が強いため、世界的に製造・販売が制限されている物質だ。これまで「毒性評価が定まらない」ということで目標設定をせず、情報収集を進める「要検討項目」に位置づけていた。
ところが今回はそれを「水質管理目標設定項目」に変え、暫定目標値として0.00005mg/L(50ng/L)とした。それは事実上50ng/Lが浄水に混じることを容認する動きである。ちなみに国際的な基準は未設定で、目標値を定めている国が数カ国ある。その基準値(PFOS)を見ると
▽カナダ
=600ng/L
▽オーストラリア
=70ng/L
▽米国
=70ng/L
▽デンマーク
=70ng/L
▽イタリア
=500ng/L
▽スウェーデン
=90ng/L
▽オランダ
=530ng/L
▽英国
=300ng/L
▽ドイツ
=300ng/L
となっており、日本の目標値よりも高い数値を設定している。だが各国の目標値より数値が低ければ安全なのかは、疑問が残る内容といえる。
そして大きな問題は全国民の生活や健康にかかわる飲料水の基準が、ほとんど国民に情報を知らせず、活発な論議も経ぬまま変えられようとしていることだ。
このような状態が放置されることは、いつのまにか飲料水の水質が悪化しかねない危険をはらんでいる。
4月から水質基準見直し 農薬類の規制大幅に緩和 | 長周新聞 (chosyu-journal.jp)
こういうことが背景にあると以前から指摘されていましたが・・
麻生氏の娘婿は、フランスで化学系企業などを経営するデホングループの御曹司のフレデリック・デホンという人物です。
デホングループはヴェオリア・エンバイロメント(水処理、廃棄物処理、空調管理、街灯事業、ファシリティマネジメントサービスを提供)の資本提携先企業だそうです。
つまり、明らかな身内への利益誘導で、しかも国家の重要インフラを売り渡す売国行為ではないでしょうか?
ヴェオリア社日本法人からの出向社員が、内閣府の政策調査員として勤務していたことに対して 、社民党の福島瑞穂氏「利潤を最大に受ける可能性のある人間が、政策立案のところに行って、この法案を作っている。ズルじゃないですか」と追及。
参考:
水:日本の水道狙う「水メジャー」 仏ヴェオリアが宮城県で始動=吉村和就 | 週刊エコノミスト Online (mainichi.jp)
(注)デホン・グループ
冷媒、化学薬品、工業用ガスの製造を専門とするフランスの企業である。同グループは家族経営の会社で、1874年に設立された。冷媒ガス、エアゾール用推進剤、ハイテク用製品、合成中間体、エレクトロニクス用製品(基板組立用)、自動車メンテナンス用製品、技術用流体(冷却用製品、ウィンドスクリーンウォッシャー、メンテナンス用製品)などの特殊化学製品のリーダー的存在となっている。デホングループは40カ国以上(ヨーロッパ、アメリカ、アジア)に展開し、約550人の従業員を擁している。
crealis.dehon.com/fr/crealis-groupe-dehon.php
更に「水道法の一部改正」(令和5年5月26日法律第36号〔第3条〕 令和6年4月1日から施行、のようです。
水道法の一部改正(令和5年5月26日法律第36号〔第3条〕 令和6年4月1日から施行) | 記事 | PICKUP法令改正情報 | 新日本法規WEBサイト (sn-hoki.co.jp)
この方が生きておられたなら、ここまで自民党が売国政党に成り下がっていなかったかもしれず・・
眠ったままの日本人へ②~国家の「水戦略」を提唱していた政治家中川昭一 | eternalturquoiseblue(旧kamakuraboy) (ameblo.jp)
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