プラスチックのリサイクルは「まったく機能していない」。

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マイクロプラスチック 社会問題

プラスチックのリサイクルは「まったく機能していない」。

リサイクルされるのは全体の数パーセントで、あとは環境にバラ撒き続けられている

リサイクルされているのは全体の10%以下

プラスチック、特にマイクロプラスチックの問題は、そろそろ人体と環境へり影響として寛容できないレベルになってきているように思います。

以前から以下のような記事を書くことがありましたが、プラスチックは、人間の「生殖能力を低下させる」ことが示されています。

プラスチックが「100%の人々の体内に存在する」可能性が高い中、プラスチック製品に含まれるフタル酸エステルが「メスの妊娠率を著しく下げる」ことが判明。地球は全生物の不妊化へ?
In Deep 2019年2月19日

今やマイクロプラスチックは、地球のほぼ全環境にあふれています。

これは、海洋生物にも大きな影響を与えていることがわかっていまして、たとえば、海の食物連鎖の最初の存在ともいえる「プランクトン」も、日々、プラスチックにやられています

マイクロファイバーが体内に詰まった状態(円内)のプランクトン

indeep.jp

そして、この 3年、4年、大量に破棄されてきたマスクも、一部をのぞけば、おおむねプラスチックです。

この 3、4年の汚染は、マスクによりさらに大きく拡大したはずです。

これらの代償は大きいと思うのですが、しかし、これは「根本的にライフスタイルが変わらない限り、どうしようもならない」ことでもあります。

飲み物から食べ物まで何から何までプラスチックに包装されて販売されている現状では、多少の工夫をしたところでどうにもならないはずです。

それだけに大変に難しいことです。

先日、「プラスチックのリサイクルはまったく機能していない」という記事を読みました。各種の資料や論文がリンクされた信頼できる記事だと思います。

それによれば、ほとんどのプラスチック製品がリサイクルされていないことがわかります。

2017年7月のサイエンス誌より

2015 年の時点で、約 6,300 トンのプラスチック廃棄物が発生し、その約 9% がリサイクルされ、12% が焼却され、79% が埋め立て地または自然環境に蓄積された。現在の生産と廃棄物管理の傾向が続けば、2050 年までに約 12,000 トンのプラスチック廃棄物が埋立地または自然環境に捨てられることになる。

science.org

ここにはリサイクルされた率は 9%とありますが、他の調査などからの推定では、5〜 6%程度になるようです。

今後も、環境中にプラスチックが拡散、蓄積されていく状況はさらに続いていくものと思われます。

記事をご紹介します。

 


リサイクルは機能しない – プラスチック業界はそれを知っていた

Recycling Doesn’t Work—and the Plastics Industry Knew It
newrepublic.com 2024/02/26

業界は何十年も前からリサイクルが長期的には決して実現不可能であることを知っていたが、その結果、今では私たち全員がプラスチックによって汚染されている。

実際には、リサイクルできるプラスチックはほとんどない。

毎週の街頭回収から食品や飲料のパッケージにある「追跡矢印」のマークに至るまで、古いボトルや食品の容器をリサイクルすることの利便性についてアメリカ人がどれほど多くのメッセージを受け取っているかを考えれば、そのことを、多くのアメリカ人たちが知らなかったとしても無理はない。

しかし、これが現実だ。1990年から 2015年の間に、プラスチックの約 90パーセントが最終的に埋め立て地に送られるか、燃やされるか、環境中に漏洩した。最近の別の研究では、リサイクルに成功したのはわずか 5~ 6%であると推定されている(論文)。

これらの数字に驚かれるかもしれないが、プラスチックを生産する企業にとって、この種の統計は新しいものではない。気候健全性センターの新しい報告書によると、プラスチック業界は 30年以上にわたり、それらをリサイクルすることがいかに非現実的であるかを正確に認識していた。

ビニール協会と呼ばれる業界団体は 1986年の報告書で、プラスチックの「リサイクルは廃棄されるまでの時間を単に延長するだけなので、永久的な固形廃棄物解決策とはみなせない」と結論づけた。

プラスチックが焼却され埋め立て地に積み上げられる中、製造業者とそのロビイストはリサイクルを簡単な解決策として売り込み、プラスチックを禁止または制限する潜在的な法律を回避した 。

これらは何十年にもわたって、それぞれ人間の健康と地球に計り知れないダメージを与えている。

両業界はその代償を払っている。ビッグプラスチック企業も同様の清算をすることになっているのだろうか? ある意味、清算はすでに行われているが、まだそれが起こっていないだけだ。その理由は、業界の数十年にわたる欺瞞疑惑、環境正義の悲惨な記録、人間の血流へのマイクロプラスチックの大量拡散のためだ。

プラスチックとして知られる合成物や農薬、工業用化学物質は、今後数年間にわたって不確実な見通しに直面している。「全体として、世界の石油化学製品の価格は 10月にピークに達したようで、エネルギーと原料価格の下落を受けて 2024年初頭まで下落すると予測されている」とコンサルタント会社は明らかにし、2026年まで「供給促進による余剰」が予想されている。これにより、リサイクルが以前よりも現実的でなくなる。

 

2010年代にシェール革命が勃発すると、企業は豊富で安価なガスを利用するために米国で石油化学施設の建設を急いだ。これらの施設は有色人種の低所得地域に偏在しており、そこでは住民が高いがんリスク、呼吸器疾患、先天性欠損症に苦しんでいる

米国と中国は現在、ポリエチレンなどの一般的なプラスチックの製造に使用されるエチレンなどの工業用化学物質を余剰生産しており、新規に製造されたプラスチックの方がリサイクルされた代替品よりも安価になっている。

そのため、リサイクル業者が廃棄プラスチックの搬出に苦戦している一方で、市場に新鮮なプラスチックを大量に供給している企業は、プラスチックを生産するために行った大規模な投資をうまく活用するのに苦労している。

米国最大のプラスチックメーカーにはエクソンモービルとシェルがある。シェルは 2022年にペンシルベニア州ビーバー郡に巨大石油化学工場を開設した。同社の第4四半期決算会見で、プロジェクトの費用が当初の見積もりを超えて 130パーセントも高騰したことを認めた。

ピッツバーグ・ポスト・ガゼット紙の調査によると、工場の操業初年度は、エチレンを小さなプラスチックビーズに変換するポリエチレンユニットが、操業中に何度も稼働停止していたことが判明した。

シェルは今週、ビーバー郡施設のような「巨大プロジェクト」を削減すると述べ、イラクのバスラに新たな石油化学工場を建設する交渉から撤退すると発表した。

サウジアラムコのような大手国営企業を含む石油・ガス会社は、石油化学製品に大きな賭けをしている。米国化学協会やプラスチック工業協会などの業界団体は、プラスチックの使用を制限し、その生産で使用される毒素を規制する取り組みを中止または弱体化させるよう定期的にロビー活動を行っている。

私たちの食品、水道水、海、身体、さらには胎盤に至るまで、本当にあらゆるところに含まれるマイクロプラスチックの責任を負っている企業が、最も重大な問題をでっち上げたということは、訴訟や議会での公聴会で取り上げられる国家的スキャンダルであるべきだ。

これらは、米国の環境史における成功した破壊的な嘘だ。プラスチックは疫病であり、プラスチックを生産する幹部は、排除されるべきだ。

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