軍事だけでなく社会全体をアメリカの支配システムに組み込む約束をした岸田首相
まさに岸田はアメリカにとって最も使いやすい首相であり売国奴です。
岸田文雄首相は4月8日にアメリカを訪問、10日にジョー・バイデン大統領と会談した。アメリカは1992年2月に世界制覇計画(ウォルフォウィッツ・ドクトリン)をスタートさせ、日本をアメリカの戦争マシーンに組み込む方針を明確にしているが、それをさらに推し進めている。自衛隊はアメリカ軍の指揮に従って動く戦闘組織としての色彩をさらに強めることになる。
しかし、今回の会合で明確になったのは、科学技術や教育などの分野でアメリカが日本を支配する仕組みが強化されるということだ。日本はアメリカの完全な植民地になるとも言えるだろう。1995年2月にジョセイフ・ナイ国防次官補(同)が発表した「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」は日本をアメリカの戦争マシーンに組み込むという宣言だ。そこには在日米軍基地の機能を強化、その使用制限の緩和/撤廃が謳われている。
ウォルフォウィッツ・ドクトリンの中で、ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、新たなライバルの出現を防ぐことが謳われているのだが、細川護煕政権はその要求に従わず、「国連の機能強化への積極的寄与」を打ち出している。
その姿勢に怒ったネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンは友人のカート・キャンベル国防次官補(当時)を介してジョセイフ・ナイ国防次官補(同)に接触、日本の反抗的な姿勢を訴えた。キャンベルは現在、国務副長官を務めている。
日本では1994年6月に自民党、社会党、さきがけの連立政権が成立するのだが、そこから衝撃的な出来事が相次ぐ。例えば1994年6月に長野県の松本でサリン事件、95年3月には東京の地下鉄でサリン事件、その直後には警察庁長官だった國松孝次が狙撃された。8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われるスターズ・アンド・ストライプ紙が日本航空123便に関する記事を掲載、その中で自衛隊の責任を示唆している。日本政府に対する脅しになっただろう。
日本に対するアメリカの軍事的な支配は1995年に確立され、その仕組みの中で戦争体制が築かれてきたのである。南西諸島に自衛隊がミサイルの発射施設を建設した理由もそこにある。
アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書には、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画が記載されている。そうしたミサイルを配備できそうな国は日本だけだと分析されているのだ。
日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。
2016年には与那国島でミサイル発射施設が建設され、17年4月には韓国でTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が運び込まれ始めた。
2013年2月から韓国の大統領を務めた朴槿恵は中国との関係を重要視、THAADの配備に難色を示していたのだが、朴大統領がスキャンダルで身動きできなくなっていたことからミサイル・システムを搬入できたのである。結局、朴槿恵は失脚した。
THAADが韓国へ搬入された後、2019年に奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも自衛隊の軍事施設が完成、ミサイルが配備されることになる。そうした島々に配備されるミサイルは中国、朝鮮、ロシアに向き、必然的に中国、朝鮮、ロシアのミサイルに南西諸島は狙われる。
岸田政権は2022年12月16日に「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の軍事関連3文書を閣議決定、23年度から5年間の軍事費を現行計画の1.5倍以上にあたる43兆円に増額して「敵基地攻撃能力」を保有することを明らかにした。
今年4月10日の岸田とバイデンとの話し合いでも軍事問題は話題になったようだが、今回の岸田訪米で持ち上がった話ではない。日本は着実にアメリカの戦争マシーンに組み込まれているということである。今回の会談で目立つのは、先端技術の研究開発、経済協力、外交、教育などだ。
現在、イスラエルはガザで破壊と住民虐殺を繰り広げている。その蛮行を支えているのはアメリカ、イギリス、ドイツをはじめとする西側諸国の支援だ。懸念しているようなことを口にしても行動は破壊と虐殺を支えているのだ。
1982年9月にイスラエルはレバノンのパレスチナ難民キャンプ、サブラとシャティーラでパレスチナ人を虐殺している。実行したのはキリスト教勢力、ファランジスト党のメンバーだが、その黒幕はイスラエルにほかならない。ファランジスト党の武装勢力はイスラエル軍の支援を受けながら無防備の難民キャンプを制圧、その際に数百人、あるいは3000人以上の難民が殺されたと言われている。
今回の虐殺は4万人を超しているとも言われているが、3000人でも虐殺と言える。その虐殺を見て、イギリス労働党の内部ではイスラエルの責任を問い、パレスチナを支援する声が大きくなる。さらに、イスラエルを支えているアメリカへも批判の目は向けられてイギリスとアメリカとの関係に暗雲が垂れ込めた。
そうした情況を懸念したアメリカのロナルド・レーガン政権はイギリスとの結びつきを強めようと考え、メディア界の大物を呼び寄せて善後策を協議。そこで組織されたのがBAP(英米後継世代プロジェクト)だ。アメリカとイギリスのエリートを一体化させることが目的だが、その特徴のひとつは少なからぬメディアの記者や編集者が参加していたことにある。今回の虐殺で西側の有力メディアがイスラエルを後押ししている理由のひとつはここにあると言えるだろう。
そうした中、トニー・ブレアはイスラエルに接近。1994年1月に彼は妻と一緒にイスラエルへ招待され、3月にはロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介された。その後、ブレアの重要なスポンサーになるのだが、言うまでもなく真のスポンサーはイスラエルだ。アメリカだけでなく、イギリスにもイスラエル・ロビーが存在するのである。
そのブレアが労働党の党首になるチャンスが1994年に訪れる。当時の党首、ジョン・スミスがその年の5月に急死、その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利して新しい党首になり、1997年5月から2007年6月にかけて首相を務めた。。
こうしたブレアのネオコン的な政策に労働党の党員は反発、2015年9月からジェレミー・コービンが党首を務めることになる。労働党的な政策を推進しようとした政治家で、WikiLeaksのジュリアン・アッサンジを支援、イスラエルのパレスチナ人虐殺を批判している。
そうした姿勢に米英の支配層は怒り、アメリカやイギリスの情報機関はコービンを引きずり下ろそうと画策、有力メディアからも「反ユダヤ主義者」だと攻撃され、2020年4月4日に党首の座から引き摺り下ろされ、キア・スターマーに交代した。
スターマーはイスラエルに近く、妻ビクトリア・アレキサンダーの家族はユダヤ系だということをアピールしている。彼女の父系家族はポーランドから移住してきたユダヤ人で、テル・アビブにも親戚がいるのだということを宣伝していた。イスラエル軍によるガザにおける住民虐殺にスターマーは反対していない。
アメリカの支配層は自分たちの支配システムを強化するため、人のコントロールを重視する。アングロ・サクソンの支配者は留学で有望な若者を集め、自分たちにとって都合が良い考え方をするように洗脳して母国へ送り返すという手法をとってきたが、日本に対しても、その仕組みを強化しそうだ。岸田とバイデンとの会談でも新たな学生交流に力を入れ、日米の次世代リーダーを育成するとしている。
オーストラリア、イギリス、アメリカは2021年9月に「AUKUS」なる軍事同盟を創設したが、そこへ日本とフィリピンを加盟させる意向だとも言われている。
オーストラリアではAUKUSの戦略的意図を実現するため、教育、研究部門を積極的に参加させるとしているが、オーストラリア41大学のうち29大学がアメリカの国防総省から資金援助を受けている。そのうち主要8大学グループが受け取った金額は総額の79%を占めるという。研究自体より、アカデミー支配を目的にしているのだろう。教授たちをカネの力で籠絡するだけでなく、次世代のエリートを洗脳してアメリカの支配システムに組み込もうとしているはずだ。日本でも似たようなことが起こっているだろう。
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