米国で鳥インフルエンザにヒト感染2例目

アリアナ・ジョンソン
フォーブススタッフ

トップライン

2020年に始まったH5N1型鳥インフルエンザの世界的流行に関する最新ニュースである。最近、米国各州の家畜や世界中の海洋哺乳類の間で感染が拡大し、保健当局はこれを注意深く監視しており、専門家はウイルスが変異し、最終的にはヒトに感染する可能性を懸念している。
ニワトリが鳥インフルエンザのH7株に陽性反応

5月21日ビクトリア州保健省によれば、オーストラリアでは3月にインドに旅行した子供が感染し、初の鳥インフルエンザ患者を報告した。

月16日米国農務省は、牛肉に高濃度のウイルスを注入した後、ミディアムからウェルダンで調理した肉には痕跡を残さなかったが、低い温度で調理した肉からはウイルスが検出されたことを発見した。

5月14日米国疾病予防管理センターは、4月27日と5月4日に終わる週のインフルエンザA型廃水データを発表し、アラスカ、カリフォルニア、フロリダ、イリノイ、カンザスなど数州が異常に高いレベルであったことを明らかにした。

5月10日食品医薬品局は、商業用生乳供給の安全性を確保するために800万ドルを追加で拠出すると発表、また農務省は、鳥インフルエンザの蔓延を緩和するために1農場あたり最大28,000ドル、合計約9800万ドルを拠出すると発表した。

5月9日コロラド州公衆衛生局がフォーブス誌に語ったところによれば、コロラド州では約70人が鳥インフルエンザに暴露された可能性があるとして監視されており、何らかの症状が出た場合にはウイルス検査を受けることになっている。

5月1日農務省は、食料品店の牛ひき肉30品目について鳥インフルエンザの検査を行ったところ、すべて陰性であったと発表し、食肉供給が安全であることを再確認した。

5月1日食品医薬品局は、乳児用粉ミルク、幼児用ミルク、サワークリーム、カッテージチーズなどの食料品店のサンプルを検査した結果、鳥インフルエンザウイルスの生きた痕跡は検出されなかったと発表した。

4月30日世界保健機関（WHO）の世界インフルエンザ・プログラムの責任者である張文清氏は、鳥インフルエンザ・ウイルスは渡り鳥の移動によって一般的に広まるため、ニュース・ブリーフィングで「他の国の牛が感染する危険性がある」と述べた。

4月29日農務省はフォーブス誌に対し、牛の感染が発生した州の食料品店の牛ひき肉サンプルの検査を開始し、異なる温度で調理された牛ひき肉とウイルスに感染した牛ひき肉を検査し、食べても安全かどうかを判断すると発表した。

4月24日米国農務省は、牛が生乳に接触することにより牛から牛への感染が起きている可能性があるとし、感染の可能性を防ぐため、人間やペットを含む他の動物が殺菌していない乳を摂取しないよう警告した。

4月18日世界保健機関（WHO）のジェレミー・ファーラー主任科学者は記者会見で、鳥インフルエンザが進化し、哺乳類（陸上および海上）への感染が増加していることから、ヒトへの感染の可能性があることを意味する、ヒトの間で鳥インフルエンザが広がる脅威は「大きな懸念」であると述べた。

4月1日CDCは、感染した乳牛からウイルスに感染したテキサス州の酪農家が感染し、米国で2例目の鳥インフルエンザ人感染者となったと報告。

鳥インフルエンザは人の間で感染するのか？

世界保健機関（WHO）によれば、鳥インフルエンザは「人から人へ簡単に感染する」ことはない。CDCによれば、鳥インフルエンザが人に感染することはまれで、過去の症例のほとんどは、感染した家禽との密接な接触によるものであった。鳥インフルエンザのヒトからヒトへの伝播は「パンデミックの可能性」をもたらすため、ヒトの各症例はこの種の感染を除外するために調査される。確認された例はないが、中国、タイ、インドネシア、パキスタンなど、鳥インフルエンザのヒトからヒトへの感染が「可能性が高い」と考えられる世界的な事例がいくつかある。
鳥インフルエンザは人間に致命的か？

鳥インフルエンザは非常に致命的である。世界保健機関（WHO）の報告によると、2003年1月から2024年3月28日までの間に、鳥インフルエンザがヒトに感染したケースは888件あった。この888例のうち、463例（52％）が死亡している。現在までに米国でH5N1型鳥インフルエンザに感染したのは2人だけで、2人とも病気の動物と接触した後に感染した。最も最近のケースはテキサス州の酪農労働者で、3月に病気の乳牛と接触した後に発病したが、ピンクアイを経験しただけであった。最初のケースは2022年、コロラド州で感染した家禽から感染し、完治した。
鳥インフルエンザに感染した牛乳を飲んでも安全か？

FDAによれば、未殺菌の生乳は飲んでも安全ではないが、低温殺菌牛乳は問題ないという。鳥インフルエンザは未殺菌牛乳と低温殺菌牛乳の両方から検出されていますが、FDAは、未殺菌牛乳を飲むと鳥インフルエンザに感染する可能性があるため、未殺菌牛乳を製造・販売しないようメーカーに勧告しています。しかし、低温殺菌牛乳に含まれるウイルスの残骸は、低温殺菌の過程で熱により不活性化されているため、このタイプの牛乳を摂取しても安全であると考えられている。
鳥インフルエンザに感染した肉を食べても安全か？

CDCは、感染の可能性があるため、鳥インフルエンザに感染していると「確認された、または疑われる」動物の生肉や卵を食べないよう警告しています。しかし、CDCによれば、適切に調理され、加熱された肉を食べて鳥インフルエンザに感染した人はいない。米国農務省によれば、厳格な検査により、感染した肉が食品供給源に入る可能性は「極めて低い」ので、適切に処理され調理された肉は食べても安全である。食肉が適切に調理されたことを知るには、牛肉の全切れは内部温度が華氏145度、ひき肉は160度、鶏肉は165度まで調理されなければならない。レアやミディアムレアのステーキはこの温度を下回る。CDCによれば、内部温度が華氏165度で適切に調理された卵は、鳥インフルエンザを含むバクテリアやウイルスを死滅させる。「ジョージア大学食品安全センター所長兼教授のフランシスコ・ディーズ・ゴンザレス氏は、「鳥インフルエンザにかかっているかどうかは関係ない。英国に本社を置くMedivet社の獣医デイジー・メイ氏は、「安全策を講じる」ために、消費者は十分に加熱した卵のみを食べるべきであり、「黄身がしっかりしていて、水っぽい部分がない」ことを確認すべきであると述べている。
人間における鳥インフルエンザの症状とは？

鳥インフルエンザの症状には、発熱、咳、頭痛、悪寒、息切れや呼吸困難、鼻水、鼻づまり、喉の痛み、吐き気や嘔吐、下痢、目の充血、筋肉痛、頭痛などがある。しかし、CDCは症状だけでは診断できないとし、検査が必要であるとしている。検査には通常、鼻や喉（上気道）、重症患者の場合は下気道を綿棒で採取する。
鳥インフルエンザは卵の価格にどのような影響を与えているか？

米国農務省によると、家禽の間で鳥インフルエンザが発生したため生産量が減少し、今年の卵の価格は上昇している。米国では3月、大玉のグレードA卵1ダースが約2.99ドルで、秋からほぼ1ドル上昇した。しかし、この価格は鳥インフルエンザの流行で急上昇した2023年1月の記録的な4.82ドルからは下がっている。今月初め、国内最大の鶏卵生産者であるカル・メイン・フーズは、100万羽を超える採卵鶏とニワトリが鳥インフルエンザに感染して殺処分されたため、鶏卵生産を一時停止した。
なぜ養鶏業者は鳥インフルエンザに感染した鶏を殺すのか？

鶏が鳥インフルエンザに感染すると、鳥インフルエンザは家禽類への感染力が強く致命的であるため、ウイルスの蔓延を抑えるために農家はすぐに鶏を殺処分します。米国農務省は、鳥インフルエンザが原因で殺処分されたすべての鳥と卵の代金を農家に支払い、責任を持って病気の蔓延を抑えようとするインセンティブを与えている。非営利団体Food & Environment Reporting Networkによれば、2022年以降、農家への鳥インフルエンザ補償に米農務省は10億ドル以上を費やしている。
鳥インフルエンザ（h5n1）のワクチンはあるのか？

FDAはヒト用の鳥インフルエンザ・ワクチンをいくつか承認している。米国にはH5N1鳥インフルエンザ用のワクチンが備蓄されているが、もし人間の間で大流行が起こった場合、すべてのアメリカ人にワクチンを接種するには十分ではないだろう。もしヒトで発生した場合、政府はワクチンを大量生産する予定だが、全人口分を作るには少なくとも半年はかかる。承認されているワクチンのひとつを製造しているセキルス社は、鳥インフルエンザのパンデミック発生が発表されてから6ヵ月以内に1億5000万人分のワクチンを準備できると見込んでいる。鳥類用のワクチンは承認されているが、H5N1型用のワクチンはまだない。しかし、米国農務省は2023年にH5N1型動物用ワクチンの臨床試験を開始した。

主な背景

5月14日現在、CDCのデータによると、2022年以降、48州で9000万羽以上の家禽（主に鶏）が鳥インフルエンザにより安楽死させられ、9州で46頭の乳牛が陽性と判定された（鶏とは異なり、牛はウイルスから回復するようである）。米農務省は、野生の渡り鳥が牛の集団感染の元凶だと考えており、最近専門家たちは、このウイルスが変異して人間により広がりやすくなるのではないかと懸念しているが、CDCは一般市民へのリスクは依然として低いと述べている。ファラー氏は、米国での牛への感染を「大きな懸念」であるとし、公衆衛生当局に対し、状況を注意深く監視し続けるよう促した。アメリカ医師会の科学・医学・公衆衛生担当副会長であるアンドレア・ガルシア氏は、「2022年以降、哺乳類の鳥インフルエンザ感染が増加していることは、ウイルスが新たな宿主を探していることを示しているのかもしれない。2023年には10例以上の鳥インフルエンザ患者が世界保健機関（WHO）に報告され、1例を除いて全員が生存している。鳥インフルエンザは鳥の個体数に壊滅的な打撃を与え、2022年だけで67カ国から1億3100万羽の家禽の死亡が報告された。鳥インフルエンザは通常、野鳥や家禽に感染するが、発生時には他の動物にも広がり、2022年以降、少なくとも10カ国が哺乳類での発生を報告している。アルゼンチンでは2023年に約17,400頭のゾウアザラシの仔が鳥インフルエンザで死亡し、南米では同年少なくとも24,000頭のアシカが死亡した。牛以外にも、2022年以降、アメリカではアザラシ、アライグマ、クマなど200以上の哺乳類から鳥インフルエンザが検出されている。まれではあるが、犬や猫のような家庭で飼われているペットもウイルスに感染する可能性があり、FDAは感染の可能性を避けるため、殺菌していない牛乳を猫に与えないよう警告している。