「火種」はヨベルの年に解き放たれるのか : 2022年に巨大な戦争サイクルを予測
金融サイクル専門家の「極めて困難な時代が迫っている」という言葉を聞く
戦争サイクルと共にやって来る
何となくボーッとした空気が世に満ちているような気もしないでもない昨今ですが、一昨年になりますか、地政学および金融サイクルの専門家であるチャールズ・ネナー氏という方のインタビューをご紹介したことがありました。
ネナー氏は、
「世界人口の 3分の 1は次の戦争サイクルを生き残ることができない」
と述べていたのですが、それから約 2年が経った最近、また、チャールズ・ネナー氏がインタビューを受けていました。
2年前には、ネナー氏は以下のようなことを述べていました。
・2023年までに巨大な戦争サイクルが開始される
・債券のカタストロフがある(債券市場の崩壊)
・株価の強烈な下落がある
・今後、食糧価格が下がることはない
・金(ゴールド)価格は長期的に著しく上昇する
などを述べていたのですが、食糧価格の上昇などを除けば、その多くは、2024年現在訪れてはいません。株価などはアメリカも日本もイケイケ絶好調ですしね。そもそも、世界人口の3分の1などを毀損するような戦争自体もまだ起きてはいません。
とはいえ、様々な状況が微妙な感じとはなってきているわけでもありまして、そのネナーさんの最新のインタビューからの抜粋をご紹介させていただきます。
なお、私はネナーさんというのは、アメリカに住むアメリカ人だろうと勝手に思い込んでいたのですが、
「イスラエル北部のレバノン国境に住むネナー氏は…」
という下りがあり、つまり、仮にイスラエルとレバノンに地域戦争が起きた場合、その最前線に住まれているようなんですね。
イスラエルとレバノン(ヒズボラ)が全面戦争になるかどうかはわからないままですが、仮にそうなれば、中東地域だけではなく影響は大きそうです。
(記事)イスラエルがレバノンを攻撃すれば「殲滅戦争」を行うとイランが警告
BDW 2024年6月30日
ともかく、まずはネナー氏のインタビューです。ネナー氏ご自身は、写真を見る限り、人の良い放浪系老人といった感じの方です。
非常に困難な時代が迫っている
Very Hard Times are Coming – Charles Nenner
USA Watchdog 2024/06/29
著名な地政学および金融サイクルの専門家チャールズ・ネナー氏は、巨大な戦争サイクルと金融経済サイクルの急落について、これまで警告してきた。
今週、ネナー氏の戦争サイクルは「まっすぐに上昇」し、経済サイクルは「まっすぐに下降」した。
しかし、次の大きな紛争は、今のところウクライナや台湾では起こらないだろうと言う。6月29日の新聞の見出しは、「イスラエルがレバノンを攻撃すれば『殲滅戦争』を行うとイランが脅迫」というものだった。
ネナー氏は、地獄の門が開こうとしていると言う。レバノンのヒズボラ、イラン、トルコは、イスラエルとの戦争が激化している重要なプレーヤーだ。
イスラエル北部のレバノン国境沿いに住むネナー氏は、自宅近くで 100発のロケット弾の集中砲火を受けた直後に USA ウォッチドッグのインタビューを受けた。
ネナー氏は、「このあたりに住む子どもたちは 1年間学校に行っておらず、昼夜を問わずロケット弾の攻撃を受けています。非常に奇妙な状況です」と報告している。
「私が理解できないのは、イランが率いるアラブ抵抗勢力が、ガザで何が起きたのかを見ていなかったことです。もしこれ(イスラエルによるレバノンへの攻撃)が本当に起これば、レバノンは地図から消えてしまうでしょう」
「…どうして私がこんなことを知っているのか? 私は世界のいくつかの政府と仕事をしているので、こんなことを知っているのです。…1960年代に戦争があり、キプロスの半分はトルコ領になり、残りの半分はギリシャ領になりました。トルコはそれを決して受け入れませんでした。…イスラエルはキプロスの飛行場を使用しています」
「…もしこれが本当に起これば、トルコはハマス(とヒズボラ)を支援しているのでキプロスを占領するでしょう。トルコはキプロスに侵攻し、これはギリシャとトルコの戦争につながるでしょう。もちろん、イランも関与するでしょう。大きな船がイスラエルに向かっているので、アメリカも関与するでしょう。ロシアにも考えがあります」
「…アメリカ人たちはそこで何が起こっているのか全く分かっていないし、背景も知らない。彼らは選挙に勝つことばかり考えていますが、それが大惨事を招くことになる。もし戦争が起きれば、トルコ、キプロス、NATO が関与することになり、人々が考えるよりずっと深刻な事態になるでしょう」
ネナー氏は「我々はすでに次の大きな戦争サイクルに入っている」と語る。
また、ネナー氏は依然として中国が大きな問題になると考えており、以下のように述べた。
「世界がこのようなナンセンスなことで忙しいなら、中国が台湾を占領する時が来たと言えるでしょう。戦争サイクルは特に高まっているので、非常に注意する必要があります」
「私の裕福な顧客たちの多くは、カリブ諸島へのビザを取得するのに大わらわです。ビザを取得してアメリカから脱出しようと急いでいる裕福な人をたくさん知っています」
「これが水面下で起こっていることであり、ほとんどの小口投資家は何が起きているのか知りません。彼ら(裕福な顧客層)は、核攻撃や、国境を越えてきたテロリストたちがあちこちで爆破を行うことを心配しています。これは非常に危険な状況です」
「彼ら(裕福な顧客層)は今すぐには国からは出ませんが、準備を進めています。戦争サイクルが高まっており、7月3日から特に危険になるでしょう」
ネナー氏は、彼の大口顧客も都市を離れ、田舎に家を購入していると語る。ネナー氏は、この傾向は 5年ほど続いているが、この 1年半で加速していると語った。
ネナー氏は、景気循環が下降傾向にあると語る。
「ニューヨークでは、商業用不動産で 67%の損失を出したばかりの裕福な顧客がいます。銀行も不良債権を抱えています。銀行は満期を迎える米国債で巨額の損失を出しています」
「ですので、銀行、特に地方銀行は大きな問題に直面するでしょう。地方銀行は非常に脆弱です。水面下では多くの問題が起こっていますが、誰もそのことについて教えてはくれません」
ネナー氏は依然として金(ゴールド)を好んでいるが、金はこの局面では、安定する傾向(※ おそらく急上昇や急激な下落はないというような意味だと思われます)だろうという。インフレは再び上昇する準備を整えており、ネナー氏は「解雇の波がもうすぐやってきます。非常に厳しい時代が来ます」と述べた。
ここまでです。
ネナー氏は、「地獄の門が開こうとしている」とまでおっしゃっているわけですが、まあ戦争については、当事者たち次第ですので、どうなるかはわからないですが、ただ、最近、
「来年がヨベルの年だと知った」
ということがありました。
(記事)え? ヨベルの年って2025年なの?
BDW 2024年6月30日
このヨベルの年というのは、カトリックなどでは「聖年」などとも呼ばれているもので、
「すべてのものが解放され、すべてのものが元に戻るとき」
だとされています。
ヨベルの年に「火種」が解放される
私はずっと 2022年がヨベルの年だと思い込んでいまして、以下の記事などに書いています。
(記事)ヨベルの年に思う「富とは何か」
In Deep 2022年10月22日
ですので、2025年がヨベルの年であるのなら、「本番は 2025年(というより 2025年から)なのだろうな」と悟りました。
2025年がヨベルの年であるなら、「どんなことが起きるのか」は具体的にはわからなくとも、「想像を絶する混乱」が来るであろうことは、ある程度は確信を持って言えます。
先ほど書きましたように、戦争の行方は誰にもわかりません(おそらく当事者たちにも)。
しかし、金融的な話としては、国債に関して農林中金の度を抜けた米国債などの売却が確定しています。これで混乱が起きない理由はないはずです。
(記事)「カナリアが日本の炭鉱の中で中性子爆弾を踏んだ」:日本が導く終末的な金融危機
In Deep 2024年6月24日
また、アメリカの 282の銀行が破綻の危機に瀕していることが監査で判明しています。
そして、商業用不動産の問題を抱えているアメリカでは、銀行が我先にと商業用不動産ローンの売却に急いでいます。
(記事)米国の銀行は「損失を削減する」ために400兆円規模の商業用不動産ローンの売却を開始している
BDW 2024年6月30日
というか、昨年の時点で、「米国の半数の銀行が支払い不能に陥る可能性」について、英国のジャーナリストが警告していました。
(記事)アメリカ4800行にのぼる銀行の「半数が支払い不能に陥る可能性」について英テレグラフの著名ジャーナリストが警告
In Deep 2023年5月3日
これらの「火種」は、この数年ずっと燃えたままで、いつそれらが本格的に発火するかというだけになっていたのがここ 2年、3年です。
ネナー氏によれば、多くの富裕層たちがアメリカ(おそらく他にも特に主要国)から脱出する準備を進めているようですが、私たちの多くは、そんなことはできないですので、できる範囲の準備というか、心の準備は必要なのだとは思います。
おそらく、2025年が起点になることはグリグリのガチだと思われます。
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