PFASの日本の安全規準は米国の100倍、海外では危険レベル
PFASとはペルフルオロアルキル化合物及び、ポリフルオロアルキル化合物のことで、
人工的に合成された有機フッ素化合物群の総称。EUの定義では4700種類以上の物質があるとされるているそうです。
PFASは「泡消火剤」だけではなく、耐水性、耐脂性、防汚性などに優れた特性を持つため、コーティング剤、界面活性剤、表面処理剤など様々な用途に長年使用されてきた、などとあります。
国内では、PFASは、主に米軍基地周辺の川や井戸などで高濃度で検出され、例えば嘉手納基地や普天間飛行場周辺の河川や地下水、わき水から高濃度で検出され、近年では、首都東京都の地下水や井戸水から高濃度のPFASが検出されて注目されるようになりました。
また、汚染物質除去剤の使用済み活性炭を山中に放置して、基地とは離れた地域でも2次汚染被害が起きているようです。
PFAS は米軍基地内の泡消火剤で使用されており、2016年1月、沖縄県企業局は北谷浄水場の水源で高濃度の PFOS (ペルフルオロオクタンスルホン酸。PFASの1つ)が検出されていると公表。
2021年2月に航空自衛隊那覇基地から泡消火剤が流出した事故では、指針の128倍にあたる最大6390ng/L が検出されている。
“永遠の化学物質”PFAS 世界的に変わる飲料水基準。日本は?(橋本淳司) – エキスパート – Yahoo!ニュース
■国内の汚染源は在日米軍基地
■東京都
東京都内では、特に府中市、調布市、狛江市が特に汚染度が酷く、この数字からも、横田米軍がPFASの汚染源となっていることはまちがいないし、地下水汚染を生む土壌の汚染はまず、汚染源から汚染の垂れ流しを止めなければ、浄化が出来ないことは明白です。
しかしながら、東京都の小池都知事は極めて消極姿勢のようです。
PFOSを含む泡消火剤は’60年代後半に開発され、日本では’80年ごろから使われてきた、とみられるものの、いつから、どれくらい、どのように使ってきたのかについて米軍は一切明らかにしていない。
ただ、「来年9月末までに有機フッ素化合物を含む泡消火剤の使用をやめる」というだけだ。
横田基地では、’93年にジェット燃料が大量に漏出する事故が起きた。その後、基地からの汚染を監視するため、東京都は周辺にモニタリング井戸を設けている。
モニタリング井戸での測定データを情報開示請求で手に入れたところ、立川市の井戸で’08年にPFOSとPFOAの合計で1265ナノグラム、’10年に1130ナノグラム、さらに’19年には1340ナノグラムが検出されていたことがわかった。いまの目標値の約27倍にあたる、きわめて深刻な汚染が起きていたのだ。
つまり、東京都は少なくとも15年前から横田基地によるPFAS汚染を認識していたことになる。にもかかわらず、基地内への立ち入り検査や地下水汚染の調査などを防衛省に求めることなく、’18年に3件の漏出事故が報道された後も、ただ報告を待ちつづけていたのだ。
この漏出事故を米軍が認めたことを受けて、小池百合子・東京都知事は23年7月6日、こう発言した。「基地内の情報というのは、環境調査というのはなかなか難しいものがあります」
防衛省が米軍と交渉する前からあきらめを滲ませる言葉は、まるで「米軍ファースト」と言っているようにも聞こえる。環境相と防衛相を歴任し、いまは都民の健康を預かる政治家としての責任を感じ取るのは難しい。
■千葉県市原市
首都圏では、東京都に続き、千葉県市原市でも国の暫定目標値の46倍の濃度のPFASが検出されたと報じられました。
以下は24年7月12日付のニュースより。
有害性指摘のPFAS検出 国の暫定目標値の46倍の濃度 千葉 市原
千葉県市原市を流れる川の水から有機フッ素化合物の「PFAS」のうち、有害性が指摘されている2つの物質が、国が示した暫定目標値の46倍の濃度で検出されました。川の水は、水道水に使われておらず、市は周辺の井戸水への影響を調べることにしています。
市原市によりますと、ことし5月、市内を流れる平蔵川のうち池和田地区の水を採取して調べたところ、有機フッ素化合物の「PFAS」の一種「PFOS」と「PFOA」が1リットル当たり2300ナノグラムと国が示す暫定目標値の46倍となる濃度で検出されたということです。
「PFOS」と「PFOA」の2つの物質は有害性が指摘され、国内で製造や輸入が禁止されています。
採取されたのは市原市役所から南東へ10キロ余り離れた田畑などが広がる地域で、川の水は、水道水として使われていないということです。
市は周辺の井戸水に影響がないか調べるとともに、発生源の特定を進めることにしています。
有害性指摘のPFAS検出 国の暫定目標値の46倍の濃度 千葉 市原 | NHK | 千葉県
水道水として使われていなくても、農業用水に使われていたならば、農産物にPFASの影響が及んでいる可能性も当然ながら調べる必要がありそうです。
■米軍基地と離れた場所(岡山県吉備)でも汚染除去物質からの2次被害も起きている
岡山県吉備中央町のように、汚染物質除去に使われた使用済み活性炭が、リサイクルのために場所を移動し、山中に放置されて、移動先で新たな水汚染を生み出した例などもあります。
国は2020年にPFASを水道水の「水質管理目標設定項目」とし、暫定目標値として「50ng/L以下」(ngはナノグラム)と定め、吉備中央町ではこの年の水質検査からPFASを検査項目に入れていた。
浄水場の一つ「円城浄水場」では2020年800ng/L▽2021年1200ng/L▽2022年1400ng/Lという暫定目標値の16~28倍の数値が検出されていたが、危機感のなさから住民には知らせていなかったそうです。
自然豊かな町を襲った最悪レベルのPFAS汚染。活性炭が水道水を汚染した衝撃(幸田泉) – エキスパート – Yahoo!ニュース
■安全基準が日本は甘すぎ
環境中で容易に分解されず、蓄積性が高く、健康被害、環境への悪影響をもたらす可能性があるため、国際的に製造や使用が制限されている。
◇米国
米国の新基準はPFOS0.02ng/L以下、PFOA0.004ng/L以下
飲料水については米バイデン政権は2021年10月にPFASに関して規制を強化する方針を発表し、米国環境保護庁(EPA)は2022年6月、新たなガイドラインを公表。
新ガイドラインでは、PFASの発がん性や免疫力の低下など、人体への悪影響の可能性を踏まえ、基準を大幅に強化。
PFASのなかでも毒性が強いとされるPFOA(ペルフルオロオクタン酸)とPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)について、飲料水として生涯摂取し続けていい濃度を表す「生涯健康勧告値」を引き下げた。
これまでPFOSとPFOAの合計を70ng/L以下としていたが、PFOSを0.02ng/L以下、PFOAを0.004ng/L以下とし、現在、ホワイトハウス行政管理予算局(OMB)に正式に送付され検討されている。
◇EU
ECHA(欧州化学品庁)は「飲料水の水質及び飲料水と接触する材質の基準」などを定めた「飲料水指令」の改正指令を2021年1月13日に発効。
この指令を受けて加盟国は2年以内に国内法を改正する。 EU飲料水指令の改訂においては、全PFAS に対して0.5µg/L以下、特定の20種類のPFASの合計0.10µg/L以下という基準値が設定された。
◇日本
厚生労働省は、2020年に水道水に含まれるPFASの合算値の暫定目標値を50 ng/Lと 設定したそうですが、これは当時の科学的根拠に基づき「体重50 kgの人が水を一生涯にわたって毎日2 L以上飲用したとしても、人の健康に悪影響が生じないと考えられる水準を基に設定された、とあります。
PFOS、PFOAの合計50ng/L以下。つまり、日本の安全基準は米国の100倍で、あまりにも基準が甘すぎます。
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