「誰でも自由に自死できる」世界初の個人向け自殺カプセルがスイスで稼働間近。自分でボタンを押すだけで瞬時に
医師の立ち合いもなしで、窒素ガスが充満し、酸素が減り死に至る。
スイスで、医師の立ち会いなく自死を自分の意思と行動で「手軽に」行うことができる装置の稼働がまもなく始まることが報じられています。
報道では「自殺ポッド」と表現されている冒頭の写真のカプセル型の装置です。
使い方としては、このカプセルの中に自主的に入り、中でマシンの音声指示に従って「ボタンを押す」と、「瞬間的にカプセル内の酸素量が急減」して、そのまま死に至るという装置のようです。
本人が苦しむことはないと説明されています。
利用料金は、使用される窒素代金約 3000円だけと、手軽に利用できるものとなっています。
これがスイスで稼働されるという報道ですが、装置そのものはオランダで「 12年もかけて」開発されてきたものだそうですので、そのうち、オランダでも同じよなう動きがあるかもしれません。
オランダも合法的な安楽死が盛んですから。以下の記事にあります。
(記事)オランダで、自閉症や知的障害の人たちへの「合法的な安楽死」が大規模に進行していることが英国の研究で明らかに
地球の記録 2023年7月6日
あと、カナダもです。カナダでは、総死亡者数の 3.3%が安楽死によるものです。30人に 1人が安楽死で最期を迎えているということですね。
これらについての倫理的な善し悪しを語るつもりはないですが、世界的に、この自死や安楽死の推奨という政策は拡大しています。
スイスの自殺ポッドについての報道です。
スイスで初の自殺ポッドが「間もなく」使用されると活動家たちは述べる
First suicide pod use ‘soon’ in Switzerland: campaigners
AFP 2024/07/18
安楽死支援団体は 7月17日、携帯可能な自殺ポッドがスイスで初めて使用され、医師の監視なしで死を迎えることができるようになると予想していると発表した。おそらく数か月以内に導入される。
2019年に初めて公開された、この宇宙時代のような外観のサルコカプセルは、カプセル内の酸素を窒素に置き換え、低酸素症による死をもたらす。使用料は 20ドル (約 3200円)だ。
安楽死支援団体のザ・ラスト・リゾートは、スイスでは、自殺ほう助が法律で一般に認められており、本人が自ら致命的な行為を犯す場合には、自殺ほう助の使用に法的障害はないと述べた。
「サルコの利用を希望する人が実際に列を作っているので、近いうちに(この自殺ポッドの使用が)実現する可能性が非常に高いです」とザ・ラスト・リゾートのフロリアン・ウィレット最高経営責任者は記者会見で語った。
「永遠の眠りに落ちるまで酸素なしで空気を呼吸するより美しい死に方は想像できません」と彼は付け加えた。
「このボタンを押すだけで」そのまま亡くなる
死を希望する人は、まず精神鑑定による精神能力の評価に合格しなければならない。これは重要な法的要件だ。
被験者は紫色のカプセルに入り、蓋を閉めると、自分が誰なのか、どこにいるのか、ボタンを押すと何が起こるか知っているかなど、自動的に質問される。
「『亡くなりたいのなら、このボタンを押してください』とプロセッサ内の音声が言います」と、サルコの発明者で、安楽死運動の世界的リーダーであるフィリップ・ニチケ氏は語った。
そのボタンを押すと、空気中の酸素の量は 30秒以内に 21パーセントから0 .05パーセントに急激に減少すると説明した。
「酸素濃度が低い空気を 2回吸うと、方向感覚がなくなり、協調運動ができず、少し陶酔した気分になり、そして意識を失います」とニチケ氏は語った。
「その後、意識不明の状態で約 5分間過ごし、その後死亡するのです」と彼は付け加えた。
サルコはカプセル内の酸素レベル、人の心拍数、血液中の酸素飽和度を監視する。
「これにより、その人がいつ亡くなったかすぐにわかるのです」とニチケ氏は語った。
最後の瞬間に気が変わる人については、ニチケ氏は「一度ボタンを押してしまえば、もう後戻りはできません」と語った。
最初の利用者について
最初の死亡者の日付と場所、また最初の使用者が誰であるかについては、まだ決定されていない。
詳細はイベント終了後まで公表されない予定だ。
「スイスが平和に過ぎ去ることを望む人々の願いがメディアの騒ぎになることを私たちは本当に望んでいません」とザ・ラスト・リゾートの諮問委員会の弁護士フィオナ・スチュワート氏は語った。
彼女は、この装置は私有地で使用されなければならないが、「自然の美しさに囲まれた、非常に人里離れた場所」で使用されるだろうと語った。
最初の使用は今年になるかと尋ねられると、彼女は「そうなると思います」と答えた。
このカプセルの利用者の最低年齢は 50歳に設定されているが、それ以下の年齢でも、18歳以上で重病人の場合、「年齢を理由に患者を拒否することは望みません」とスチュワート氏は述べた。
サルコを所有するニチケ氏のエグジット・インターナショナル社は、寄付金で運営されている非営利団体だ。スチュワート氏は、利用者が負担するコストは窒素代金 18スイスフラン(約 3200円)のみだと語った。このカプセルは再利用できる。
開発と議論
このカプセルの潜在的な使用はスイスで多くの法的、倫理的問題を提起し、安楽死に関する議論を再燃させている。
ワリス州の医師たちはこのカプセルの使用を禁止し、他の州も懸念を表明している。
「どの州が何と言おうとも、サルコの使用に法的障害はないというのが私たちの理解です」とスチュワート氏は主張した。
空気の 78%を構成する窒素は「医薬品ではなく、危険な兵器でもありません」と彼女は付け加えた。
「サルコでは医師が近くにいる必要がないため、私たちは自殺ほう助を非医療化することを目指しています」とスチュワート氏は語った。
3Dプリント可能なこのカプセルは、オランダで 12年以上かけて研究開発され、65万ユーロ(約 7200万円)以上が費やされた。
スチュワート氏は、この技術は過去 12か月間、ロッテルダムの工房で機器を使ってテストされてきたと述べた。人間や動物を対象にしたテストは行われていない。
現在のサルコは身長 1.73メートルまでの人しか収容できない。開発チームは、(夫婦などの)カップルが一緒に人生を終えることができるように、ダブルサルコの建設を目指している。
サルコが死刑に使用されることは決して認められないだろうとザ・ラスト・リゾートは述べている。
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