中東に全面戦争が迫る。次は?

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イスラエル 戦争

中東に全面戦争が迫る。次は?

イスラエルの自作自演か?2025年はカオスの幕開けとなる。

理由なく機能しなかったイスラエルの防空システム

気温も何だかムチャクチャですが、それはそれとして、世界的に「何だか全体がグチャグチャになってきている」としみじみ感じるこの 7月、中東において、大きな出来事が起きました。

イスラエルとレバノン、ヨルダン、そしてシリアの国境が接するゴラン高原という場所があります。非常に微妙な場所にある地域なのですが、現在、このゴラン高原はイスラエルが占領しています。

ゴラン高原

時事通信

7月27日に、このゴラン高原にあるサッカー場にロケット弾が着弾して、10歳の子どもを含む 10人以上の子どもが死亡したという出来事があったのです。


2024年7月27日、ロケット攻撃を受けたゴラン高原のサッカー場。 Time of Israel

ヒズボラは、この攻撃への関与について完全に否定していますが、イスラエルは、「ヒズボラは一線を越え、我々は全面戦争に直面している」と宣言しており、戦争が拡大局面に向かうことは確実となってきています。

何より、「なぜ、この攻撃に対してのイスラエルの報復が大きなものになるかと確信できるか」というと、報道を見る限り、

「昨年 10月7日のハマスの攻撃の時と同じことが起きていたから」

です。

今回ご紹介させていただく報道に以下の部分があるのです。

 

> イスラエル国防軍は、ミサイルが飛来した際にイスラエルの防空システムが機能しなかった理由を調査している。

 

世界で最高峰のミサイル察知と防衛システムを持っているイスラエルの防空システムが、

「この時だけ作動しなかった」

のでした。

昨年の以下の記事でふれていますが、10月7日のハマスの攻撃の時にイスラエルは、「ハマスの国境突破に対して、何の反応も防衛もしていなかった」ことがわかっています。それと似たことが今回起きていたようです。

(記事)「2023年の911」なのか「偽の黙示録」なのか
In Deep 2023年10月9日

この記事では、元イスラエル軍の諜報隊員の方の見解をご紹介していますが、以下のように述べていました。

「イスラエルは世界で最も先進的でハイテクな軍隊の一つを持っています。なぜ国境突破に対して何の反応もなかったのでしょうか?」

「イスラエルがこれから何が起こるかを知らなかったはずがありません。この奇襲攻撃はあらゆる面で計画された作戦のように見えます。何かが間違っています」

同じようなことが、今回のロケット弾攻撃で起きたと考えられなくもないです。この時だけ「防空システムが理由なく機能しなかった」のです。

いずれにしても、事態は一気に中東の一大地域戦争に拡大する様相が高まってきました。

まずは、現状について各メディアの報道をまとめていた米ゼロヘッジの記事をご紹介します。



サッカー場にヒズボラのロケット弾が着弾し 30人が死傷したことにより、イスラエルは「全面戦争」が差し迫ったと述べる

Israel Says “All-Out War” Imminent After Hezbollah Rocket Slams Into Soccer Field, 30 Casualties
zerohedge.com 2024/07/28

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とイスラエル・カッツ外相は、イスラエル北部の町マジダル・シャムスに対するヒズボラの壊滅的なロケット弾攻撃で少なくとも 12人の死亡を含む 30人の死傷者が出たのを受けて、同国の国防高官らと緊急協議を行っている。

負傷者数十人のうち 9人は重体と言われており、その多くは子どもで、中には 10歳の子どももいた。

イスラエルのカッツ外相は国営放送局に対し、「ヒズボラが一線を越えたことは疑いようがない」と語った。

同氏は「我々は全面戦争に直面している」と警告し、「我々が代償を払うことになるのは間違いない」と付け加えたが、ヒズボラにはさらに大きな代償が課せられることは間違いないだろうとも述べた。

同外相はさらにコメントの中で、イスラエルはレバノンでより大規模な反ヒズボラ作戦を展開するにあたり、米国と欧州から「全面的な支援」を受けるだろうと主張した。カッツ氏は Axios 紙に次のように説明した。

 

本日のヒズボラの攻撃はすべての許容範囲を超えており、それに応じた対応が求められる。我々はヒズボラとレバノンに対する全面戦争の瞬間に近づいている

我々は代償を払うことになるが、戦争が終われば、ナスララとヒズボラは壊滅し、レバノン国家は深刻な被害を受け、我々は北部の住民に平和と安全を取り戻すだろう。


報道によると、ロケット弾はゴラン高原北部にあるイスラエルのドゥルーズ派の町のサッカー場に直撃した。イスラエル国防軍は、ミサイルが飛来した際にイスラエルの防空システムが機能しなかった理由を調査している。

ヒズボラのミサイルやドローン数百発がここ数カ月イスラエル北部に降り注いでいるが、ミサイルが町や都市の中心部に着弾するのは非常に稀だ。

イスラエル・タイムズによって検証され、広く流布しているビデオには、衝突時に巨大な火の玉が映っている。

 

死者数が増加する中、ヒズボラは同日遅く、攻撃の背後にヒズボラは関与していないとする驚くべき声明を発表したことが報じられた。

ヒズボラは声明で、マジダル・シャムスへのロケット弾の発射を否定した。この攻撃で子供を含む民間人が死亡、負傷した。

ヒズボラは「我々は事件とは一切関係がなく、(イスラエルによる)虚偽の申し立てを全面的に否定する」としている。

ヒズボラはこれに先立ち、マジダル・シャムス近郊のゴラン高原にある軍事基地にロケット弾数十発を発射したと発表していた。

イスラエル側は、この攻撃の背後にヒズボラがいたことは間違いないだけでなく、この攻撃によって紛争が激化したと非難している。一方、ここ数日、イスラエルの攻撃によりレバノン南部で火災が発生したという新たな報告が出ている。

ガザでは、アルジャジーラが以下の最新の動向を伝えている

・ガザ保健省は、イスラエル軍がデイル・エル・バラハのハディージャ学校を爆撃し、少なくとも 30人が死亡したと発表した。イスラエルは「ハマスの指揮統制センター」を標的にしたと主張した。

・ガザ地区の民間防衛隊は、1週間以上前に始まったイスラエル軍のハーンユニス侵攻で少なくとも 170人が死亡したと発表している。

・武装組織ハマスは、ガザ市で激しい戦闘が続いており、タル・アル・ハワ地区で兵士らに包囲されたイスラエル軍輸送車を戦闘員がアル・ヤシン105ロケット弾で攻撃したと発表した。

・イスラエル軍が占領下のヨルダン川西岸地区で異例の空爆を実施し、ナブルス東部のバラタ難民キャンプを標的とした。軍が指名手配していたパレスチナ人男性が死亡した。

イスラエルの北国境は 10月7日以来、イスラエルとヒズボラの全面戦争には陥っていないが、これはより広範な紛争の始まりとなる可能性がある。

 

アメリカ政府は長い間、イスラエルに対し、戦闘を「限定的」かつ抑制的なものにとどめるよう求めてきたが、イスラエル国防軍が侵攻すれば、レバノン全土が包囲される恐れがある。


 

ここまでです。

 

シナリオの「1」に入る可能性

仮に、イスラエルが、外相が言うような「全面戦争」に向かうのだとすれば、事態は、ここにきて、昨年フィンランドの経済学准教授が主張していた「事態」の「最初」に到達します。

以下の記事にあります。

(記事)イスラエル・パレスチナ戦争による全世界への「経済と市場のカタストロフ」がもたらす劇的な「終末の時代」に突入した可能性
In Deep 2023年10月15日

この記事では、フィンランド・ヘルシンキ大学の経済学准教授であるトゥオマス・マリネンさんという方の主張をご紹介しています。「イスラエル・パレスチナ戦争の経済的な最悪のシナリオ」というタイトルのサブスタック記事からのものです。

マリネン准教授は、イスラエル・パレスチナ戦争がもたらす最悪のシナリオとして、段階的に次のような項目を挙げていました。

トゥオマス・マリネン准教授による10のシナリオ

1. 紛争は地域戦争にまでエスカレートし、米国も直接関与することになる。

2. OPECは石油禁輸で対抗。

3. イランがホルムズ海峡を封鎖。

4. 原油価格は 1バレルあたり 300ドルに達する。

5. ヨーロッパは LNG 不足により本格的なエネルギー危機に陥る。

6. エネルギー価格の大幅な高騰はインフレを再活性化し、中央銀行もそれに応じて対応する。

7. 金融市場と世界の銀行セクターは崩壊する。

8. 米国は債務危機に見舞われ、連邦準備制度はさらなる金融市場救済策の制定を余儀なくされる。

9. オイルダラー貿易が崩壊する。

10. ハイパーインフレが発生する。

ガザ戦争が始まってから 7カ月、まだ、このシナリオの「1」にも入ってはいませんでした。

今回のゴラン高原での出来事に対してのイスラエルの報復の規模によっては、

> 1. 紛争は地域戦争にまでエスカレートし、米国も直接関与することになる。

に入る可能性が高くなります。

米国も直接関与することになるかどうかはわかりませんが、地域戦争へのエスカレートの可能性が高くなっています。

 

その後のシナリオについても、まあ…ここに挙げられているような項目は、実際には、中東での出来事があってもなくても、ある程度は今後、どのみち起きていくであろうことだったとも思います。

上のシナリオにある「7. 金融市場と世界の銀行セクターは崩壊する」というようなことについても、もう中東とは関係なく、アメリカではそれが進行しているようでして、先日も米国のアナリストたちが、

「銀行破綻の連鎖は、ほぼ確実」

とする内容の記事を発表していました。

これは、米国内の商業用不動産の問題であり、中東がどうであろうと、必ずやってくる問題であることがデータと共に説明されています。

他のさまざまな経済や金融の問題にしても、どのみち急速に悪化する可能性が高かったところに、時期が悪いというのか何というのか、中東の地域戦争の可能性が出てきたということで、非常に慌ただしい展開となる可能性がありそうです

さきほどの米国のアナリストの記事は、「シートベルトを締めよう!」で締められていましたが、そういう時期が来ているようです。

2025年にかけては、何が起きても不思議ではない時期なのかもしれません。

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