キャリートレード巻き戻しさらに進行へ、1ドル100円も-BNY
1ドル100円になると輸出関連企業が痛手を被る・・・。
円を調達通貨としたキャリートレードの巻き戻しはさらに進む余地があると、BNYメロン・キャピタル・マーケッツが指摘。円は時間と共に1ドル=100円に向かって上昇する可能性があるとの見方を示した。
BNYの市場戦略・インサイツ責任者、ボブ・サベージ氏は、投資家はまだ円に対して弱気に過ぎるため、円ショートポジションの解消は続くだろうと指摘。円は1ドル=147円程度の現在の水準では安過ぎで、長期的な適正水準は100円の方に近いとの分析結果をリポートで示した。
「円ショートの痛手は、数カ月ではないまでも今後数週間は続くだろう。さらなるリスク圧縮が続き、8月は非常に不安定な月になるだろう」と同氏は記した。
米国の景気後退懸念や日本銀行の追加利上げ観測を受けてトレーダーが円ショートを解消したため、円相場は乱高下した。数日にわたる大きな変動が一段落した今、投資家は次のキャリー戦略巻き戻しが再び市場を揺るがすのだろうか、それはいつ起こるだろうかという疑問から目が離せない。
円のショートポジションは過去数年間をかけて蓄積されたもので、トレーダーは日銀の超緩和的金融政策を生かして円で借り入れ、他の高利回り資産で運用していた。この戦略は1980年代以来の円安をもたらし、日本当局の介入を促した。
ブルームバーグが追跡調査している新興市場8通貨バスケットの円キャリートレードは、年初から7月上旬まで投資家に17%強のトータルリターンをもたらしていた。ブルームバーグが集計したデータによると、今回の円急騰で年初来の利益はほぼすべて帳消しになった。
数兆円規模のショートが円を急騰させる可能性-マクロ分析
JPモルガン・チェースは、キャリートレードの巻き戻しは75%完了したとみており、シティグループは、キャリートレードは危険水域を脱したが、中国の人民元は圧迫されるリスクがあると指摘している。
キャリートレードは危険水域を脱したが、人民元には要注意-シティ
サベージ氏は、日米の経済データが乖離(かいり)する可能性があるため1ドル=130-150円のレンジが日銀の新たな目標レンジだと考えるのは間違いかもしれないと言う。
同氏は「現在の環境を考えると、巻き戻しで円が再び適正価格になるのには何カ月もかかるだろう」と指摘し、「そのため、米国の選挙と景気・信用サイクルが、日本と日本自身の経済成長と共に、鍵になるだろう」と分析した。
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