競馬で“万馬券”を当てたギャンブラーのうち「払戻金を申告していない人」は8割
国が課税強化→「税務署にバレる」3つの原因【税理士・公認会計士が解説】200万円以上の銀行口座移動は税務調査の対象!
国が積極的に課税強化する「競馬の払戻金」
黒瀧氏(以下、黒)「競馬の払戻金は基本的に一時所得ですが、一定の条件を満たすと、例外的に雑所得として扱われることがあります。
払戻金が一時所得として扱われた場合、経費にできるのは「当たり馬券の購入費用」のみです。一方、払戻金が雑所得として扱われれば、当たり馬券の購入費だけでなく、年間に購入した「はずれ馬券の購入費」も経費として計上することができます」
――競馬好きな人は、はずれ馬券の購入額もすごいと思うので、できれば経費にしたいところですよね。
競馬の「高額当たり馬券」8割が未申告→課税強化に動いた日本
――ところで、払戻金を一時所得で申告するとなると、それなりに税金を納める必要がありそうですね。特にやっと当たりを掴んだような人のなかには、競馬の払戻金を申告したくないと考える人もいるのではないでしょうか?
黒「はい。少し前ですが2015年の数字で、高額払戻しの8割が未申告というデータがあります」
――そんなにいるんですか。
黒「はい。ただ、国はその後、課税強化に動いています」
――そうなんですね。実際のところ、競馬の払戻金を申告しないとバレるものなんですか?
黒「現状、競馬場やウインズ(場外勝馬投票券発売所)で直接馬券を購入した場合、税務署は個人情報を把握することができません。
ただし、インターネット上で馬券を購入した場合は、個人情報や口座情報を入力することになるため、個人情報を把握することが可能です」
――では競馬場やウインズで直接馬券を購入すれば、申告しなくてもバレないということですか?
黒「いえ、直接馬券を購入した場合でも、このようなパターンで無申告がバレる可能性があります。それぞれ詳しく説明します」
競馬の払戻金「無申告」がバレるパターン3選
1.SNSで公表している
黒「まずはSNSで当たったことを公表してしまった場合ですね。近年、税務署はSNSの監視に力を入れており、申告漏れや無申告につながる情報がないか目を光らせています」
――そういえば、最近インフルエンサーの無申告や所得隠しがSNSからバレたというニュースを見ましたね。競馬の払戻金も、それと同じようにバレてしまうということですか。
黒「そういうことです。また、払戻金の金額が高額だった場合、自分で発信しなくてもテレビやネット上で報道される可能性があります。どこからバレるか分からないので、変に隠そうとはせず、しっかりと申告するべきでしょう」
2.一口1,000万円以上の払戻金を受け取っている
黒「2つ目は一口1,000万円以上の払戻金を受け取っている場合です。WIN5(ウィンファイブ)のような高額な払戻金が発生した場合、JRAから半自動的に税務署に情報が提供されるようになっています」
――万馬券は嬉しいけど、払戻金と当たり馬券の購入費用の差が大きいので、税金は高額になりそうですね。
黒「ええ。仮に馬券を100円だけ購入していたとしても、払戻金は1,000万円になるので、一時所得の計算式に当てはめると総所得に474万9,950円が加算されることになります。
まず確実に所得税額は跳ね上がりますね。無申告で済ませたいと考える人もいるでしょうが、まず税務署に把握されているので、諦めて申告しましょう」
3.銀行口座に多額の現金が移動した形跡がある
黒「最後に銀行口座で多額の現金が移動した形跡がある場合です。
SNSでの公表や、1,000万円以上の受け取りがなくても、個人の銀行口座に高額な払戻金が振り込まれた時点で、税務署に目を付けられる可能性が高いです。
もちろん、競馬場やウインズで馬券を買い、現金を手渡しで受け取っていたとしても、それを手動で銀行口座に入れたら税務署に見つかる可能性があります」
――具体的にはいくらくらいの現金移動があったら税務署に見つかりやすくなるんですか?
黒「明確な基準があるわけではないですが、200万円以上の現金が移動すると、特に税務調査が入りやすくなる印象があります。では200万円以下なら問題ないのかと言えばそんなことはなく、他の要素との兼ね合いでバレる可能性があるので、おとなしく申告しましょう」
――悪いことは考えない方が良さそうですね。
黒瀧 泰介
税理士法人グランサーズ共同代表/公認会計士・税理士
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