よろず屋寸話録から「日経平均大暴落に思う...2024年8月10日」
政府の煽り策に乗らないこと
○バブルなのか、バブルでないのか
8月2日(金)、日経平均は2216円も下落し、ネットでは「暴落」という言葉が躍りました。
私の中では、いよいよ世界的な経済クラッシュが始まったかもしれないという思いが駆け巡りました。しかし、週明けにどうなるか見極める必要があるとも思いました。大きな材料が出ると1日で5%の下落をすることは、それほど珍しいことではないからです。
そして5日(月)の日経平均ですが、1987年のブラックマンデーを超える4451円の大暴落となり、私は世界的な経済クラッシュは日本から始まるという噂を思い出すことになりました。
ネットではどういう反応なのだろうと思い、少しYouTubeを探ってみました。
すると、株の暴落で損をしたけれども、バーゲンセールとなった株を買うチャンスと見るユーチューバーがけっこういることがわかりました。
あるユーチューバーは、動画の中でスマホを操作して、自分が持っていた銘柄の株をさらに買い増すナンピンを行っていました。
このように株を底値で買うチャンスと考えた人が多かったのでしょうか、日経平均は6日(火)には3217円もの暴騰となりました。
安くなったから株は買い、というスタンスの人が多い中で、世界的な経済クラッシュの予兆かもしれないという私のスタンスは180度、真逆です。
これは今の株式市場をどのように見るか、という根本的な違いがあるということです。
吉田繁治さんのメルマガで、今の株式市場を見る前提として2つあると述べられていたので紹介させていただきます。
前提(1):
2024年の株価には、景気とファンダメンタルズの根拠があり、とくにAIへの期待からの、長期上昇トレンドにある。
前提(2):
コロナ以降の株価は、日米欧で15兆ドルのマネー増発が遠因となった30年ぶりのインフレへの転換と、約15年サイクルの資産バブルである。マネー量の増加が生んだ、合理性のないバブルである。中央銀行の金融政策が生んだものである。
株の動画をあげているユーチューバーは、全員と言っていいくらい「前提(1)」でしょう。
吉田繁治さんは「前提(2)」で、私もそうです。
やはり「前提(2)」は世間では少数派のようで、それは新NISAで新たに株を始めた人が大勢いたことからもわかります。そうした人々は、今がバブルであるという認識はないでしょう。
もうだいぶ前になりますが、テレビで1980年代の日本のバブル時代を振り返る番組が報道されました。
そこに、バブル期に不動産や株で成金となり、バブルの崩壊とともに破産したバブル紳士と言われた初老の男性が登場していました。
そのバブル紳士が語った、「バブルのときは、バブルだとわからない」という言葉が、スタジオ参加者を大いに感心させていました。
バブルのときは、バブルだと気づかないものだと納得したようですが、私はこれは違うと思います。
バブルだと気づいている人もいるのです。
ただし、バブルで皆が踊っているときは、そうした人の意見は無視されるということです。
○バブル価格の不動産と株
以前、東京23区内のマンションの平均価格が1億3000万に達したという記事を載せたことがあります(森永卓郎氏)。
2024年の東京都の仕事の平均年収は約426万円です。
通常、不動産は年収の5倍が適正価格と言われています。426万円の5倍は2130万円です。ですから東京都のマンションの平均価格が1億3000万円になっているのを見て、これはおかしい……、と感じるのが普通だと思うのです。
株に関しても、価格が適正かどうかを見る指標があります。
それが、「シラーP/Eレシオ」と呼ばれるものです。
PER(Price Earnings Ratio)とは、株価が1株あたりの純利益(EPS)の何倍になっているかを示すものです。
単純に言えば、株価がその会社が1年間に生み出す利益の何倍(何年分)になっているかを示すものです。
吉田繁治さんのメルマガから抜粋して紹介させていただきます。
・・・<「吉田繁治さんのメルマガ」Vol.1463号から抜粋>・・・
株価と通貨には、理論的な妥当値はないのですが、過去の経験値はあります。
◎株価の妥当値を示すのは、10年の企業純益をもとにした、S&P500の株価指数のシラーP/Eレシオ(いわば10年PER)です。
140年の平均値は17倍、中央値は16倍です。
つまりPER16倍が米国株の経験的な妥当値であるということです。
(シラーP/Eレシオ)
https://www.multpl.com/shiller-pe
2024年8月の、S&P500のP/Eレシオは、34.5倍です(=S&P500株価指数÷500社の純益の10年平均)。株価は、企業純益の34.5倍という過剰期待の水準になっているのです。
米国株が8月、9月下落後は、現在のP/Eレシオ34.5倍が、歴史的な経験知の16倍に、6か月かけて下がる確率が約50%はあるという意味です。
16倍÷34.5倍=46%ですから、米国株ほぼ半分、日本株もほぼ半分です。(S&P500 5346ドル→2600ドル:日経平均4万円→2万円)
可能性ではありますが、この経験値は、無視できない。
・・・<抜粋終了>・・・
140年間の中央値が16倍ですから、S&P500が34.5倍になっていることは、本来の価格の2倍になっているということです。
日経平均もほぼ2倍ということなので、4万円という価格がバブルであることがわかります。
本来は半分の2万円なので、2万円がバブルとして上乗せされた部分ということになります。
ここでもし世界大恐慌のような事態になったら、企業利益は限りなく少なくなりますから、株価もそれに合わせて暴落していくことになります。
ここで私なりに、吉田さんの理論を深めてみます。
日本の株価がバブルの崩壊による低迷期を経てダイナミックな上昇を開始したのは、2012年末から始まったアベノミクスからです。
日銀が市中金融機関の国債を買いまくることで、市中に現金が溢れる事態となりました。
一部は日銀の当座預金にブタ積みになりましたが、一部は米国株や米国債に流れ、また一部は日本株に流れて、日経平均を長期に上昇させる原動力となりました。
こうして生み出されたバブルを過剰流動性バブルと呼ぶようです。
アベノミクスが始まる前の2012年12月7日の日経平均は9527円でした。
今から見ると隔世の感がありますが、1万円以下だったのです。この時期から今に至るまで日本の経済成長はなく、GDPはほぼ横ばいだったにもかかわらず、1万円の株価が4万円になったということは、日銀が刷ったお金が日経平均の3万円分の上乗せであったと見做すことができます。
海外のヘッジファンドの日本株買いですが、海外のヘッジファンドは円キャリートレードで金利の無い(マイナス金利)で円を調達して日本株を買っているので、結局は日銀が市中に大量に供給したお金が原因と言えます。
こうした点を考慮すれば、今の株価がバブルであると見做すのは妥当だと私は思っています。
テレビに登場したバブル紳士が、「バブルのときは、バブルだとわからない」と言った件ですが、「バブルだとわかるけれども、バブルがいつ弾けるか誰もわからない」と言ったとすれば、大いに納得します。
私は、今回の日経平均の大暴落は、世界的な金融クラッシュの前兆のように見えるのです。
ただし、バブルがいつ弾けるかがわからないのですが……。
○今回の大暴落の原因
私は普段テレビは観ないのですが、5日の大暴落をテレビはどのように報道しているか知りたくて観てみました。
すると判で押したようにどの局も、大暴落の原因は日銀の利上げによる円高とアメリカの雇用統計の悪化だと言っていました。
私は、アメリカの雇用統計が事前の予想より悪かったというのは材料としてほとんど関係なく、本質は日銀が金利を、0.1%→0.25%とあげた上に、今後も上げる方向性を示したことが原因だと思います。
わずか0.15ポイントの金利の上昇でも、これが外国人投資家をパニックに陥らせるほどのインパクトがあったということだと思うのです。
外国人投資家の日本での株の売り買い比率は7割を占めています。
その外国人による円キャリートレードのパニック的な巻き戻しが起こったのだと思います。彼らがパニックなれば、2営業日で6600円もの大暴落も起こりうると思うのです。
以下、高橋ダン氏の動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=t5urbyFolpI
○政府の思惑
今回の大暴落に関し、政府の興味深い動きがあります。
岸田首相が、「秋には、認定アドバイザーに相談する際の相談料を最大8割引とするクーポン券の配布」を行いたいと言い出しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5e3e3b81771e2b1e7636ce4bb9d441f642b9b8c9
失礼な言い方ですが、まるで漫画のような政策です。
政府がやるべき政策なのでしょうか。
別の狙いがあるように感じます。
テレビの報道で私が違和感を感じたことは、株の専門家と言われる人が、人々に冷静になるように呼びかけていたことです。
株は長期に渡って上昇を期待するものだから、下がったといってすぐ売りに出すことはない、というアドバイスです。
おそらく政府がクーポン券を出す株の相談会でも同じことを言うのだろうと思います。
こうした政府、マスコミの動きから私が深読みした内容が以下です。
・政府は、これから株式市場がバブルの崩壊で奈落の底に落ちていくことを知っている。
・本格的な大暴落はまだ始まっておらず、ここで新NISAをやっている一般庶民が逃げ出してしまっては困る。そこでマスコミや株の相談料のクーポン券の配布で、「株は長期に渡って保持するもの」という誘導を行い、売らせないようにする。
株のようなゼロサムゲームでは、誰かの儲けは、誰かの損です。
一般庶民を株式市場に誘導して、資産を根こそぎ奪ってしまおうという動きではないか、と疑ってしまうのです。
○犠牲となるのは……
今年の春ですが、久々に東京で知人と会ったとき、新NISAを始めたと聞いて、ええっ! となりました。
その知人との付き合いは長いのですが、これまで知人が株の話をしたことはなかったのです。これほど新NISAが人々に浸透しているのかと思ってしまいました。
私の基本姿勢は、政府やマスコミの言うことに乗らない、ということです
・政府とマスコミがワクチンを打てといったら、打ってはいけない……。
・新NISAをやれといったら、やってはいけない……。
私には、新型コロナワクチンで国民を大量死させた政府が、今度は新NISAという甘い制度を餌にして国民の資産を奪おうとしているように見えてしまうのです。
今回ネットを見ていて、タレントの小倉優子さんが新NISAに疑問を呈していたということが話題になっていることを知りました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4094112618696fb58f4e555dddca5eba3684c70b
政府は貯蓄から投資への掛け声と伴に、新NISAを大々的に推し進めてきました。
普通、金融取引の利益には20%の源泉課税があります。
それが新NISAだと1800万円までの投資分には無税だという特典を与えたのです。その結果、新NISAの口座を申請したのは、2000万人にのぼるといいます(なんと、日本人の6人に1人!)。
新NISAを始めた人は、今回の株の暴落で肝を冷やしたのではないでしょうか。
今回の株の暴落でどのくらいの被害が出たのか、吉田さんが検証しておられます。
・・・<「吉田繁治さんのメルマガ」Vol.1463号から抜粋>・・・
【後記:犠牲になったNISA投資家】
虎の子の預金で、あたらしくNISA投資をした個人投資家は、岸田政権の、「貯蓄から投資へ」の政策の犠牲者です。政府は米国民主党、ファンド、日本の証券会社からの要請でこれを行ったのです。
NISA口座数は2200万もあります。2200万世帯(42%)が、多かれ少なかれ、関与しているのです。投資額は40兆円と大きい。賃金の上昇より大きな6兆円位の損が生じているでしょう。
今後の消費不況も示します。
日本人の個人に、リスク資産を奨めるべきでなかった。岸田首相には、どんな思考力があるのか? 自分の立場を守ることが最優先の人格です。財政予算を分配する政権は、国民の幸福のために何をしたのか? 民主政治では、最大多数の国民幸福を高めることが目的であるべきです。
今日は日銀、財務省、政府の鳩首会議(管理人注)。何を発表できるのか。
たぶん結論は「・・・緊張感をもって市場を注視する・・・」。定見がないのです。
・・・<抜粋終了>・・・
(管理人注)
鳩首(きゅうしゅ)会議とは、人々が集まり、額を寄せ合って熱心に相談すること。
私は日本のバブルとその崩壊を体験した世代です。
1989年の年末、3万9千円の最高値に達した日経平均を見て、次は5万円、いや7万円まで行く……、といった景気の良い話が出ていました。
今回も案の定、5万円まで行くといった話が出ていたようです。
やはり、バブル紳士が言うように、「バブルのときは、バブルだとわからない」人が大多数のようです。
株式市場は、真剣を抜き合って切り合うような戦場でもあります。
そんな戦場に、株を一度もやったこともないような一般庶民を甘い優遇税制の罠で引きずり込んで、根こそぎ奪ってしまおうというのは、あまりに酷い話です。
吉野敏明さんも同様の意見のようです。
https://www.youtube.com/watch?v=fr88PBFjakQ
このところ宮崎、神奈川とけっこう大きめの地震が相次いで起こりました。
これは、これから起きるであろう、巨大災害の前兆のように私は感じています。
同じように今回の日経平均の大暴落は、これから起こるであろう世界同時金融崩壊と世界大恐慌の前兆のように感じます。
今は生き残りをかけて着々と準備をする時で、新NISAのような投資をする時期ではないという気がするのです。
8月2日(金)、日経平均は2216円も下落し、ネットでは「暴落」という言葉が躍りました。
私の中では、いよいよ世界的な経済クラッシュが始まったかもしれないという思いが駆け巡りました。しかし、週明けにどうなるか見極める必要があるとも思いました。大きな材料が出ると1日で5%の下落をすることは、それほど珍しいことではないからです。
そして5日(月)の日経平均ですが、1987年のブラックマンデーを超える4451円の大暴落となり、私は世界的な経済クラッシュは日本から始まるという噂を思い出すことになりました。
ネットではどういう反応なのだろうと思い、少しYouTubeを探ってみました。
すると、株の暴落で損をしたけれども、バーゲンセールとなった株を買うチャンスと見るユーチューバーがけっこういることがわかりました。
あるユーチューバーは、動画の中でスマホを操作して、自分が持っていた銘柄の株をさらに買い増すナンピンを行っていました。
このように株を底値で買うチャンスと考えた人が多かったのでしょうか、日経平均は6日(火)には3217円もの暴騰となりました。
安くなったから株は買い、というスタンスの人が多い中で、世界的な経済クラッシュの予兆かもしれないという私のスタンスは180度、真逆です。
これは今の株式市場をどのように見るか、という根本的な違いがあるということです。
吉田繁治さんのメルマガで、今の株式市場を見る前提として2つあると述べられていたので紹介させていただきます。
前提(1):
2024年の株価には、景気とファンダメンタルズの根拠があり、とくにAIへの期待からの、長期上昇トレンドにある。
前提(2):
コロナ以降の株価は、日米欧で15兆ドルのマネー増発が遠因となった30年ぶりのインフレへの転換と、約15年サイクルの資産バブルである。マネー量の増加が生んだ、合理性のないバブルである。中央銀行の金融政策が生んだものである。
株の動画をあげているユーチューバーは、全員と言っていいくらい「前提(1)」でしょう。
吉田繁治さんは「前提(2)」で、私もそうです。
やはり「前提(2)」は世間では少数派のようで、それは新NISAで新たに株を始めた人が大勢いたことからもわかります。そうした人々は、今がバブルであるという認識はないでしょう。
もうだいぶ前になりますが、テレビで1980年代の日本のバブル時代を振り返る番組が報道されました。
そこに、バブル期に不動産や株で成金となり、バブルの崩壊とともに破産したバブル紳士と言われた初老の男性が登場していました。
そのバブル紳士が語った、「バブルのときは、バブルだとわからない」という言葉が、スタジオ参加者を大いに感心させていました。
バブルのときは、バブルだと気づかないものだと納得したようですが、私はこれは違うと思います。
バブルだと気づいている人もいるのです。
ただし、バブルで皆が踊っているときは、そうした人の意見は無視されるということです。
○バブル価格の不動産と株
以前、東京23区内のマンションの平均価格が1億3000万に達したという記事を載せたことがあります(森永卓郎氏)。
2024年の東京都の仕事の平均年収は約426万円です。
通常、不動産は年収の5倍が適正価格と言われています。426万円の5倍は2130万円です。ですから東京都のマンションの平均価格が1億3000万円になっているのを見て、これはおかしい……、と感じるのが普通だと思うのです。
株に関しても、価格が適正かどうかを見る指標があります。
それが、「シラーP/Eレシオ」と呼ばれるものです。
PER(Price Earnings Ratio)とは、株価が1株あたりの純利益(EPS)の何倍になっているかを示すものです。
単純に言えば、株価がその会社が1年間に生み出す利益の何倍(何年分)になっているかを示すものです。
吉田繁治さんのメルマガから抜粋して紹介させていただきます。
・・・<「吉田繁治さんのメルマガ」Vol.1463号から抜粋>・・・
株価と通貨には、理論的な妥当値はないのですが、過去の経験値はあります。
◎株価の妥当値を示すのは、10年の企業純益をもとにした、S&P500の株価指数のシラーP/Eレシオ(いわば10年PER)です。
140年の平均値は17倍、中央値は16倍です。
つまりPER16倍が米国株の経験的な妥当値であるということです。
(シラーP/Eレシオ)
https://www.multpl.com/shiller-pe
2024年8月の、S&P500のP/Eレシオは、34.5倍です(=S&P500株価指数÷500社の純益の10年平均)。株価は、企業純益の34.5倍という過剰期待の水準になっているのです。
米国株が8月、9月下落後は、現在のP/Eレシオ34.5倍が、歴史的な経験知の16倍に、6か月かけて下がる確率が約50%はあるという意味です。
16倍÷34.5倍=46%ですから、米国株ほぼ半分、日本株もほぼ半分です。(S&P500 5346ドル→2600ドル:日経平均4万円→2万円)
可能性ではありますが、この経験値は、無視できない。
・・・<抜粋終了>・・・
140年間の中央値が16倍ですから、S&P500が34.5倍になっていることは、本来の価格の2倍になっているということです。
日経平均もほぼ2倍ということなので、4万円という価格がバブルであることがわかります。
本来は半分の2万円なので、2万円がバブルとして上乗せされた部分ということになります。
ここでもし世界大恐慌のような事態になったら、企業利益は限りなく少なくなりますから、株価もそれに合わせて暴落していくことになります。
ここで私なりに、吉田さんの理論を深めてみます。
日本の株価がバブルの崩壊による低迷期を経てダイナミックな上昇を開始したのは、2012年末から始まったアベノミクスからです。
日銀が市中金融機関の国債を買いまくることで、市中に現金が溢れる事態となりました。
一部は日銀の当座預金にブタ積みになりましたが、一部は米国株や米国債に流れ、また一部は日本株に流れて、日経平均を長期に上昇させる原動力となりました。
こうして生み出されたバブルを過剰流動性バブルと呼ぶようです。
アベノミクスが始まる前の2012年12月7日の日経平均は9527円でした。
今から見ると隔世の感がありますが、1万円以下だったのです。この時期から今に至るまで日本の経済成長はなく、GDPはほぼ横ばいだったにもかかわらず、1万円の株価が4万円になったということは、日銀が刷ったお金が日経平均の3万円分の上乗せであったと見做すことができます。
海外のヘッジファンドの日本株買いですが、海外のヘッジファンドは円キャリートレードで金利の無い(マイナス金利)で円を調達して日本株を買っているので、結局は日銀が市中に大量に供給したお金が原因と言えます。
こうした点を考慮すれば、今の株価がバブルであると見做すのは妥当だと私は思っています。
テレビに登場したバブル紳士が、「バブルのときは、バブルだとわからない」と言った件ですが、「バブルだとわかるけれども、バブルがいつ弾けるか誰もわからない」と言ったとすれば、大いに納得します。
私は、今回の日経平均の大暴落は、世界的な金融クラッシュの前兆のように見えるのです。
ただし、バブルがいつ弾けるかがわからないのですが……。
○今回の大暴落の原因
私は普段テレビは観ないのですが、5日の大暴落をテレビはどのように報道しているか知りたくて観てみました。
すると判で押したようにどの局も、大暴落の原因は日銀の利上げによる円高とアメリカの雇用統計の悪化だと言っていました。
私は、アメリカの雇用統計が事前の予想より悪かったというのは材料としてほとんど関係なく、本質は日銀が金利を、0.1%→0.25%とあげた上に、今後も上げる方向性を示したことが原因だと思います。
わずか0.15ポイントの金利の上昇でも、これが外国人投資家をパニックに陥らせるほどのインパクトがあったということだと思うのです。
外国人投資家の日本での株の売り買い比率は7割を占めています。
その外国人による円キャリートレードのパニック的な巻き戻しが起こったのだと思います。彼らがパニックなれば、2営業日で6600円もの大暴落も起こりうると思うのです。
以下、高橋ダン氏の動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=t5urbyFolpI
○政府の思惑
今回の大暴落に関し、政府の興味深い動きがあります。
岸田首相が、「秋には、認定アドバイザーに相談する際の相談料を最大8割引とするクーポン券の配布」を行いたいと言い出しました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5e3e3b81771e2b1e7636ce4bb9d441f642b9b8c9
失礼な言い方ですが、まるで漫画のような政策です。
政府がやるべき政策なのでしょうか。
別の狙いがあるように感じます。
テレビの報道で私が違和感を感じたことは、株の専門家と言われる人が、人々に冷静になるように呼びかけていたことです。
株は長期に渡って上昇を期待するものだから、下がったといってすぐ売りに出すことはない、というアドバイスです。
おそらく政府がクーポン券を出す株の相談会でも同じことを言うのだろうと思います。
こうした政府、マスコミの動きから私が深読みした内容が以下です。
・政府は、これから株式市場がバブルの崩壊で奈落の底に落ちていくことを知っている。
・本格的な大暴落はまだ始まっておらず、ここで新NISAをやっている一般庶民が逃げ出してしまっては困る。そこでマスコミや株の相談料のクーポン券の配布で、「株は長期に渡って保持するもの」という誘導を行い、売らせないようにする。
株のようなゼロサムゲームでは、誰かの儲けは、誰かの損です。
一般庶民を株式市場に誘導して、資産を根こそぎ奪ってしまおうという動きではないか、と疑ってしまうのです。
○犠牲となるのは……
今年の春ですが、久々に東京で知人と会ったとき、新NISAを始めたと聞いて、ええっ! となりました。
その知人との付き合いは長いのですが、これまで知人が株の話をしたことはなかったのです。これほど新NISAが人々に浸透しているのかと思ってしまいました。
私の基本姿勢は、政府やマスコミの言うことに乗らない、ということです
・政府とマスコミがワクチンを打てといったら、打ってはいけない……。
・新NISAをやれといったら、やってはいけない……。
私には、新型コロナワクチンで国民を大量死させた政府が、今度は新NISAという甘い制度を餌にして国民の資産を奪おうとしているように見えてしまうのです。
今回ネットを見ていて、タレントの小倉優子さんが新NISAに疑問を呈していたということが話題になっていることを知りました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/4094112618696fb58f4e555dddca5eba3684c70b
政府は貯蓄から投資への掛け声と伴に、新NISAを大々的に推し進めてきました。
普通、金融取引の利益には20%の源泉課税があります。
それが新NISAだと1800万円までの投資分には無税だという特典を与えたのです。その結果、新NISAの口座を申請したのは、2000万人にのぼるといいます(なんと、日本人の6人に1人!)。
新NISAを始めた人は、今回の株の暴落で肝を冷やしたのではないでしょうか。
今回の株の暴落でどのくらいの被害が出たのか、吉田さんが検証しておられます。
・・・<「吉田繁治さんのメルマガ」Vol.1463号から抜粋>・・・
【後記:犠牲になったNISA投資家】
虎の子の預金で、あたらしくNISA投資をした個人投資家は、岸田政権の、「貯蓄から投資へ」の政策の犠牲者です。政府は米国民主党、ファンド、日本の証券会社からの要請でこれを行ったのです。
NISA口座数は2200万もあります。2200万世帯(42%)が、多かれ少なかれ、関与しているのです。投資額は40兆円と大きい。賃金の上昇より大きな6兆円位の損が生じているでしょう。
今後の消費不況も示します。
日本人の個人に、リスク資産を奨めるべきでなかった。岸田首相には、どんな思考力があるのか? 自分の立場を守ることが最優先の人格です。財政予算を分配する政権は、国民の幸福のために何をしたのか? 民主政治では、最大多数の国民幸福を高めることが目的であるべきです。
今日は日銀、財務省、政府の鳩首会議(管理人注)。何を発表できるのか。
たぶん結論は「・・・緊張感をもって市場を注視する・・・」。定見がないのです。
・・・<抜粋終了>・・・
(管理人注)
鳩首(きゅうしゅ)会議とは、人々が集まり、額を寄せ合って熱心に相談すること。
私は日本のバブルとその崩壊を体験した世代です。
1989年の年末、3万9千円の最高値に達した日経平均を見て、次は5万円、いや7万円まで行く……、といった景気の良い話が出ていました。
今回も案の定、5万円まで行くといった話が出ていたようです。
やはり、バブル紳士が言うように、「バブルのときは、バブルだとわからない」人が大多数のようです。
株式市場は、真剣を抜き合って切り合うような戦場でもあります。
そんな戦場に、株を一度もやったこともないような一般庶民を甘い優遇税制の罠で引きずり込んで、根こそぎ奪ってしまおうというのは、あまりに酷い話です。
吉野敏明さんも同様の意見のようです。
https://www.youtube.com/watch?v=fr88PBFjakQ
このところ宮崎、神奈川とけっこう大きめの地震が相次いで起こりました。
これは、これから起きるであろう、巨大災害の前兆のように私は感じています。
同じように今回の日経平均の大暴落は、これから起こるであろう世界同時金融崩壊と世界大恐慌の前兆のように感じます。
今は生き残りをかけて着々と準備をする時で、新NISAのような投資をする時期ではないという気がするのです。
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