日本人研究者たちが「大地震の前兆」を明らかに。査読済み論文として発表される

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人工地震 地震

日本人研究者たちが「大地震の前兆」を明らかに。査読済み論文として発表される

地震の前兆は地球と大気圏と電離層の全部に一気に起こる

宇宙と地球の共鳴のような…

日本人

 科学者による「地震の前兆を特定した」という内容の査読済みの論文について海外のメディアが伝えていました。

論文はこちらにあります。

この研究の理論の根幹となるものは、

 

「地圏 – 大気圏 – 電離圏結合理論」

 

というもので、英語では LAIC と略されるのが普通ですが、わかりにくくなるので、日本語で通します。

これは説明が難しいところですが、遡りますと、2011年の東北の震災を起こした地震について書いた以下の記事の後半に出てきます。

(記事)衝撃のデータ: 3月11日の地震の前に観測された日本上空の赤外線と電子量の急激な変化
In Deep 2011年05月20日

ここでは、「 2011年3月11日の地震の数日前から、震源の上空の電離層全体の電子量が劇的に増加していた」ことを示した研究をご紹介しています。

それと、震源の周辺上空で膨大な赤外線の放出が確認されていまして、平たくいえば「加熱されていた」状態でした。

2011年3月10日から3月12日までの赤外線のエネルギー量の変化

つまり、この時に観測されたことは、

「地震の発生前に上部の大気圏や電離層に大きな異常や攪乱が起きていた」

ということでした。

地面のほうではなく、「先に空のほうに異常が示されて」いたのです。

それで、先ほどの、地圏 – 大気圏 – 電離圏結合理論という概念ですが、「地圏」、「大気圏」、「電離圏」は、それぞれ以下のように説明されます。

地圏

内部を含む地球の地殻のことです。地球全体といっていいのだと思われます。

大気圏

地球の大気の層で、要するに、「地上から宇宙までの空間全部」ということになります。

電離層

Wikipedia の説明だと以下のようになります。

> 地球を取り巻く大気の上層部にある分子や原子が、紫外線やエックス線などにより電離した領域である。…電離層は熱圏および中間圏内(高度約 60kmから 500kmの間)に位置する。

非常に大雑把に書けば、それぞれ以下のようになります。

 

そして、地圏 – 大気圏 – 電離圏結合理論という概念は、

「このすべてに大地震の前に異常が検知される」

といっていいものだと思われます。

地震(特に大地震)の発生の前には、この地圏も大気圏も電離圏も、すべてに変化が起きるのです。

なお、この変化に対して、「地上で起きた地震からのエネルギーが上空に昇ったのではないか」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、しかし、地震の前兆として、

「地圏と大気圏と電離圏に同時に異変が起きる」

ことも確認されています。

また、電離層の異常については、「地震発生の何日も前に確認される」のです。

何が最も大きな地震の要素かについては、私自身は、宇宙からの要素(宇宙線など)だと思っていますけれど、要素はともかく、

「地震の前兆は、電離層と地球の大気と地殻すべてに異常や変化が出る」

のだと知りました。

なお、論文によれば、地震の前に変化が起きていたのは以下です。

地震の前に異常が起きていた項目の一部

・大気温度

・地表潜熱流束

・外向き長波放射

・電離層擾乱

mdpi.com

また、

> 電離層の擾乱などの兆候は地震発生の 6日前にはすでに認識されていた。

とあり、地震発生のかなり前から電離層に異常が出るようです。

なお、この「地震前の電離層の異変」については、京都大学の

 科学者たちが 2019年に論文で発表した内容について、こちらの記事でご紹介したことがあります。

 

今回の論文について取り上げていた海外メディアの記事をご紹介したいと思います。なお、研究を率いたのは、早川地震電磁気研究所の早川正志氏という方と電気通信大学の芳原容英(ほうばら やすひで)教授です。

このような取り組みが、少しでも大地震の前兆をとらえるシステムの開発につながればいいとは思います。…けれど、地震には他の要素もありますからね。太陽フレアとか

太陽フレアは大地震を誘発する…」という記事では、2020年にネイチャー誌に掲載された論文をご紹介しています。ここで取り上げた論文によれば、巨大な太陽フレアが大地震の発生と関係していることはほぼ間違いないようです。

ですので、地震のメカニズムにはいろいろな要素があり、複雑ですが(要素の多くは、空 / 宇宙からのもの)、それでも、やっと「地震現象は地圏だけでの現象」というところから科学の世界は少しずつ離れていくのかもしれないですね。

ここから記事です。実際の記事は、専門語を英語の略語で示していますが、わかりにくいですので、全部日本語にしています。また、太字はこちらで施しています。


 


研究は、複数のパラメータ分析を通じて2021年福島地震の前兆を明らかにした

Study reveals precursors to the 2021 Fukushima earthquake through multi-parameter analysis
watchers.news 2024/09/01

2021年2月13日、2011年の東北地方太平洋沖地震の余震として福島県沖で発生した 2021年福島県沖地震(M 7.3)の前兆現象を解明するための新たな研究が行われた。早川正志氏と芳原容英氏が主導したこの調査では、地震前に発生した「地圏 – 大気圏 – 電離圏結合理論」(LAIC)チャネルとマルチパラメータ異常に焦点が当てられた。

 

この研究者たちは、地震が起こる何日も前に、電離層の擾乱や大気の異常といった前兆を特定した。

この研究は、特に福島のような地震活動が活発な地域において、地震早期警報システムを改善するために、継続的な監視と多様な観測アプローチの統合の重要性を強調した。

早川正志氏と芳原容英氏は、2021年2月13日14時07分(UTC)に発生した福島県沖地震(M 7.3)の前兆現象の研究を主導した。

 

早川氏は、早川地震電磁気研究所および東京の電気通信大学の先端無線通信研究センターに所属している。芳原氏は、電気通信大学のコンピュータ・ネットワーク工学科および宇宙

 科学・電波工学センターに勤務している。研究者たちは、地震に関連するマルチパラメータの前兆現象と地圏 – 大気圏 – 電離圏結合(LAIC)経路を調査した。

研究者たちは以下のように述べている。

地震の準備段階は、地震前兆のマルチパラメータおよびマルチレイヤー観測を最大限に活用して調査され、地圏 – 大気圏 – 電離圏結合(LAIC)プロセスをよりよく理解することを目的としています。

この目的のために、私たちは特定のターゲット地震、2021年2月13日の福島県沖地震(M 7.3)という巨大な地震を選択しました。

2021年2月13日、日本の福島沖でマグニチュード7.3の大地震が発生した。この地震は、壊滅的な被害をもたらした 2011年の東北地方太平洋沖地震と津波からほぼ 10年後に発生し、この地域での余震や別の大地震のリスクに対する懸念を引き起こした。

地震の前に、科学者たちは、差し迫った地震活動を予兆する可能性のあるいくつかの前兆現象に気づいていた。

これらの前兆には、大気温度、地表潜熱流束、外向き長波放射、衛星研究によって発見された電離層擾乱など、さまざまな地球パラメータの異常が含まれていた。

地震の震源地は日本の福島県沿岸沖で、この地域は地震の歴史と津波に対する脆弱性から厳重に監視されてきた。

この地域は、地震活動が活発なことで知られる環太平洋火山帯の一部であり、この地域は、地震の前兆現象をより深く理解し、早期警報システムを強化するために、さまざまな研究の対象となってきた。

地震の数日前には地球のいくつかのパラメータに異常が見られ、電離層の擾乱などの兆候は災害の 6日前にはすでに認識されていた。

 

福島地震の前に見られた異常現象は「地圏 – 大気圏 – 電離圏結合」メカニズムの一部であると考えられており、地球の表面、大気、電離層の変化が相互に関連しており、地震発生の前兆として作用する可能性があることを示唆している。

たとえば、地殻の応力によりラドンガスが地殻から漏れ出すと、気温や湿度が変化し、電離層の状態に影響を及ぼす。これらの相互に関連したプロセスは、差し迫った地震の早期警告サインとなる可能性があるが、正確なメカニズムはまだ調査中だ。

これらの前兆現象の検出は、衛星データ、地上センサー、その他の監視技術を使用することで実現可能になった。

SWARM 衛星群(欧州宇宙機関の地磁気観測衛星)などの衛星は電離層の擾乱を検出するのに役立ち、地上 GPS と気候データは地表と大気の異常を明らかにする。

これらの観測を調整することで、

 科学者たちは、地圏 – 大気圏 – 電離圏結合の潜在的な 2つの経路を特定することができた。

1つは、地球の表面と電離層の異常が同時に発生する「高速」経路、もう 1つは、地球の表面への影響が数日遅れて電離層まで上方に伝播する「低速」経路だ。

これらの研究結果は、地震の発生を予測するためには継続的な監視と多様な観測技術の統合が必要であることを強調し、最終的にはより効果的な早期警報システムの構築につながる。

今回の福島沖地震の前兆現象の研究は、地震のメカニズムの理解を深め、地震活動地域における大災害への備えを強化する上で重要な一歩といえる。

研究者たちは以下のように結論付けている。

地圏 – 大気圏 – 電離圏のメカニズムや経路のさらなる研究とともに、さまざまな層に関連するさまざまな地球物理学的パラメータに基づく早期地震警報システムに取り組むことが必要です。

衛星データは、その広範な地球規模のカバー範囲とタイムリーさにより、さまざまな種類の地震前兆の研究に使用できる非常に有望で有用なツールです。

さらに、機械学習やファジー推論システムなどの最近の進歩により、これらの衛星データ(できれば広範な地上観測データと併用)へのAI(人工知能)の適用可能性は、このような短期地震警報システムの実現に不可欠な関心事です。

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