今年11月から、ほぼ全ヨーロッパへの入国に指紋や生体認証登録を含む新しいデジタル入国・出国システムが「義務化」されることをEUが唐突に発表
徐々に狭められてゆく自由の境界!
9月5日に英国政府のウェブサイトに「新しいEU入国・出国システムに関する情報とアドバイス」というページがリリースされていました。
これは、
> 2024年秋から、EUはシェンゲン協定外の国境のセキュリティを強化するために、新たなデジタル国境システムを導入する予定です。
の文言で始まるページで、何か新たな入国システムが唐突に始まるようです。
この「シェンゲン圏」とは何かというと、以下の地域です。
シェンゲン圏
シェンゲン圏は、相互の国境で国境管理を公式に廃止したヨーロッパを含む地域。欧州連合自由、安全、司法政策た共通ビザ政策の下で単一の管轄区域として機能する。
ルクセンブルクのシェンゲンで調印されたシェンゲン協定と 1990年のシェンゲン条約で名付けられた。EU加盟 27カ国のうち、25カ国がシェンゲン協定に加盟している。
2024年3月31日にシェンゲン協定に加盟した最新加盟国であるブルガリアとルーマニアは、空路と海路の国境のみが開かれており、陸上国境管理は解除の合意を待って引き続き実施されている。シェンゲン協定に加盟していない EU 加盟国はキプロスとアイルランドのみ。
やや、わかりにくいですが、以下の青の国がすべてシェンゲン圏です。
シェンゲン圏
Schengen Area
2024年11月以降、これらの国に入国するためには、EES という新しい入国・出国システムに登録しなければなりません。上の地図には英国が入っていませんが、この発表が英国政府から行われていたことからおわかりのように、英国もこの新しい入国システムの国に含まれます。
来年には、ETIAS という、さらに新しい入国システムが導入されるとも書かれています。
英国政府のニュースリリースをご紹介いたします。太字はこちらでしています。
EU入国・出国システム – 新しいEU入国・出国システムに関する情報とアドバイス
EU Entry/Exit System Information and advice on the new EU Entry/Exit System
gov.uk 2024/09/05
2024年秋から、EU はシェンゲン協定外の国境のセキュリティを強化するために、新たなデジタル国境システムを導入する予定です。
入国・出国システム(略して EES )と呼ばれる新しい登録手続きは 11月に導入される予定ですが、EUは具体的な導入日をまだ確認していません。
これは、キプロスとアイルランドを除くすべての EU諸国を含むシェンゲン圏への旅行者に適用されます。さらに、非 EU諸国であるアイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタインもシェンゲン圏の一部です。
これにより、EU 域外のほとんどの国民は、シェンゲン圏に入る際にデジタル記録を作成し、指紋の提供や写真撮影などの生体認証情報を登録する必要があります。これには、1人あたり数分しかかかりません。
英国人旅行者は、EES 導入後、EU への最初の訪問時にこれを行う必要があります。彼らの記録は、シェンゲン圏への入国時に指紋または写真のいずれかで確認されます。
イングランド南部の一部の港(ドーバー、ユーロトンネル、セント・パンクラス – フランス国境警備隊が英国で入国審査を行っている場所)では、出国前に EES が実施されます。
EES に関する詳しい情報は、EU の公式 Travel Europe ウェブサイトでご覧いただけます。
EU が EES を導入する理由は何ですか?
EES は、入国者の新しいデジタル記録を保持することで、シェンゲン圏内の不法移民に対処するなど、国境のセキュリティを向上させるように設計されています。
また、EU 加盟国に入国するたびにパスポートに手動でスタンプを押す現在のシステムを、より自動化された国境管理チェックに置き換え、EU が滞在期間の超過を防止できるようにします。
EES は、EU が国境警備を強化するために行っている幅広い取り組みの一環です。2025年に、EU は新しい欧州渡航情報および認証システム(ETIAS)を導入する予定です。
ETIAS により、シェンゲン圏に渡航する人は、シェンゲン圏に向けて出発する前に、自分自身と渡航計画に関する情報を提出し、7ユーロの手数料を支払って渡航許可を申請する必要があります。
EU はすでに、各国籍者にどのような情報が求められるかを含め、 ETIAS に関する詳細情報を公開しています。これは、EU の公式 Travel Europe ウェブサイトでご覧いただけます。
シェンゲン圏への旅行への影響
EES が導入されると、旅行者はシェンゲン協定国との国境で登録を義務付けられます。到着時に港や空港で登録し、専用のブースで指紋を提出し、写真を撮影します。
検査は一人当たり数分しかかかりませんが、シェンゲン協定国に渡航する人にとっては待ち時間が長くなる可能性があります。
旅行者は国境で生体認証情報を提出するだけでよく、EES が初めて導入されたときには、旅行前にそれ以上の情報を提供する必要はありません。
EES に関する詳細情報は EU の公式 Travel Europe ウェブサイトをご覧ください。
2024年9月5日発行
コメント