主要先進国が着実にGDP(国内総生産)を増やしてきた中で、日本のGDPは、ここ30年ずっと横ばいを続けてきました
https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je22/h06_hz020101.html
GDPが伸びないこうした状態を、失われた30年と言う人もいます。
私は前々からなぜそうなったのか知りたいと思っていたのですが、バブル崩壊の後遺症がすさまじいがゆえに、その後30年も経済成長できなかったのだろうという単純な理解をしていました。
しかしそれは、素人の浅はかな理解だったようです。
『書いてはいけない日本経済墜落の真相』(森永卓郎著、フォレスト出版)を読んで、日本が経済成長できなかった最大の理由が財務省にあったことがわかりました。
こうしたことは、実は政府関係者や専門家の人たちは知っていたことなんだそうです。
ただし、財務省の圧倒的権力の前に、そうした専門家の人たちが口をつぐんでしまい、私たちに情報が届かなかっただけのようです。
森永卓郎氏によると、日本のメディアではけっして触れてはいけないタブーが3つあるそうです。
・・・<『書いてはいけない日本経済墜落の真相』、p3~p4から抜粋開始>・・・
けっして触れてはいけない「タブー」
私がテレビやラジオなど、メディアの仕事をするようになって四半世紀以上が経過した。その経験のなかで、メディアでは、けっして触れてはいけない「タブー」が3つ存在した。
(1)ジャニーズの性加害
(2)財務省のカルト的財政緊縮主義
(3)日本航空123便の墜落事件
この3つに関しては、関係者の多くが知っているにもかかわらず、本当のことを言ったら、瞬時にメディアに出られなくなるというオキテが存在する。それだけではなく、世間から非難の猛攻撃を受ける。下手をすると、逮捕され、裁判でも負ける。
だから、賢い人はそうした話題には最初から触れない。知らぬ存ぜぬを貫くことだけがメディアに出続けるために必要なことだからだ。ただ、私はそうした態度を取ることができない性格だ。そこで2022年の年末から2023年の年初にかけて、『ザイム真理教』という本を一気に書き上げた。タブーのなかの1つである「財務省のカルト的財政均衡主義」に斬り込み、それが日本経済にとてつもない惨禍(さんか)をもたらしていると主張する本だ。
書いた内容は、政府関係者や富裕層全員が知っている話だ。刊行後、ある読者から届いた感想のなかに「この本に書かれていることは、何一つ新しいことはないが、誰もそれを書いてはこなかった。それを書いた勇気は称賛に値する」というものがあった。ただ、勇気だけの問題ではなかった。出版ができたこと自体が奇跡だったのだ。
・・・<抜粋終了>・・・
私は最初、「出版ができたこと自体が奇跡」というのは、ちょっとオーバーじゃないのと思いました。
私は『ザイム真理教』を読んでいませんが、数ある経済本の一つぐらいにしか考えていなかったからです。
でも、本で出版の経緯を読んで、けっしてオーバーではないことがわかりました。
森永卓郎氏は、2023年の暮れに末期がんの宣告を受けたそうです。それゆえ、森永氏の「命あるうち、この本を完成させ世に問いたい」という切実な思いが、けっして触れてはいけないタブーに挑戦させたことがわかりました。
それでは、『ザイム真理教』に書かれていた内容をコンパクトにまとめた部分を抜粋して紹介させていただきます。
森永氏は、旧統一教会と財務省は全く同じ体質(カルト)だという視点から書いています。
・・・<『書いてはいけない日本経済墜落の真相』、p67~p73から抜粋開始>・・・
この30年間、先進国では、日本だけが経済成長をしていない。統計データをきちんと見ている経済学者なら、その最大の原因の1つが緊縮財政であることは、みなわかっている。だから、まともな経済学者は、財政緊縮路線を批判する。
ただ、私には不満があった。それは、なぜ財政緊縮が行なわれているのかという分析がないことだ。
もし、財務省が財政緊縮政策をやめて、適切な財政出動(減税を含む)をすれば、経済は大きく成長する。その結果、税収が増えて、財政緊縮策を採るよりも、財政収支が改善するのは明らかだ。それなのに、なぜ財務省は増税や社会保険料負担増、そして社会保障や公共事業のカットを続けるのか。
私の答えは明確だ。それは財務省が「宗教」を通り越して、「カルト教団」になっているからだ。宗教とカルトは「神話」を作って信者をコントロールするという構造を共有している。しかし、そこには決定的な差がある。宗教の最終目的は信者に現世での幸福をもたらすことだが、カルトは教祖や幹部の幸福が目的で、それを実現するために信者の暮らしを破壊してしまうのだ。
2023年10月13日、文部科学省が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令を東京地裁に請求した。解散命令請求に必要な「継続性」「組織性」「悪質性」の3要件を満たしたからだという。この3要件がカルト教団の特徴なのだ。そして、この3要件はそのまま財務省にも当てはまる。
まずは「継続性」だ。旧統一教会は1980年ごろから高額献金を受け取り、それが継続しているという。タイミングは偶然にも、財務省(旧大蔵省)と同じだ。
1973年に石油ショックが起きたことで、日本経済は深刻な不況に見舞われた。それを脱却しようと政府は公共事業を中心とした大規模な財政出動を行ない、その財源として戦後初めて大規模な国債発行に踏み切った。国債の大部分は10年債だ。石油ショック後に発行した国債の償還期限が迫ってくる。そこで、大蔵省は1980年ごろから「財政再建元年」というキャッチフレーズを掲げて、増税路線に舵を切った。それ以降、増税路線が揺らいだことは一度もない。実際、国民負担率(税・社会保障負担が国民所得に占める割合)はずっと右肩上がりで、2022年度(実績見込み)は47.5%とほぼ5割に達している。江戸時代で言えば、一揆や逃散が頻発したところまで今の日本はきているのだ。にもかかわらず、財務省は増税の手綱を緩めようとはしない。
第二の「組織性」の問題だ。旧統一教会は、高額献金を集めるために、共通の手法を用いてきたと文科省は主張している。
旧統一教会は、「高額の壺や経典を売りつけるような霊感商法を組織として行なっておらず、献金はあくまでも信者の意思に基づくものだ」と主張している。表面的にはそのとおりだが、本質は変わっていない。「この世の人たちはすべて堕落人間で、神の子にならないと地獄へ落ちる」という恐怖を信者に植え付け、「その恐怖から逃れるためには献金をしなさい」と説く。
財務省のやっていることも基本的に同じだ。「日本は世界最大の借金を抱え、財政破綻が国民生活の破綻をもたらす」という恐怖心を植え付けることで、増税や社会保険の負担増を正当化する。もちろん、それは真っ赤なウソだ。
2020年度末で、国は1661兆円の負債を抱えている。しかし、国は同時に資産も1121兆円持っている。政府がこんなに資産を持っている国は、日本以外にない。国の財政状況をとらえるには、資産と負債、両方を見る必要があり、両者の差額である540兆円が本当の日本政府が抱える借金となる。2020年度の名目GDP(国内総生産)は527兆円なので、GDPと同額程度の借金ということになり、これは先進国ではごくふつうの水準だ。
さらに、日本政府は「通貨発行益」という巨大な財源を持っている。日銀が保有している国債は2023年3月末で576兆円に達している。日銀に国債を借り換え続けてもらえば、元本を返す必要はないし、政府が払う利子も日銀のわずかの経費を除いて、ほぼ全額が国庫納付金として戻ってくるので、事実上、政府が日銀に国債を買わせた瞬間に利益を得たのと同じことになる。これを私は「通貨発行益」と呼んでいる。この通貨発行益も含めて考えれば、日本は現在、借金ゼロの状況になっているのだ。
にもかかわらず、財務省は「財政赤字を拡大したら国債が暴落し為替が暴落し、ハイパーインフレが国民を襲う」と国民を脅迫する。だが、アベノミクスが図らずも、それが間違っていることを証明してしまった。
新型コロナウイルス感染症の拡大で、莫大な予算で対策を講じた2020年度の基礎的財政収支の赤字は80兆円に達した。税収を上回る赤字を出したにもかかわらず、国債の暴落も、為替の暴落も、ハイパーインフレも、まったく起きなかったのだ。
にもかかわらず、岸田政権は猛烈な勢いで財政緊縮を進め、2023年度の基礎的財政収支の赤字は、当初予算ベースで10兆円と、たった3年間で70円もの財政引き締めを行なった。国民生活が疲弊して当然なのだ。
なぜ財務省は「経済を拡大して税収を増やす」という方策を採らず、増税や負担増だけを目指すのか。そこには、財務省内での人事評価が大きく関わっている。
財務省では、増税を「勝ち」と言い、減税を「負け」と言う。増税を実現した財務官僚は高く評価され、その後、出世して、最終的に豪華な天下り先が用意される。天下り先での年収自体は数千万円だが、そこに個室と秘書と専用車と海外出張と交際費という豪華5点セットがついてくる。天下りを1人受け入れただけで、受け入れ先には1億円以上の負担が降りかかってくると言われている。
一方、財政出動をした結果、経済が成長して、税収が増えたとしても、財務官僚にはなんのポイントにもならない。だから、財務官僚は増税のことしか考えない。財務省の思考には、経済全体の視点や国民生活のことなど、まったく入っていないのだ。
そして第三の「悪質性」だ。文科省によると、旧統一教会について、高額献金や霊感商法などの金銭トラブルで教団の損害賠償責任を認めた判決が32件、被害の総額が約22億円に及び、和解や示談を含めると被害者は約1550人、解決金などの総額で約204億円となったとしている。
一方、財務省はどうか。1980年度の国民負担率は30.5%だった。2022年度はこれが47.5%と17ポイントも上昇している。国民負担率が1980年度のままだったとしたら、現在の国民負担は1年あたり70兆円も少なかったことになる。国民の被害は旧統一教会の比ではないのだ。
しかも統一教会は信者だけから献金を集めているが、財務省は信者だけでなく、国民全体から無理やり徴収をしている。悪質性という意味では、はるかに罪が重い。
さらに、もうひとつ忘れてならないのは、布教活動のやり方だ。カルト教団は、正体を隠して市民に近づき、徐々にマインドコントロールを深めていく。財務省も同じことをする。「ご説明」と称する布教活動だ。その最大のターゲットは、政策決定の権限を持つ閣僚や政権幹部だ。
たとえば、消費税の増税反対を掲げて政権交代を果たした民主党政権に対して、財務省は政権発足直後から猛烈な「ご説明」攻撃を行なった。その結果、菅直人首相は自民党案の消費税増税がよいと発言するようになり、野田佳彦首相は、自民、公明との3党協議で消費税率10%への道筋をつけてしまった。第二次安倍政権のときも、安倍晋三首相のところに財務省は頻繁に「ご説明」攻撃に訪れた。
しかし、安倍首相は、消費税率の引き上げを2度にわたって延期するなど、反財務省の姿勢を貫いた。『安倍晋三回顧録』(中央公論新社)のなかで、安倍首相は次のように語っている。
「デフレをまだ脱却できていないのに、消費税を上げたら一気に景気が冷え込んでしまう。だから何とか増税を回避したかった。しかし、予算編成を担う財務省のカは強力です。彼らは自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しに来ますから」
本来、行政機構というのは、国民が選挙で選んだ国会議員のなかから内閣総理大臣が指名され、総理大臣が組閣をして、大臣が各省庁の行政をコントロールすることになっている。ところが、財務省だけは、総理大臣が気に入らなかったら、それを倒しに来るのだ。
また、ザイム真理教は、カルト教団と同じく、布教活動に熱心だ。メディアに対して、細かく丁寧なご説明に足を運ぶとともに、財政緊縮政策を批判する論調を記載したメディアには容赦なく税務調査に入る。
そうしたことの結果として、新聞でもテレビでも、「日本の財政は世界最悪の状況であり、消費税を中心とした増税を続けていかないと、次世代に禍根(かこん)を残す」という根拠のない神話が繰り広げられていく。メディアがそうであれば、多くの国民が騙されてしまうのも仕方がないことなのだ。
・・・<抜粋終了>・・・
正直なところ、私はこうした財務省の立ち位置を知りませんでした。
日本の政府・行政の上にはDSがいて、日本をコントロールしているのだろうぐらいにしか考えていなかったのです。
しかし実際は、時の政権を倒す権力を持った財務省が政権の上にいて、(自分たちの利益最大化を求めて)政治に介入していたことがわかりました。
つまり、日本のトップにDSがいて日本を牛耳っていて、その下に財務省と政府があり、財務省の方が政府より上にいるという構図のようです。
その構図がよくわかる部分があったので抜粋します。
・・・<『書いてはいけない日本経済墜落の真相』、p113~p114から抜粋開始>・・・
2023年11月8日、衆議院財務金融委員会で、鈴木俊一財務大臣は岸田総理が打ち出した「税収増を国民に還元する」という所得税・住民税減税に関して、次のような答弁をした。
「税収の増えた分は、政策的経費や国債の償還などですでに使っている。減税をするなら国債を発行しなければならない」
岸田総理の打ち出した政策を真っ向から否定したのだ。
この発言を受けて、メディア各社は一斉に「財務省が岸田総理を切り捨てに来た」と報じた。総理の打ち出した最重要政策を財務大臣が否定するというのは、閣内不統一にほかならないし、鈴木財務大臣はフリートークで話したのではなく、答弁書を読んでいた。答弁書を作成したのは財務省だ。だから、財務省が岸田政権をつぶしに来たというのはきわめて自然な解釈なのだ。
安倍晋三元総理は『安倍晋三回顧録』のなかで「予算編成を担う財務省の力は強力です。彼らは、自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しに来ますから」と述べている。その言葉どおりに「減税」という財務省の意向に従わない政策を採った岸田総理を倒しに来たのだ。
しかし、冷静に考えたら、この権力構造は明らかにおかしなものだ。
国民が選んだ国会議員の投票によって、内閣総理大臣、すなわち行政機関のトップが選ばれる。財務省は当然その指揮下に置かれる。ところが、こと財務省だけが、総理大臣の上に立ち、総理の打ち出す政策が自分たちの意向に沿わないと、総理大臣を切り捨てに来るのだ。
国民は財務省の官僚を選挙で選んだわけではない。国民に選ばれていない人が、国権の最高権力者として君臨するという統治機構は明らかにおかしいのだ。
・・・<抜粋終了>・・・
私は森永氏によって、失われた30年に関する私なりの知見を得ることができました。
なぜ、30年もの間、日本は経済成長と無縁だったのか。
それは、1980年度は30.5%だった国民負担率が、2022年度は47.5%と17ポイントも上昇したことが大きな原因だったと思うのです。
代表的なものが消費税です。
消費税は1989年(平成元年)に税率3%で導入されてから、5%、8%、そして2019年10月には10%に引き上げられました。
消費税率のアップは、国民負担率を増やすとともに、消費不況をもたらします。
日本では個人消費がGDPの6割を占めるので影響は大きいはずです。
また、小泉政権によって労働者派遣法が改正され、非正規雇用者の割合が大きく増えたこともあると思います。非正規雇用者の割合は、1980年の前は1割程度だったのに、2020年には4割近くまで増加しました。
非正規雇用者は、生活するのにギリギリの低賃金しか得られないので、消費が活発化するはずがありません。
この30年は、賃金は上がらないのに、国民負担率だけが上がってきたのです。国民の生活は向上するどころか、苦しくさせられてきたのです。
要するに、この30年間、政府は国民からお金を絞り上げてきたわけです。
国民にお金が無いのですから、物が売れるはずがありません。そうなると企業は、いくら低金利だといっても、物が売れないのですから設備投資を増やすはずがありません。
これがアベノミクスで大量のお金を刷っても、景気が上向かなかった原因でしょう。刷った大量のお金は、一部は企業の内部留保に回るとともに、不動産屋や株に回ってバブルを発生させました。
こうして株や不動産を持った富裕層と、非正規雇用者に代表される貧困層の2極化を加速させました。
経済成長を伴わない株や不動産の急激な上昇はバブルです。
バブルは必ず弾けます。
新NISAをやっている人は根こそぎ資産を奪われる日が近づいている気がします。
それにしても国民負担率が47.5%というのは驚きです。
江戸時代であれば、五公五民で一揆寸前のレベルです。
日本国民は、こうした理不尽な圧政を、いつまでじっと耐え忍ぶつもりなのでしょうか。
(2024年9月21日)
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