新規取得にかかる手数料は現行の2050円から1550円に、更新の場合は現行の2500円から2100円に値下げする
警察庁は12日、運転免許証とマイナンバーカードの一体化に向けた道路交通法施行規則などの改正案をまとめた。2025年3月に施行する方針も明らかにし、運転者のデータも内蔵した「マイナ免許証」の導入時期が固まった。
自治体と警察に分かれていた住所変更手続きがワンストップで完結するといった利点がある。
政府は24年度末までの一体化を目指していた。免許証のICチップに記録されている▽免許保有者の写真▽有効期間▽免許の種類▽眼鏡の着用などの条件――といった情報をマイナカードのICチップに加える。マイナカードの券面は変わらない。
一体化は任意で、免許センターや一部警察署で申請できる。既存の免許証は廃止せず、マイナ免許証と両方持つこともできる。マイナ免許証のみを保有する場合は新規取得時や更新時の手数料が比較的安くなる。
利便性が向上するのは住所変更の手続きだ。現在は転居時に自治体と警察双方への申請が必要になる。マイナ免許証では自治体で手続きすると、本人の同意に基づき警察庁の「運転者管理システム」に変更内容が反映される。
免許更新時の講習も受けやすくなる。優良運転者と一般運転者はマイナカード所有者の個人向けサイト「マイナポータル」で所定の講習動画を視聴すれば受講したとみなす。写真撮影や視力検査は引き続き免許センターなどで実施する。
警察庁は25年3月から免許証の取得や更新にかかる手数料も見直す方針だ。最も手数料が安いのはマイナ免許証のみ保有する場合で、新規取得にかかる手数料は現行の2050円から1550円に、更新の場合は現行の2500円から2100円に値下げする。
更新時の講習にかかる手数料も一部下げ、オンライン講習を受講する場合は優良運転者と一般運転者ともに一律200円とした。
現行の運転免許証のみ持つ場合の手数料も見直し、新規取得時は2350円、更新時は2850円に値上げする。警察庁は「オンライン講習の導入や昨今の物価変動を考慮し価格を見直した」としている。
警察庁は改正する各規則の施行日を25年3月24日と示した。一体化の手続きは同日から可能になる見通しだ。情報のひも付けミスを防ぐため、マイナカードに免許証データを記録する手続きは対面で実施する。
マイナンバーは国や自治体が社会保障と税の個人情報を効率良く管理する目的で16年に導入された。ICチップに個人情報を内蔵したマイナカードは8月末時点で約9347万人が保有し、23年末時点で約8186万人が持つ運転免許証を上回っている。
保険証を一体化した「マイナ保険証」は21年から本格導入され、24年7月末時点でカード保有者の80%が登録した。政府は現行の保険証について12月に新規発行をやめ原則廃止とする方針を示しているが、不安の声を受け移行時期が自民党総裁選の争点として浮上している。
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