本質的原因は…

2024年も景気の悪さばかりが目立った日本だが、2025年には日本経済が上向きになるための打開策はあるのだろうか。

「日本の経済低迷の直接的原因は消費増税ですが、本質的原因は『国債発行規律』という緊縮的な財政規律にあります。いずれの消費増税も、この規律を実現するがためになされたものです。

例えば、国民民主党が主張する103万円の年収の壁を178万円に引き上げる案は、国や地方で7~8兆円の減収を導くとされていますが、2000年代初頭に民主党政権で導入された『プライマリーバランス黒字化目標(PB規律)』という、国債発行額を『ゼロ』にすることを企図した財政規律が今も日本の財政を縛り付けているのですが、これが撤廃されずに存在し続けている限り、7~8兆円のPB赤字の拡大分を埋め合わせるための支出カットおよび増税が行なわれることになります。つまり全く実質的な減税がなされないことになる。

コロナで給付金を配ったとしても、結局そのための予算カットや増税が行なわれる…。日本はこのようなことを四半世紀以上にわたって続けてきており、これこそが日本が低迷し続ける最大の根本的要因なんです。

つまり石破政権がPB規律の旗を降ろさない限り、日本が成長することは万に一つもないのです。もしも日本が本当に成長したいというなら、PB規律の一時凍結か、諸外国と同様の規律に緩和することが必要不可欠です。それができない限り、韓国どころか、近い将来タイやベトナムにも追い抜かれることとなるでしょう」

日本経済の停滞を招いたとされる消費増税とPB規律。果たして石破政権と国民民主党・玉木代表はどう動くのか。

2024年の冬の賞与が4年連続増加の見通しとなるなど明るい兆しも見えてきた。まだまだ課題は山積みの日本だが、2025年は少しでも経済が上向く年となってほしい。

取材・文/木下未希 集英社オンライン編集部

「近い将来、タイやベトナムにも抜かれる」と言われる日本経済の行く末は…(写真はイメージです)
「近い将来、タイやベトナムにも抜かれる」と言われる日本経済の行く末は…(写真はイメージです)