米国で日本人「入国拒否」続出、F1ドライバー角田選手もトラブルのなぜ

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米国空港ターミナル 世界の出来事

米国で日本人「入国拒否」続出、F1ドライバー角田選手もトラブルのなぜ

空港の審査官に“疑われがち”な条件・傾向はある?

この年末年始、円安傾向が依然として続く中で、実は海外旅行に行く人の数が増加するのではないかと推計されている。

大手旅行代理店のJTBは12月5日、「年末年始(2024年12月23日~2025年1月3日)の旅行動向」を発表。海外への旅行人数は52万人と推定されており、コロナ前の2019年比では69%とまだまだ回復途中であることがうかがえるが、それでも前年比113%と、昨年に比べて増加する見込みだ。

 

1月1日~3日の三が日に加え、今年は12月28日~29日、1月4日~5日が土日にあたるため、“奇跡の9連休”となる人も多い。JTBの海外旅行の予約状況(12月4日付)も、前年比130%と好調だという。

ただ、海外の物価高や円安の影響もあり、同社は「旅行日数は短期で比較的日本から近い韓国などが目的地となる割合が高い一方で、人気の高いハワイや欧米豪を訪れる人もいて、二極化が進んでいる」と分析している。

アメリカで「日本人の入国拒否」相次ぐ

上述したJTBの調査では、今後の海外旅行の実施意向で「すぐに行きたい」との回答がもっとも多かった行き先はハワイ(15.2%)だったという。

ただ近年、日本人が米国で「入国拒否された」とのトラブルがたびたび聞かれる。

たとえば、日本人女性がハワイなどを訪れようとした際に、売春目的での渡航を疑われ、入国拒否される事例もあるといい、米国土安全保障省も、この事態について日本の警察庁へ情報提供しているとのことだ。

日本人女性「売春疑われた…」アメリカへの“入国拒否”相次ぐ このまま増えれば「ESTA利用国」除外の可能性も?

ほかにも、少し特殊な事例ではあるものの、複数のスポーツ紙によると、Visa Cash App RBの日本人F1ドライバー、角田裕毅選手は11月、米国・ネバダ州で開催されたF1ラスベガスGPに出場するため、現地の空港を訪問。その際、入国審査で別室に連れていかれ、数時間の尋問を受けたという。

角田選手はビザなどの必要な書類はすべて所持していたというが、「一時は帰国させられかけた」と海外メディアの取材に回答。

何が原因でこのようなトラブルに発展してしまったのかは不明であるものの、「パジャマのような格好をしていたからかもしれない」と語っている。

「正当な理由、証明するためのエビデンスが必要」

では、実際にアメリカの入国審査で別室に連れていかれるなど、審査官に疑われてしまいがちな条件・傾向はあるのだろうか。

アメリカの入管法に詳しいタイタノ誠弁護士は次のように解説する。

「大前提として、アメリカでは『この人は入国する権利を持ち合わせていないのでは』『不法入国者ではないか』と疑うところから入国審査が始まります。

そのため、入国を希望する人は、正当な理由があると証明する必要があります。

たとえば、旅行であれば、『どこに泊まるのか』『どういった旅程なのか』など目的に沿ったエビデンスが必要です。

ちなみに、角田選手のケースですと、パジャマのような恰好をして入国するというのは、学生などであれば問題なかったのかもしれませんが、ひょっとすると『F1ドライバーと名乗っているのに、らしくない格好だ』と思われたのかもしれません。

同様に、一般の方が入国する場合も、渡航目的と相応の服装で、入国審査に臨んだ方が良いかでしょう」(タイタノ弁護士)

空港や審査官によって“厳しさ”変わる場合も…

ほかにも、過去の渡航歴や、アメリカのどの空港から入国するのかによって、審査に影響がでてくるという。

「テロ防止など、安全保障上の理由から、アメリカの非友好国への渡航歴がある場合には、審査が厳しくなったり、入国を拒否されたりする可能性もあります。

また入国審査の傾向、たとえば特定の属性や国に対する厳しさなどは、空港ごとに変わってきます。加えて、審査官個人の独断と偏見で疑われることもあるのが実情です」(タイタノ弁護士)

ビザの取得、注意すべきポイントとは

渡米する場合、留学やビジネス、90日を超える長期旅行といった目的や、滞在日数などの条件によって、異なる種類のビザを取得しなければいけない場合もある。

その際の注意点について、タイタノ弁護士は以下のように話す。

「ビザを取得する場合も、『偽りの名目で入国し、実際にはアメリカで就労したり不法移民として居ついたりするのではないか』と疑われないよう、ビザの発行を受けるためのエビデンスを用意する必要があります。

エビデンスは、たとえば往路だけでなく、帰路の分を含めた往復の航空券を準備したり、旅先での予定を提出できるよう、紙の資料でまとめておくことなどが重要です。

ほかにも、『資力があり、不法就労のリスクがない』と示すために、預金の残高証明書を提出することが望ましい場合があります。

同様に、『不法滞在のリスクがなく、日本と密接な繋がりがあり、予定している渡航期間終了後には帰国しなければならない』と証明するため、勤務先の雇用契約書や在籍確認書といった書類の提出が望ましい場合もあります」

また、アメリカ旅行の場合には、ビザよりも取得が簡単なESTA(※)を利用し入国する人も多いが、仮にビザが却下されてしまうと、ESTAの発行が認められなくなるという。

※ ビザ免除プログラムを利用し、渡米する旅行者の適格性を判断する電子システム(在日米国大使館と領事館公式HPより)

「ESTAは、過去のアメリカ滞在や、入国審査などで問題を起こしたことがない人が使用可能な制度です。

旅行だからと、安易にビザを申請し、却下されてしまう人がいるのですが、その場合、ESTAが取得できなくなる可能性がありますので注意してください」(タイタノ弁護士)

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