「学校の先生の残業代」が上がらない…そのウラにはやっぱり「財務省」がいた!

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財務省と農林省のタッグ 政治・経済

「学校の先生の残業代」が上がらない…そのウラにはやっぱり「財務省」がいた!

「予算カッター財務官僚」が暗躍した「石破官邸工作」の全貌

「文教予算カッター」の暗躍

2025年度予算編成の隠れた焦点だった、公立学校教員の教職調整額(残業代)の増額を巡る攻防は、財務省が文部科学省を押し切る形で決着した。

文科省は教員志望者の激減などを理由に「ブラック職場のイメージ払拭に不可欠」として、2026年に現在の月給の4%から一気に13%に引き上げるよう求めていた。

これに対して、財務省は13%にすると国費負担だけで年約1080億円もの追加予算がかかることを理由に強硬に反対。2025年度予算の概算要求が締め切られた夏場以降、激しいバトルを展開していたが、結局、26年1月に調整額を月給の5%にした上で、2030年度までに段階的に10%に増額することになった。

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文科省側には2029年度までに教員の残業時間(2022年度推計で小学校が平均41時間、中学校が同58時間)を月30時間に縮減する目標も課された。ほぼ財務省の目論見通りの結果と言える。

決め手となったのは、自民党文教族の弱体化に伴う政治圧力の低下と、主計局時代から「文教予算カッター」の異名を取った中島朗洋首相秘書官(1993年旧大蔵省)による石破茂官邸工作だったようだ。

「予算の無駄遣いに終わるだけだ」

「教員の確保や教育の質の向上には、待遇の改善だけでなく、働き方改革が必須だ」

財務省は11月中旬の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)に、教員全体の平均残業時間の削減を条件として残業代を段階的に引き上げる独自案を提示した。

順調に進めば、30年度ごろに残業時間が月20時間まで減る想定で、そうなった時点で正式に月給の10%を残業代として認めるという内容だった。

縦割り行政で知られる霞が関では「おきて破り」の提案と言え、阿部俊子文科相は「必要な教育指導が行われなくなる恐れがある乱暴な議論だ」と猛反発。文科省幹部も「残業が増えるからと言って、教員がいじめや不登校の対応をしなくなってもいいというのか」と憤った。

一方、財務省側は、文科省が2019年から鳴り物入りで進めてきた教員の負担軽減策が効果を挙げていないことに不満を募らせていた。自らの失策を棚に上げて、一言目には教員数の増加や待遇改善を求める文科省の姿勢に、堪忍袋の緒が切れかけていたのだ。

実際、22年度の調査によると、小学校で44%、中学校では77%の教員が1ヵ月の時間外勤務の上限(45時間)を超えていた。

背景には、部活動などの対応に追われていることがあるが、文科省が取り組む部活動の地域移行などの対策は実効性が乏しいのが実態だった。

ある財務省幹部は「給与を上げても働き方が変わらなければ、職場の魅力は向上せず、教員不足も解消できない。働き方改革をサボってきた文科省に任せていては、予算の無駄使いに終わるだけだ」と言い放ち、独自案の有効性を強調した。

強気だった文科省の「誤算」

関係筋によると、この案は主計局畑で主計官補佐、主計官、主計局次長と出世する中で長らく文科省予算の査定を手掛け、学校行政にも精通した中島朗洋首相秘書官がかねて温めてきたアイデアだったという。

「独自案」を作・演出した中島氏は、石破首相にも「教員不足問題は残業代を増やしただけでは解決できません」などとしきりに説き、官邸内のコンセンサスを固めていったようだ。

近年の少子化対策予算の拡充や子ども家庭庁発足など「子ども優先」の流れに便乗し、「教員の待遇改善も一気に進められるチャンス」と算段していた文科省は、夏場の予算要求時点では、残業代引き上げの財源についても「政府全体の予算から捻出すべきだ」と強気の姿勢を示していた。

だが、その後、援護射撃を期待した自民党文教族の勢力が想像以上に衰退したことが大きな誤算だった。

かつて文教族のドンと言われ、政界引退後も永田町や霞が関に隠然たる影響力を誇っていた森喜朗元首相は、旧安倍派の裏金問題をきっかけに世論から責任を問われ、派閥も解散する中で政治力を失墜させた。

追い打ちをかけたのが、自民党が惨敗した10月の衆院選だ。下村博文氏や森山正仁氏ら文科相経験者が相次ぎ落選し、文教族のパワーは一気に萎んだ。

23年に自民党特命委員会委員長として教員の待遇改善策をまとめた文教族の大物、萩生田光一元文科相は選挙こそ乗り切ったものの、やはり裏金問題が尾を引き、政府・与党の要職に就けない“蟄居”の身。これでは財務省に対抗しきれなかったのも頷けよう。

「少しでも弱みを見せれば…」

中島首相秘書官の指揮のもと、財務省主計局は、政治的後ろ盾が揺らぐ文科省の弱みに付け込んで、教員の働き方改革を絡めた独自案を仕掛け、まんまと残業代の大幅引き上げ案を骨抜きにした。

両省は段階的な残業代引き上げの中間年となる2027年度以降に、働き方改革や財源確保の状況を検証することに合意したが、29年度までに残業時間を大幅に縮減する宿題まで課せられた文科省側は、実績が上がらなければ、財務省はもとより世論からも厳しい批判を浴びるだろう。

藤原章夫文科事務次官周辺からは「少しでも弱みを見せれば、嵩にかかって攻めてくる。財務省のお得意のやり方だ」などと恨み節も漏れ聞こえるが、後の祭りだ。省内には政治家の庇護が弱まった現実への無力感さえ漂う。

文科省のバトルでは溜飲を下げた財務省だが、安穏としていられる状況ではない。少数与党の石破政権の下、通常国会で25年度予算案の通過を図るには、国民民主党など野党の協力が不可欠だ。

政策要求に応えるために予算の組み換えを強いられる可能性もあり、自民党という「政治の後ろ盾」が弱まったことへの悲哀を、財務官僚も早晩、感じることになるのだろう。

マイコメント

財務省は意味のわからない男女共同参画事業に9兆円、子ども家庭庁に7.3兆円と
大盤振る舞いなのに教育予算をケチる理由がわからない。

子ども家庭等に7.3兆円の予算を確保できるならば、同じ子供の教育に必要な残業
代1080億円が出せないとは考えられない財務省の横暴です。

現実に学校教育というのは授業が終わった後の課外授業やクラブ活動に先生の指導
がつきもので、これを欠かしては生徒の安全や能力向上が望めない。

残業を減らすためには、別の教師をその時間に割り当てなければならないので教師
の数が足りないのは必然的なことだろう。

そういう事から考えると、財務省は予算削減が目的ではなく教育の質を落とし優秀
な人材が育たないようにすることが日本の将来を潰すために必要だと考えていると
しか思えない。

要求予算を10%にまで削られ、残業時間を削る約束までさせられた文科省としては
忸怩たる思いだろう。

そして、これは財務相の予算と言う口実を利用した日本壊滅工作だろう。

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