コロナで「日本人絶滅」へのカウントダウンが現実味を帯びてきた…!
わずか1年間で5万3161人もの大激減になるという、いわゆる「86万ショック」が起こっていた。
人口減少日本で何が起こるのか――。多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。
【写真】日本人は「絶滅」するのか…2030年に百貨店や銀行が消える「未来」
100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来のドリル』は、コロナ禍が加速させた日本の少子化の実態をありありと描き出している。この国の「社会の老化」はこんなにも進んでいた……。 (※本記事は『未来のドリル』から抜粋・編集したものです)
出生率は1.36に急落
少子高齢社会は、感染症に対して極めて脆弱である。日本社会が年老いてしまった段階でパンデミックが起こったことは不幸としか言いようがない。 人間の身体にたとえて説明すれば、加齢に伴う”慢性疾患”で苦しんでいるときに、悪性の”急性疾患”にかかったようなものである。
ただでさえ、国家としての基礎体力が消耗しやすいのに、より奪われていく。 人間でも体力を奪われると心に余裕がなくなり、マイナス思考に陥っていくが、これが「社会の老化」の正体である。それは社会のあらゆる分野に影響し、遠い将来にまで及ぶ。「未来の年表」はすでに書き換わり始めている。
「はじめに」でも述べた通り、コロナ禍が日本に残した最大の爪痕は出生数の減少、すなわち人口減少の加速である。現時点での傷はまだ浅い。だが、何年か後に「国家の致命傷」として多くの人が気づくことだろう。そうなってからでは、手遅れとなる。 真っ先に傷を負ったのは、妊娠届け出数や婚姻件数であった。
新型コロナウイルスの感染者が増大するにつれて大きく減ったのだ。 コロナ禍が与えた影響を確認する前に、感染拡大直前の2019年を振り返っておこう。すでに危機的だったからである。年間出生数は前年より5.8%も下落し、86万5239人にとどまった。わずか1年間で5万3161人もの大激減になるという、いわゆる「86万ショック」が起こっていたのだ。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が現実的シナリオの推計(中位推計)で86万人となると予測していたのは、その4年後の2023年であった。90万人割れも社人研の中位推計より2年早かった。
新型コロナウイルス感染拡大のニュースに世間の関心が集まったためあまり大きな話題とならなかったが、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に出産する子供数の推計値)も前の年の1.42から1.36に急落した。「1.3台」となるのは、2011年以来であった。
「86万ショック」が冷めやらぬ状況の中で、新型コロナウイルス感染症の拡大という新たなストレスがかかったことは最悪の巡り合わせであった。コロナ禍において出生数が急落していくのも無理はない。 言うまでもなく、妊娠から出産までは、280日ほどのずれがあるため、出生数の大幅下落が数字となって確認されるのは2021年以降となる。
厚生労働省の人口動態統計月報(概数)で2020年1~11月の出生数をチェックしてみても、前年同期間比2.4%減にとどまっている。これを機械的に計算すると、年間出生数は過去最低を更新はするが84万人程度となる。「コロナ前」の2019年に妊娠した人たちの出産が大半だったということである。
妊娠届け出数も婚姻件数も大きく下落
2021年の出生数激減を決定づける要因の1つである2020年の妊娠届け出数の減少から見ていこう。 厚生労働省によれば、87万2227件で過去最少となった。1~4月は前年と大差はみられなかったが、5月に前年同月比17.6%もの下落を記録した。
妊娠届け出は法令上の時限はないが、厚労省は妊婦健康診査などの母子保健サービスを適切に受けられるよう、妊娠11週までの届け出を勧奨している。2020年5月といえば政府の緊急事態宣言中だ。届け出が遅れた人も相当数いただろうが、こうした事情を割り引いても大きな下落幅であった。
感染が深刻化するのと歩調を合わせて、妊娠を避ける夫婦・カップルが増えたのである。 日本家族計画協会が男女約1万人(20~69歳)を対象にした調査によれば、1回目の緊急事態宣言下では、性交渉が減った。調査対象のうち、男性の4割、女性の6割は性交渉をしていないと答えたのである。
妊娠届け出数は、7月が10.9%減となるなどマイナス傾向が続いた。1~12月までのトータルでみると、前年同期間比では4.8%減、実数にして4万4363件の減少である。もともと少子化傾向にあるためマイナスとなることには驚きはないが、大差が見られるようになった5~12月だけで比べるならば7.0%減だ。
この5~12月というのは、2021年の出生数に反映される時期にあたる。 次に2021年の出生数の激減を決定づけるもう1つの要因の婚姻件数の減少だが、人口動態統計月報(概数)によれば、2020年1~11月は前年同期間比12.3%もの大激減であり、年間でも52万5000組程度にとどまりそうである。
なぜ、婚姻数が翌年の出生数を占う材料となるかといえば、日本の場合には結婚と妊娠・出産とが強く結びついているからだ。非嫡出子の割合は2.33%(2019年)と各国と比べて極めて低い水準にある。結婚したカップルのすべてが子供をもうけるわけではないが、婚姻件数の減少は翌年の出生数の減少に色濃く影響する。
前年の2019年は改元に伴う「令和婚ブーム」もあって婚姻件数が7年ぶりに増加した。そうした特殊要因があったことを割り引いても減り方が著しい。
つづく「日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」」では、「ポツンと5軒家はやめるべき」「ショッピングモールの閉店ラッシュ」などこれから日本を襲う大変化を掘り下げて解説する。
河合 雅司(作家・ジャーナリスト)
日本人はこのまま絶滅するのか…2030年に地方から百貨店や銀行が消える「衝撃の未来」
国立社会保障・人口問題研究所が最新の将来推計人口を発表し、大きな話題になった。50年後の2070年には総人口が約8700万人、100年後の2120年には5000万人を割るという。
ただ、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。
ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。
2030年には百貨店も銀行も地方から消える
「日曜日の初耳学」では、林修氏の熱烈オファーにより、人口減少問題の第一人者として河合氏が登場。少子高齢化による人口減少で沈没の危機にある日本社会の未来とその解決策について語り合った。
まず、『未来の年表』では未来をどう予測しているのか――。2030年には百貨店も銀行も老人ホームも地方から消えることや、今後東京で高齢者が増えることで手術が半年待ちになることが紹介された。
「人口は予測ではない、過去に行ったことの投影なんです。だから、外れる外れないではなくて、過去を見ればわかるんです」(河合氏)
この国の出生数が100万人を切ったのが2016年のこと。それから急激なペースで減り、今年上半期の出生数は38万人となり、1年間では75万人ほどになるのではないかとも言われる。これは国の予想より11年前倒しで少子化が進行していることになる。
「ポツンと5軒家」はやめるべき
東京一極集中が進み、「地方消滅」が叫ばれている。政府は過疎地域への移住を推奨し、空き家を安く貸すなどの対応をしている。
だが、「こうした移住政策はやめるべき」だと河合氏は言う。さらには、「この先、『ポツンと5軒家』はやめるべきだ」と主張する。どういうことだろうか。
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山里に行くと90代1人暮らしの人だらけという光景が珍しくない。そこに30代の家族が移住したとする。10年後には高齢者が亡くなり、若い移住者だけが残ることになる。
「ポツンと5軒家」から「ポツンと1軒家」の状態になるのだ。すると、わざわざ1軒のために、電気やガスや水道を提供しないといけなくなり、他地域のインラフの料金もアップする。実際、2043年には水道代が1.4倍以上になるという予測も出ている。
「地方集住」という可能性
しかし、地方移住にも希望はあると河合氏は言う。
現状の移住政策では一極集中を是正できていないが、「地方集住」という形であれば可能性があるのではないか、と。
人が住む地域と住まない地域を明確に分けることができれば、そこには民間事業を残すことができるという。最低10万人の商圏を維持できれば、そのエリアは持続可能と言われている。
番組では秋田県が例として取り上げられた。2015年には約102万人だった人口が2045年には約60万人に減少。60万人ということは10万人の商圏が6つしかない。
そうした状況となる秋田県の生き残り策は「秋田市に全部移住するか」「秋田県を秋田市と名乗るか」だという。
仙台と並ぶ100万都市にするために、多少の痛みを伴ってでも大胆な変化をしていかないとこの先の変化には対応していけない。
ショッピングモールの閉店ラッシュ
人口減少による影響は、生活に欠かせない場所にすでに現れている。
具体的には、「2030年には大型ショッピングモールは維持できなくなる」という事態が起こる。
見込んだお客さんが来ず、場所によっては閉店が始まっており、今年だけで25店が閉店しているという。想定以上に人口減少が進んでいるのだろう。
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これから何が起きるのかといえば、既存の商店街が壊滅し、ショッピングモールが閉店し、地方には何も残らない未来の到来だ。
しかし、政治(家)は解決してくれなさそうだ。人口減少は10年単位で取り組まなければいけない問題なのだが、票にならない政策は食いつきが悪いのだという。それでも、今からやれば、正しく対応すれば、豊かな日本は続けられると河合氏は語った。
高品質なものを高付加価値で売る
日本では2042年から本格的な人口減少が始まる。
人口を増加させることは難しいため、人口減少を前提にどうしていくのかを考えなければいけない。人口減少時代において、生産性・成長を維持していく経済モデルを作ることが大事になってくる。
「まだ日本が経済大国でいられるうちに、戦略的に縮める必要があります。これまでの産業を維持していこうと思うと、どこの分野も人材不足になってきて維持できません。日本は各分野に産業があるので、捨てるものは捨てて残すものは徹底してよくしていくべきでしょう」(河合氏)
具体的には、日本より人口が少ないドイツやフランスなどのヨーロッパ型を目指すべきだと河合氏は提言する。例として挙げるのは、自動車会社フォルクスワーゲンのポルシェというブランドだ。
ポルシェの昨年の売り上げは約28万台で約50億ユーロの営業利益があった一方、フォルクスワーゲンの売り上げは約457万台で営業利益は約25億ユーロだった。フォルクスワーゲンがポルシェと同じ利益を生み出すには、900万台近く売らねばならない。
ここから言えることは何か。
生産量も労働者も消費者も激減する日本にとって、「高品質なものを高付加価値で売る」というモデルを築き上げることが急務となるということだ。
シリーズ最新作となる『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した必読の1冊だ。
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