「高額療養費制度」見直しに新たな火種…“がん・難病増税”に等しいのに、国家公務員は「負担上限」据え置きの可能性

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「高額療養費制度」見直しに新たな火種…“がん・難病増税”に等しいのに、国家公務員は「負担上限」据え置きの可能性

公務員共済組合は不可給金で負担を減らしていた。協会健保にはそれがない。

今国会の焦点のひとつ、「高額療養費制度」の見直しに、新たな火種だ。政府は「制度の持続性」を御旗に、がん・難病患者などのセーフティーネットとして機能している療養費制度の改悪に邁進。「がん・難病増税」に等しい自己負担の上限引き上げを画策しているが、官僚厚遇の格差は放置したままだ。

  ◇  ◇  ◇

 高額療養費制度は、医療機関や薬局での窓口負担が一定額を超えると払い戻される仕組み。長期治療中の患者は、「多数回該当」という負担軽減策の対象となる。過去12カ月以内に3回以上、月の医療費
が負担上限額に達した場合、4回目から多数回該当が適用され、上限額は引き下がる。

 厚労省は10日、制度見直しへの反発を受け、全国がん患者団体連合会(全がん連)に多数回該当の一部修正を提案。上限額の超過が6回以上の場合、7回目以降をさらに引き下げるという。

 しかし、患者団体が求めているのは、制度見直しそのものの凍結。多数回該当に少し手を加えて落としどころを探ろうという、政府の魂胆はミエミエだ。

 療養費制度の年間利用者795万人のうち155万人が多数回に該当する。厚労省の修正案は、多数回に当てはまらない約640万人を置き去りにし、患者同士の不平等感をあおりかねない。

 場当たり的な対応のひどさに加え、新たな火種もくすぶる。

 政府が療養費制度の負担上限を引き上げる一方、国家公務員の負担上限は「据え置き」の可能性があるのだ。どういうことか。

 20ある国家公務員共済組合のうち、18組合では「付加給付」と呼ばれる仕組みがある。病気やケガで高額の医療負担が生じた場合、収入に応じて月の負担上限額は5万円もしくは2万5000円に設定されている。例えば、ひと月の医療費が3万円なら、負担上限の2万5000円が控除されて5000円が還付される制度だ。

 一方、国内最大の保険者「協会けんぽ」には現状、付加給付がない。年収770万~1160万円なら負担上限額は月16万7400円。年収370万~770万円は同8万100円、年収370万円未満は同5万7600円だ。付加給付の恩恵で窓口負担が抑えられる国家公務員共済と比べ、すでにかなり格差がある。

 さらに療養費制度の見直しによって格差は広がる。将来的な負担上限額は、年収650万~770万円なら月13万8600円に跳ね上がる。実に5万8500円の負担増だ。

■「現時点で決まっていない」

 協会けんぽの加入者は、主に中小企業の従業員や家族など4000万人に上る。このような現役世代、とりわけ、がん・難病者に対して政府は負担増を強いるのだ。

 7日の衆院予算委員会で、厚労省幹部は国家公務員共済の負担上限の見直しについて「現時点では決まっていない」(大臣官房総括審議官)と明言した。中小企業との格差放置である。

 この答弁を引き出した立憲民主党の藤岡隆雄議員に、改めて聞いた。

「公務員たたきをするつもりはありませんが、国民に負担をお願いする以上、国家公務員共済についても高額療養費の見直しと同じ方針を掲げるのが筋。しかし、付加給付があるゆえ、厚労官僚は負担上限の引き上げで難病者の方が被る困難を『自分ごと』として捉えられていないのでしょう。まずは制度見直しを凍結し、再考すべきです」

 ただでさえ大きな格差を拡大・放置するとは、やはり「上級国民」は恵まれている。

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 厚労省は基礎年金(国民年金)底上げ案の実施判断を2029年以降に先送りとしたが、目減りが予想される年金の制度改革は待ったなし。就職氷河期世代には死活問題だ。




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