戻し消費税を企業への補助金とみなすことから米国が関税を課す構え
米トランプ政権は米国企業が日本市場で事業展開するうえでの様々な規制や商慣行を問題視する。ホワイトハウス高官は日本を「構造的な(非関税)障壁が高い」と名指しした。日本政府は「今後明らかになる措置の具体的な内容や影響を精査する」(林芳正官房長官)との立場で当面は情報収集を急ぐ。
武藤容治経済産業相は14日の閣議後の記者会見で「米国政府と意思疎通を始めた」と明らかにした。世界貿易機関(WTO)によれば、日本が課す関税率は全品目平均で3.7%だ。中国の7.5%や欧州連合(EU)の5%などと比べて相対的に低く、米国の3.3%と水準は近い。
日本は自動車の輸入に関税を課していない。工業品の関税撤廃が進んでおり、農産品を除くと平均税率は2.4%と米国の3.1%よりも低くなる。
トランプ氏は第1期政権時にも、関税ゼロの日本で米国車の販売が苦戦するのは安全や環境などの規制に理由があると主張した。米通商代表部(USTR)は2024年の報告書で「非関税障壁が日本の自動車市場へのアクセスを妨げている」と指摘している。
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USTRが自動車分野で具体的に挙げたうちの一つ、安全基準は各国で制度は異なるものの、国連の「自動車基準調和世界フォーラム」の枠組みに基づいて認証の基準や試験のやり方などの共通化が進んでいる。議論には日本や欧州に加えて米国も参加しており、政府関係者は「非関税障壁とはなりづらい」と見る。
輸入車販売大手のヤナセは非関税障壁の影響は不明としつつ、「それがなくなっても右ハンドル仕様にするなど日本市場にあわせたモデルの作りこみが難しく、米国車の輸入が大幅に増えることは考えづらい」との見方を示した。
比較的高い関税や規制を残す農産品も焦点となる。米国にとって日本は農産物の輸出先として4番目に大きい。USTRは日本が政策的に輸入米を管理していることや、牛肉について国際的にも厳しい安全基準を義務付けていることを見直すように求めている。江藤拓農相は同日の会見で「米国の提案を見極める必要がある。今のところは待ちの態勢だ」と語った。
トランプ氏は相互関税の検討にあたって「消費税も関税とみなす」と述べた。消費税が高率なEUを主に想定しているとみられるが、日本政府は米政府の意図や状況の確認を進める考えだ。
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