石破首相が育てた「 #財務省解体デモ 」の本質とは?

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石破総理 政治・経済

石破首相が育てた「 #財務省解体デモ 」の本質とは?

0代支持率で「れいわが自民を逆転」の衝撃。国民の怒り今夏限界点へ

石破首相と財務省がまんまと潰した、国民民主党の「103万円の壁」撤廃案。本稿では元全国紙社会部記者の新 恭氏が、財務省主導の「減税潰し」と、それに抗議する「財務省解体デモ」のポイントを解説する。いまYouTubeをはじめとするネットでは、「財務省解体」を訴える1000人規模のデモが“人気コンテンツ”化している。さらに30代の支持率で、「消費税ゼロ」を掲げるれいわ新選組が自民党を逆転した。これらは「現役世代の反乱」が本格化しつつあることを示している。(メルマガ『国家権力&メディア一刀両断』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:「減税」を拒む財務省への不満はついに「解体デモ」へ

財務省主導の減税潰しに国民から怨嗟の声

2025年度予算案の修正協議は、財務省のプラン通りに運んだ。

石破政権が少数与党となって野党の協力なしには予算案が成立しないため、財務省は能登半島地震に備えた前年と同額の1兆円を予備費として計上していた。そのていどの枠内でおさめるのが、裏で自公政権をコントロールするにあたっての至上命題だった。

結果として、国民民主党が「178万円」を掲げて求めた「103万円の壁」案は自民税調に拒否され、それにかえて与党修正案(公明案)がひねり出された。この案だと、恒久的な減税額はだいたい1兆円を下回るとみられる。

昨年の衆議院選挙で国民民主党の政策にスポットライトが当たって以来、「減税」を求める声が巷にあふれている。

消費税ゼロ」を掲げるれいわ新選組の政党支持率が劇的に上昇しているし、参政党や日本保守党も消費税減税を訴えて関心を呼び込んでいる。立憲民主党にも、食料品の消費税ゼロを主張する江田憲司氏らのグループがあり、自民党でもまた積極財政派の議員から「減税」論が湧き上がっている。

「30代支持率」でれいわ新選組が自民を逆転

もちろん、れいわ新選組の「消費税ゼロ」は、財務省にハナから相手にされていない。だが、一途にこの政策を訴えているうちに、れいわの主張が少しずつ世間に浸透し、さらに今の時流にも乗って侮れない存在になってきた。

とくに目立つのは30代の支持率で、2月22、23日のフジ産経調査によると、昨年11月は2・5%に過ぎなかったが、1月に7・0%、2月には14・4%まで急伸、自民党の30代支持率11・2%を上まわった

れいわは、24年の衆院選で公示前の3議席から9議席に伸び、8議席の共産党を抜いた。自公政権に批判的なリベラル層の受け皿となり、立憲や共産からも支持者を奪っているようだ。日経新聞の調査では、夏の参院選の投票先として、れいわを選んだ人は8%で、維新の7%をこえた

長年、この国の政治は高齢者層が大きな影響力を持ってきたが、ここにきて「若い世代の反乱」といえる変化が生まれている。

彼らが求めているのは、自分たちの生活を現状より少しでも豊かにするための実質的な経済対策だ。「消費税ゼロ」が支持を集めるのも、それゆえだろう。

もう無視できない「財務省解体デモ」に人々が集まる理由

にもかかわらず、財務省は「われ関せず」で、まったく聞く耳を持たない。

財務省に対する不満の声が日に日に大きくなっているのも道理で、ついには「財務省解体デモ」なるものまで登場した。霞が関の財務省前に1000人もの参加者が集結する日さえあるといい、若者の姿も少なくない。なぜか人気ユーチューバーが現地でレポートするほどの盛り上がりだ。

この動きは、財務省の「財政健全化」というお題目に懐疑的な見方が世間に広がってきていることを示している。

この30年余り、政府は「財政健全化」の名のもとに緊縮路線を続けてきた。社会保障の財源にと消費税を徐々に引き上げ、輸出大企業が多額の還付を受ける一方で、国内需要は低迷し中小企業は次々と倒産した。

国民のフトコロは寂しくなって生活は苦しくなるばかり。「これじゃ本末転倒じゃないか」と怒る人々が増えているのも無理はない。

政府が「財政健全化」を志向すると、自然、税収に見合った歳出をめざすため、予算は緊縮型になる。

かつての経済成長期には、人口増加と成長に支えられて自然に資金が循環していたが、この30年間のデフレ下では、政府の支出抑制が国内の資金不足を引き起こし、経済の低迷を長引かせている。

「減税」「積極財政」ネット中心に支持拡大

こうした状況を変えるための「減税」「積極財政」を訴えてきたのはれいわ新選組だけではない。

オールドメディアではほとんど聞かれない財務省批判が、ユーチューブなどネット世界で、主として保守系の学者や評論家らから発信されてきた。その代表的な論客は三橋貴明氏(評論家)藤井聡氏(京都大学大学院工学研究科教授)だ。

彼らが主張するのは、「日本政府は自国通貨を発行できるのだから、国債を増発しても問題ない」という考え方だ。政府の債務が膨らんでも、国債の多くは日本銀行が保有しており、政府が子会社に借金をしているようなもの。ゆえに日本は財政破綻しないというのがこの理論の核心である。家計と国家財政は異なる。ユーロを発行できないギリシャが債務危機に陥ったのとは次元が違うというわけだ。

また、経済評論家の故・森永卓郎氏による著書「ザイム真理教」も、反財務省の動きを後押しする要素の一つとなっている。

同書は、財務省の「財政健全化」政策が経済成長を阻害してきたと批判する。そして、財務省の主張が「宗教のように盲目的に信じられている」とし、それを「ザイム真理教」と揶揄することで、国民に疑問を投げかけている。

自民 旧安倍派も財務省の緊縮志向に厳しい視線

いわゆる岩盤保守層や自民党の「積極財政派」議員のなかにも、財務省に厳しい目を向ける人々が多い。

彼らに影響を与えているのは、なんといっても故・安倍晋三元首相だろう。

安倍氏は財務省との暗闘の末、二度にわたって消費増税を延期した。民主党・野田内閣時代に民主、自民、公明3党で合意した「社会保障と税の一体改革」により消費税率は2014年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げることになっていた。

当時の安倍首相はマイナス成長下であることを考慮し、10%への引き上げについて、14年の衆院選と16年の参院選の前に見送りを決めた。

そのさい、財務省がめぐらしていた様々な策謀について、安倍氏は「安倍晋三回顧録」(安倍晋三、橋本五郎、尾山宏著)で語っている。

「財務官僚は、私が増税見送りを表明する直前の(14年)11月、私が外遊から帰国する際の政府専用機に、麻生副総理兼財務相に同乗してもらって、私を説得しようとした

「この時、財務官僚は、麻生さんによる説得という手段に加えて、谷垣禎一幹事長を担いで安倍政権批判を展開し、私を引きずり下ろそうと画策した

歴代の首相は財務省(旧大蔵省)と良好な関係を築いて政権を運営してきたが、安倍内閣は異質だった。そう問われて、安倍氏は次のように述懐した。

「内閣支持率が落ちると、財務官僚は、自分たちが主導する新政権の準備を始めるわけです。『目先の政権維持しか興味がない政治家は愚かだ。やはり国の財政をあずかっている自分たちが、一番偉い』という考え方なのでしょうね。国が滅びても、財政規律が保たれてさえいれば、満足なんです」

 

「従来の経済政策ではもうダメ」が国民の共通認識

もっとも、安倍元首相が財務省と本気で喧嘩したわけではない。

今回、自公と維新が政策合意に達した「高校授業料無償化」は、もともと民主党政権で実現していた政策だ。

それを「バラマキ」だとして政権交代後、所得制限の付く現在の形にしたのは財務省の論理に従った当時の安倍首相だったはずである。

予算編成権は内閣にあるが、実質的にそれを主導するのは財務省だ。高い専門性を有する財務官僚の協力がなければ、政治家だけでどうすることもできない。いつものように「財政規律」の論理で政権にプレッシャーをかけ、財務省のペースに持ち込んだのが、今回の自公国予算修正協議といえる。

だが、このまま石破首相が「減税」にそっぽを向き続ければ、その影響は夏の参院選や東京都議選に波及するだろう。都市部を中心として、「減税」を掲げる政党が支持を伸ばすに違いないからだ。

国民は「従来の経済政策ではもうダメだ」と感じている。

成長戦略や財政健全化といったお題目を並べ立ててもどうにもならなかった。低所得層だけではなく、中間層ですら生活苦を感じているのが現状だ。「減税」を期待するシンプルな庶民感情が政治の風向きを変えつつあるように思える。

 

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