景気後退ではなく「大恐慌」に直面している

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世界恐慌への道 政治・経済

景気後退ではなく「大恐慌」に直面している

ダウは最終的に下落する。そして、今後食料価格は下がることはない。

債権のカタストロフ

先日、以下のような、やや物騒なタイトルの記事を書きました。

世界同時多発恐慌がまさに今始まった
 In Deep 2025年3月4日

著名な地政学と金融サイクルの専門家であるチャールズ・ネナーさんとう方が最近、インタビューで、「トランプ政権は戦争と恐慌に直面するだろう」と述べていた記事を読みました。

今回はそのネナーさんのインタビューから抜粋してご紹介させていただこうと思いますが、チャールズ・ネナーさんは、3年くらい前から、「 2023年から世界は戦争サイクルに入る」と予測(独自のサイクル計算による結果)していまして、そして、

「世界人口の 3分の 1は次の戦争サイクルを生き残ることができない」

と述べていました。

この戦争「サイクル」が何年くらい続くサイクルなのかはわからないですが、たとえば、第二次世界大戦が、1939年に始まって 1945年に終わったという主張からは、約 7年続いたわけですが、そういうような数年規模のサイクルなのかもしれないですし、まあ、かつては、14世紀に百年戦争なんていうのもありましたし、100年続くのかもしれないですし、それはわからないです(時代も武器も違うので、100年とかはあり得ないですが)。

ともかく、2022年に、チャールズ・ネナー氏は以下のように述べていました。

2022年のチャールズ・ネナー氏のインタビューより

私が戦争に関して行うサイクル分析作業は、イエス・キリストがこの世に登場する前の 3,000年前の中国の帝国の時代から始まっている。このような長期間のサイクルでは大きな戦争だけがピックアップされ、小さな戦争はカウントされない。

私は、今後、大きな戦争サイクルが始まると述べているが、小さな戦争が現れないまま、大きな戦争になるだろう。なので、とても心配している。

…計算方法は、IBM のサイクルを計算するのと同じ方法だ。IBM が下落しているのを見ると、私たちが持っている上方価格目標を得ることができる。戦争サイクルでも同じ分析が可能だ。 人口の約 3分の 1はこの世界で生き残ることはないと見られる。

indeep.jp

それと共に、ネナー氏は以下のように述べていました。

・債券のカタストロフがある

・ダウは最終的に大幅に下落する(「最終的に」の時期は不明)

・今後、食糧価格が下がることはない

などですが、このうちの「債券のカタストロフ」というのは、少しずつ始まっています。

日本も含めて、多くの国の債権は大幅に下落し続けています。

以下は今日 3月10日の日本の40年国債利回りで、2007年の発行開始以来の「史上最大の下落」を見せています(債権の下落は、利回りの上昇として示されます)。

つまり、利回りが上昇すればするほど、債権価格は下落しているということになります。

2008年からの40年国債利回りの推移

BDW

10年物国債利回りも同様です。

ヨーロッパの主要国もわりと同じです。

ブルームバーグは以下のように伝えていました。

3月6日のブルームバーグの記事より

6日の日本市場では債券が大幅安。長期金利は約16年ぶりの1.5%台に上昇した。ドイツ連邦債が5日の取引で大きく売り込まれ、過去35年で最大の下落となったことが背景。

bloomberg.co.jp


債権の著しい下落は、「銀行」の財務に大きく影響します。

しかも、以下はアメリカの銀行の例ですが、2022年頃から「過去最悪の含み損(未実現損失)となっている」というように、今現在、すでに大変に脆弱な状態となっているのです。ラインより上なら含み益、ラインより下だと含み損です。

米国の銀行の未実現損失の推移(2024年9月時点)

BDW

2008年のリーマンショック時などとは比較にならない含み損を、多くの銀行が抱えているのです。

日本もヨーロッパも同様の状態となっていると思われ、今後…まあ、数年後か数ヶ月後かはわからないですが、厳しい状況になると見られます。

しかも、これもアメリカの話ですが、2025年の最初の 3ヶ月だけで、この含み損が、日本円で 17兆円増加した、と報じられています。

米銀行の「未実現損失」がこの3か月で約17兆円急増。全体の未実現損失は70兆円超えに
 BDW 2025年3月6日

これについても、日本やヨーロッパも同様だと見られます。

いつまでもちこたえられるのかは不明ですが、日本やヨーロッパ、あるいはアメリカの債権の下落が今後さらに進んだ場合、「見えない部分で非常に苦しい金融機関」が数多く出てくるものと思われます。主要国全体の銀行が当てはまるはずです。

その後どうなってしまうのかは、もちろんわからないですが、過去数十年などと同じように「すんなり乗り切る」ことは難しいはずです。

すんなり乗り切ることができない場合、どうなるのかというと、やはり具体的にはわかりません(大雑把に予測はできますが)。

2023年3月に、アメリカの資産管理系企業のサイモン・ブラック氏という方が、「シリコンバレー銀行が破綻したのなら他も同じだ」という記事で以下のように述べていました。

記事「シリコンバレー銀行が破綻したのなら他も同じだ」より

始まるのは金融の大惨事だが、まだ始まったばかりだ。

2008年のリーマンブラザーズのように、シリコンバレー銀行は氷山の一角にすぎない。銀行だけでなく、マネーマーケットファンド、保険会社、さらには数々の企業からさえ、多くの犠牲者が出ることになる。

外国の銀行や金融機関も、米国の国債で損失を被っている…そして、それは米ドルの準備状況にマイナスの影響を与えている。

考えてみてほしい。米国の国家債務がとてつもなく高く、連邦政府が問題を解決する能力のない愚か者の集まりであり、インフレはひどい。

何より、米国債を購入した外国人たちも大きな損失を被っている。

なぜこの狂気を続けたいと思う者たちがいるのだろうか?


これについては、全文を「崩壊は一瞬で起こり得る」という記事で翻訳しています。

ともかく、どこまで合理的に考えても、先行きは大変に厳しいと思われます。それが明白になるのが、今年なのか来年なのか、もっと先なのかはわからないですが、表面化したときには「もう手遅れ」である可能性があります。

実際には、まだ猶予はあるのでしょうけれど、心づもりや準備は考えてもいい時期になったのかもしれません。

それに加えて、日本は世界最大の GDP 比率の負債を抱えている国だということも忘れないでいたい部分ではあります。

チャールズ・ネナー氏のインタビューをご紹介します。

トランプ政権は戦争と恐慌に直面するだろう – チャールズ・ネナー氏

Trump Will Face War & Depression – Charles Nenner
usawatchdog.com 2025/03/08

チャールズ・ネナー氏

昨年 10月、著名な地政学および金融サイクルの専門家チャールズ・ネナー氏は、巨大な戦争サイクルについて警告した。

現在、EU がロシアとの戦争に備えている中、ネナー氏は経済について新たな警告を発しており、トランプ大統領はそう遠くない将来、戦争と大恐慌の両方に対処せざるを得なくなるだろう。

まずは戦争の話から始めよう。ネナー氏は以下のように述べている。

「すべての戦争サイクルが上向きになり、私たちは大きな問題に巻き込まれていると思う。ウクライナもそうだが、中東の状況はウクライナと同じくらい悪く危険だと思われる。ウクライナには解決策があり、それはウクライナが NATO に加盟せず、ロシアが少しの土地を保持することだ」

「私はアムステルダムの出身で、(オランダの)私たちにはもう軍隊はないが、彼らは今、全員が軍隊に戻らなければならないと公式に定めようとしている。まるで彼らが第三次世界大戦を強制しているかのようだ。彼らは自分が何をしているのかまったく分かっていない。これには何十億ドルもの費用がかかる」

ドイツ国債は現在、ストレスにさらされており、「メルトダウン」していると報じられている。そこで何が起きているのか?

ネナー氏は、以下のように述べる。

「ドイツ国債が下落したのは、(EU)諸国が資金を必要としていたからだ。経済が減速する中、これは経済的大惨事にもなるだろう」

「彼らはいわゆる戦時経済に転換したいと考えていると聞いている。それが何を意味するのか私にはよく分からない。これはすべて無駄だ。この資金はすべて無駄になった。アメリカにとってはどうか分からないが、今や 5000億ドル (約 74兆円)が無駄になったということだ」

「ゼレンスキーは、もし我々が彼らを止めなければ、ロシアがヨーロッパを乗っ取るだろうと言っている。私は絶対にそれはまったく馬鹿げていると思う」

「私の長期サイクル予測は 1928年と 1929年と同じだ。それらがすべて一緒になって、我々は非常に悪い状況に陥ることになる。だから、それは恐慌になるかもしれない。私たちは確実に恐慌に向かっている。なぜなら、年間所得サイクルが 1929年の大暴落の直前と同じだからだ。1928年と 1927年にはすでに大きな下落があったが、その後再び下落し、1929年にすべてが崩壊した」

ネナー氏は依然として金(ゴールド)に対して長期的に強気で、銀も好んでいるが、銀に対しては忍耐強くなる覚悟が必要だという。

ネナー氏は、ドルはここ数週間で売り込まれているものの、すぐに暴落することはないと言う。米ドルは当面強いままだろう。

氏は、(トランプ政権が発表した)ビットコインの戦略的準備金は「クレイジーなアイデア」であり、人々は金や住宅ローンの返済などの実体投資に集中すべきだと考えている。

金利面では、以前、ネナー氏は 10年国債が 1%前後のときに底を打つと予測していた。

その頃、同氏は利回りは上昇するだろうと述べた。同氏の予測は正しく、現在(米国の) 10年国債の利回りは 4%を超えている。これは大きな動きだ。

ネナー氏は、利回りは最終的に再び 2桁に戻り、「最終的には 16%に戻るだろう」と述べている。しかし、ネナー氏は、そうなるにはしばらく時間がかかると言う。

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