バナナとカルピスが良い?お酒が良い?そのどれでもないが・・・

これまで世界最高齢だったスペイン在住の117歳女性が亡くなったことに伴い、芦屋市在住の116歳女性が世界最高齢になった。
「趣味は歩くこととお寺参り。好物はバナナとカルピス」とのこと。
これは、カルピス社、大喜びでしょう。株価も上がったりしてね(笑)
カルピスの原材料を見てごらん。
砂糖が大量に含まれているか、でなければ、果糖ブドウ糖液糖が使われている。果糖ブドウ糖液糖は遺伝子組み換えコーンから抽出した糖分で、抽出プロセスで水銀が使われている。ブドウ糖果糖液糖がいかにヤバい代物であるかについては、過去記事で詳しく述べました。
https://note.com/nakamuraclinic/n/nb6c9dc16abcc
しかし、この「甘い毒」カルピスを好物に挙げる人が、世界最高齢女性に認定されたというのだから、もはや僕には何も言う資格はありません(笑)
でもこの手の話は、けっこうよく聞きます。

たとえば、2002年に世界最高齢女性としてギネス認定された鹿児島の本郷かまとさん。
この人は、「2日間眠った後に2日間起き続ける」という独特の生活リズムで、「食後に杯一杯の焼酎と黒砂糖」をたしなんだと言います。
これは長寿の何たるかを考えるうえで、示唆的です。
「早寝早起き」が健康の必須条件ではないことが分かるし、「酒は万病のもと」とか「甘いものはダメ」という主張も見直す必要が出てきます。
実際のところ、「酒は百薬の長」で、いい焼酎をちょびっと飲むぐらいの飲酒なら健康に好ましい可能性があるし、白砂糖は栄養的に空っぽだとしても黒砂糖はアルカリ食品で健康にプラスなのかもな、と思います。

1986年に120歳で亡くなった泉重千代さんは、黒糖焼酎が好きで、晩酌を欠かさなかったとのこと。
酒を肯定する事例が、またひとつ増えました(笑)
ちなみに泉さん、おちゃめな人で、長寿世界一の男性としてギネスブックに載った際、某テレビ局からインタビューを受けました。そこで、泉さん、「好みの女性は?」と聞かれて、さて、何と答えた?
答えは、「年上の人」
「おらへんやん!」とツッコむところです(笑)
長寿について、以前に書いた記事でこんなのがありました。
https://clnakamura.com/blog/2077/
リチャード・オーバトンという112歳の米国最高齢男性。
タバコは吸うし、毎朝のコーヒーは欠かさない。しかも、タバコは1日12本、コーヒーは多いときには朝だけで4杯も飲む。ときには朝からウイスキーを飲むこともある。
牛乳が好きで「生まれたときからずっと飲んでいる」。
「スープが好き」というけど、キャンベル社の添加物てんこ盛りの缶詰スープが好物。さらに、毎晩アイスクリーム(バター・ピーカン)を食べる。
この生活スタイルを見て、僕はうなりました。
僕の臨床でのアドバイスは、「コーヒーはマグネシウムを消耗するので、極力控えて、1日1杯までにしておきましょう。牛乳?乳製品はやめておくのが無難です。缶詰?添加物のかたまりですよ。アイスクリームが好き?病気治す気あるんですか?」
といったところですが、オーバトン氏の生活は、僕の助言の真逆を突っ走っています。
それでいて、最高齢男性になっちゃうのだから、僕は患者にアドバイスどころか、もう一生口をきかないほうがいいと思います(笑)
長生きする人には、何か共通点があるのではないか?
疫学研究を紹介しましょう。

ひとつ、分かったことは、楽天的な人ほど長生きということです。
看護師7万人、退役軍人1500人のデータをもとにして、女性、男性の「楽天主義」と寿命の関係を調べたところ、楽観度が最も高いグループは、寿命が平均よりも11~15%長かった。また、楽観度が最も低いグループと比べると、85歳まで生きる確率が高かった。

これ、すごい研究だと思いませんか?
長生きが遺伝子によって事前に決まっているものならば、努力や心がけではどうにもならない。あるいは、長生きが栄養状態によって規定されているならば、食事に気を遣うなど日々の努力が重要になってくる。でも、これってかなり大変です。
しかし上記研究によると、楽天的になるという心の持ちようひとつで、長生きする確率が10%以上高くなるのだから、こんな簡単なことはありません。
いや、しかし、思考の癖を治すことは、簡単どころか、すごく難しいことと言うべきか。
水が半分入ったコップを見て、「もう半分しか残ってない」と悲しむか、「まだ半分も残ってる。ラッキー」と喜ぶか。
物事のいい面を見られる人は、人生において、喜びを見つけることが上手な人だと思う。これってやっぱり、難しいことだろう。

「感謝する人は長生き」という研究もある。
自分の人生を「すばらしい」と誇れる人は、それだけで、死亡リスクが9%低下します。具体的には、心血管系疾患による死亡は、「感謝の気持ち」と逆相関があります。自分の人生に全然感謝がない人は心血管系疾患で死にやすく、感謝がある人は死ににくいということです。
さらに、感謝の気持ちは、血管内皮細胞の機能、炎症マーカーとも相関がありました。たとえば、感謝の気持ちが強い人ほど、血管内皮細胞の機能が高く、炎症性マーカーが低かった、ということです。
つまり、感謝の気持ちによって、症状が軽快したり、究極、治ってしまうことさえあるということです。

もちろん、上記の研究が言っていることは、相関関係であり、因果関係ではありません。
循環器系疾患の持病で苦しんでいる人に対して、「感謝の気持ちを持てば炎症性マーカーが改善して死亡リスクも低下します。人生に感謝しなさい」と強要するのは、アプローチとして違うと思う。感謝というのは、おのずと湧いてくるもの、にじみ出てくるものであって、病苦にあせって、「よし、じゃ、俺も今日から感謝するようにするわ!」と、とってつけたように人生に「感謝」したところで、何も変わらない気がします。
病気を治すため、ではなくて、常日頃の生き方の話なんですよね。

人間は思い込みの生き物です。
事実はともかく、「こうなんだ!」と思い込めば、それが本人にとっての真実なんです。
ある薬の治験を行ったときのこと。実薬群とプラセボ群に分けて、5年間追いかけた。しかし、治験に参加する人のなかには、かなりテキトーな性格の人がいるものです。つまり、「毎日きちんと薬を飲んでくださいね」と言われていても、しょっちゅう飲み忘れる人(医学的に言うと「服薬アドヒアランスが不良の者」)がいます。こういう人は、実薬群、プラセボ群の両方にいます。

プラセボは、当然のことながら、薬効はない。しかし、この治験のプラセボ群において、良好なアドヒアラー(しっかりプラセボを飲んだ人)の死亡率は15.1%、不良アドヒアラー(プラセボをしょっちゅう飲み忘れた人)の死亡率は28.3%だった。
しっかりプラセボを飲むことで、死亡率がほぼ半減したわけです。
その意味は?
それは、信念の力です。
「自分はありがたい薬を飲んでいるんだ」という意識のおかげで、死亡リスクが半減したということです。
僕の医療は、世間でいうところの、代替療法ということになる。スタンダードな医療が、投薬や手術を勧めるところ、そうではないやり方、つまり、食事や生活習慣の改善、サプリの使用などにより、症状の改善をはかっていくスタイルです。
だから、当院を訪れるほとんどの患者は、サプリに対して好意的です。「こういうサプリを飲んでみたら?」という提案に対して、素直に応じます。
しかし、なかには、「いや、薬が嫌なのはもちろんですが、できればサプリもちょっと。。。サプリも化学的に合成したものであって、あんなのに頼り出せば、食事から普通に栄養素を吸収できない体になってしまう気がします」という人もいる。
すばらしい。僕もそう思います。
僕は、オーソモレキュラーを実践する医者として、サプリの有効性を知っています。しかし、それにも関わらず、サプリによるアプローチが絶対的な善だとは思わない。もっと優れたアプローチがあり得ると思って、日々勉強しています。
だから、こういう患者に対して、「いや、まぁそう言わずに、とりあえずゲルマニウムだけでも試してみたらどうですか」みたいなことは言わない。
仮に、そんなふうに説得して、患者がゲルマニウムをしぶしぶ飲み始めたとする。患者は「こんな化学的に合成したようなもの、本当に大丈夫かな」と不審に思いつつ飲んでいる。
こういう心境で飲んでも、まぁ効かないですね(笑)
これを、ノセボ効果といいます。プラセボ効果の逆です。たとえすばらしい薬であっても、「こんな毒みたいなもん、飲みたくねえよ」という気持ちで飲むと、本当に毒になってしまう現象のことです。
これは最悪です。
僕もつらいし、患者もつらい。飲まれるゲルマニウムも気の毒です。
薬もサプリもすべて、開かれた心の人に効きます。
ゲルマのような良薬さえ、閉じた心の人には届きません。
コメント