マイナ保険証「期限切れ」迫る1580万件…不親切な「電子証明書5年更新」で資格無効多発の恐れ
マイナカードを保険証として使うために必要な「電子証明書」の期限は5年。マイナカードは10年なので健康保険証の電子証明書が切れている「ウッカリさん」が続出。
昨年12月に健康保険証の新規発行が停止されてから間もなく4カ月。今年12月以降は現行の保険証が使えなくなるが、政府が利用促進を図るマイナ保険証のトラブルは相変わらず絶えない。
健康保険証とマイナ保険証の併用を訴える全国保険医団体連合会(保団連)が27日、昨年12月2日以降のマイナ保険証利用に関する実態調査の中間集計を公表。全国の医療機関を対象に先月13日から実施し、今月14日までに得た回答8330件を集計した。全国調査は健康保険証の新規発行停止後、初めてだ。
政府はマイナ保険証のメリットのひとつに「窓口業務の負担軽減」を掲げるが、調査に寄せられた窓口業務についての回答は、「とても負担を感じる」が15.7%、「負担を感じる」が45.2%。約6割の医療機関が業務負担を感じているのが実態だ。
これまで散々指摘されてきたマイナトラブルも改善している様子はない。「特にトラブルはない」との回答はわずか10.9%。残る9割の医療機関は何かしらのマイナトラブルに見舞われており、患者氏名などが「●」で表示されるケースが最多の64.2%。「カードリーダーの接続不良・認証エラー」(43.6%)や「資格情報が無効」(37.9%)も解消されていない。
とりわけ問題なのが「マイナ保険証の有効期限が切れていた」というケース。昨年5月以降のトラブルを集計した前回調査(10月公表)では20.1%だったのに、今回は30.6%に増えている。なぜか。
マイナカードの有効期限は10年。一方、マイナカードを保険証として使うために必要な「電子証明書」の期限は5年。ただでさえややこしいのに、券面に記載されているのはカードの有効期限だけ。電子証明書の期限は自分で確認して券面に記入する必要がある。この不親切な仕組みのせいで、電子証明書が切れている「ウッカリさん」が続出しているのだ。
病院で「アッ!」と気が付いても、時すでに遅し。電子証明書は原則、役所窓口での更新が必須。不親切かつ面倒である。
マイナ制度を所管する総務省は、2025年度に更新が必要な電子証明書を約1580万件と想定している。26年度は約1430万件、27年度は2100万件に上る。これから期限切れに伴う「資格無効の多発が懸念される」(保団連事務局)のだ。
現状、医療機関の大半はマイナトラブル時に健康保険証を使っている。やっぱり併用した方がいい。
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