日本人「年金は手取り給与の4割以下」…「収入ギャップ」に苦しむ老後生活
先進国でも上から7番目の年金の少なさ
国民年金受取額の分布
厚生年金受取額の分布
大卒会社員が定年…現役時代の給与と年金のギャップに驚き
2021年、今年65歳を迎え、年金を受け取るようになった1956年生まれ。仮に大卒で、年金を受け取る直前まで働いていたとしたら、基本給37万8,000円の現役生活から、年金(老齢基礎年金+老齢厚生年金)20万7,000円の老後の生活がスタートしたということになります(数値は、厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』より算出した大卒男性会社員の平均値)。
【大卒会社員「年齢別基本給と推定年収」】
「20~24歳」229,100円/3,340,700円
「25~29歳」266,200円/4,404,900円
「30~34歳」313,900円/5,234,900円
「35~39歳」365,200円/6,103,500円
「40~44歳」416,400円/6,876,100円
「45~49歳」461,500円/7,586,400円
「50~54歳」526,600円/8,690,100円
「55~59歳」516,500円/8,356,100円
「60~64歳」378,000円/5,692,200円
※数値左:基本給(所定内給与額)、数値右:推定年収
出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』
年収換算では569万円から、定年を機に、242万円の暮らしになるということですから、数字だけみたら大きな落差です。 もちろん、朝起きたら、現役生活から年金生活になっていた、ということはありませんから、前もって準備をして老後生活がスタートしているでしょう。
年金で足りない部分は貯蓄で何とかしなければならない、ということも散々いわれてきているわけですから、それなりに貯蓄はもあるはずです。とはいえ、大きく収入が減ることは事実ですし、貯蓄が増えていく一方だった生活から減っていく生活に不安を覚えることも必至。気を引き締めていかないと、「哀れ、老後破産」という事態に直面する可能性もあるでしょう。
世界でも日本の現役時代と老後の「収入ギャップ」は大きい
世界の主要国と日本の「年金所得代替率」を比較しています。
年金所得代替率は現役時代の手取り収入に対する年金の給付額の割合のこと。
収入の低い人は代替率が高くなり、収入が高い人は低くなる仕組みになっています。
OECDの発表によると、対象国のうち最も年金所得代替率が高いのは「トルコ」。「ブラジル」「ハンガリー」と続きます。前出の通り、収入が低いと代替率が高くなる、ということから当然の結果だと感じるでしょうが、北欧の国がベスト10にランクイン。一概に収入が低い国だからといって上位、というわけではないようです。
【世界主要国の「年金所得代替率」】
1位「トルコ」103.30%
2位「ブラジル」97.30%
3位「ハンガリー」94.00%
4位「中国」92.40%
5位「ポルトガル」90.30%
6位「オランダ」89.20%
7位「アルゼンチン」88.90%
8位「ルクセンブルク」88.70%
9位「オーストリア」87.10%
10位「デンマーク」84.00%
出所:OECD
※対象:全50ヵ国 さらにG7だけで比較してみると、最も年金所得代替率の高い国は「イタリア」。続いて「フランス」。日本は第7位と、世界の主要国の中でも年金と現役時代の給与との差が大きな国のひとつです。
【G7の「年金所得代替率」】
1位(12位)「イタリア」81.70%
2位(16位)「フランス」74.40%
3位(31位)「イギリス」58.10%
4位(36位)「ドイツ」52.90%
5位(40位)「米国」50.50%
6位(41位)「カナダ」46.40%
7位(45位)「日本」38.70%
出所:OECD ※(かっこ)
内順位は、世界主要国ランキングの順位 定年後、現役時代の4割にもみたいない金額でやりくりしないといけないわけですから、日本人は大変です。
「アメリカやカナダも現役時代の半分程度なのだから、同じようなもの」という人もいるでしょうが、両国とも私的年金の割合が多く、これを含めると、年金所得代替率は7割を超えます。
一方、日本では確定拠出年金制度をはじめ、徐々に私的年金の考え方が浸透し始めていますが、普及率は低く、現役時代と年金時代の収入ギャップを生めるまでにはなっていません。
現役時代と老後の収入ギャップ。年金生活に切り替わるタイミングで生活水準を見直すか、そのギャップを埋めるために早めの資産形成に取り組むか。日本人に与えられた選択肢は2つです。
マイコメント
年金の収入分布に関するデータを以前調査したことがありましたが見つけられませんでした。
今回のデータはおそらく厚生労働省のデータから独自に計算して得たものでしょう。
残念ながら厚生労働省は数字は出してもグラフ化してくれることはありませんからね。
それにしても厚生年金を15万円以上もらっている人が46.5%もいることです。
これだけもらえるのは公務員や官僚そして政治家です。後は大会社の社長です。
また、団塊世代である75歳以上の人の年金支給額は高いです。
多くは年金8万円以下です。
なぜ、これだけの格差が存在しているのかというと、年金資産を官僚が全部食いつぶして
しまい残っていないからです。
年金制度が始まって25年ほどした時にうずたかく積もった国民から受け取った年金
(百兆円以上)を目の前にして当時の官僚が目がくらんだか、これだけの資産をこのまま
眠らせておくのはいけないと国家機関(年金財団、労働省、厚生省など)の設備に投資
したのをはじめ官僚自身も様々な手段で補助金交付で使い込まれました。
ある年金官僚が自分たちが退職するころに年金が枯渇しても後々誰かが対応策を取って
くれるし、そのころにはいないのだから責任も追及されないと発言した輩もいたようです。
そうするうちにみるみる減って行き年金の支払いに困るようになったのです。
これに気付いた厚生省(厚生労働省の前身)は昭和60年に年金の大改革を行い、支給を
積み立てから受け取った年金を支給にそのまま回す自転車操業のようなやり方に変えて
しまいました。同時に年金の支給率を計算する式を変え、所得の多い人は支給率が下がる
ようにしたのです。これを境に多く年金を払っててももらえる年金が大幅に減って行き
どんなに高額な給与をもらっても月10万円前後にしかならなくなりました。
だから、当時の計算式の変更がなければ年収500万円クラスだった今の60代の人は
最低でも月15万円はもらえたはずです。
国民年金と合わせて月20万円前後になるのでまあまあの生活が出来ていたと思います。
また、そのときに公務員だけは2階建てでもらえる方式を温存(その後国民の猛批判を
受けてなくなりました)したので当時公務員だった人は今60代でも15万円以上
もらえるのです。
いかに自分たちに甘く国民には厳しくというやり方をしていたかがわかります。
従って、今の年金支給額が低いのは当時の官僚の使い込みと途中での年金支払い計算式
を大幅に改定したからです。
もし、積み立て方式をそのまま残していれば日本の年金が世界7位ということはなかった
はずです。
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