AIで認知症が診断できる時代がやってくる

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AI IT

会話型 認知症診断支援AIプログラム

医師と患者の会話をAI解析し、認知症を客観的に評価

日本における認知症患者数は2025年には730万人(高齢者の約5人に1人)に達すると推計されています*。超高齢社会を迎えた本邦において、認知症対策は早急に解決すべき国民的課題です。一方で、認知症は検査結果からだけでは診断が難しく、診断には専門的な知識や経験が必要であり、それが早期診断や早期治療の妨げともなっています。
本プログラムは、通常の診療場面での10分程度の日常会話から、認知症をスクリーニングすることのできる画期的なプログラムです。認知症診断の際に診断者・受診者の双方にかかる負担を軽減し、認知症の早期発見や新たなデジタルバイオマーカーとして活用されることを目指しています。
* 厚生労働省「認知症施策の総合的な推進について」より

世界初の自然言語を用いたAI医療機器の開発

本プログラムの研究開発プロジェクトは、日本医療研究開発機構(AMED)の「ICTを活用した診療支援技術研究開発プロジェクト」に採択され、産学連携により2015年11月~2019年3月に行われました。以降も当社と慶應義塾大学医学部とで研究を続け、2020年7月に日本特許庁より特許権を取得しました(特許登録番号:特許第6733891号)。
当社は、本プログラムをAI医療機器として適正に開発・製造・販売するため、複数の薬事相談を行い、さらに第一種医療機器製造販売業許可を取得しました。2021年3月に治験届を提出、4月に臨床試験を開始し、製造販売承認取得に向け取り組んでいます。

医療機関開発 4つのステージと3つのゲート
        

日本医療研究開発機構「医療機器の研究開発マネジメントにおけるチェックポイント/ステージゲート」を基にFRONTEO作成

会話型 認知症診断支援AIプログラムの概要

      

人工知能「Concept Encoder」が、診療場面における医師や医療スタッフと患者との5~10分程度の日常会話のテキストデータを読み込み、発話内容・言葉の使用傾向などを解析して認知症のスクリーニングを行います。専門医に限らず広く一般医(家庭医)による使用や、遠隔診療などでの活用が可能です。

Concept EncoderのAI技術の強みと活用例

ベクトル型AIエンジンConcept Encoder

FRONTEOライフサイエンスAI事業本部が特に注力して研究開発している領域は、自然言語処理(Natural Language Processing: NLP)による「自然文解析(テキスト解析)」です。
ライフサイエンス分野でエビデンスに基づいたテキスト解析を行うには、テキストの特徴を数値化し、統計学的解析を可能にする必要があります。NLPにおけるテキスト情報の数値化には、「形態素(単語)解析:複数の文章間での単語の出現頻度を評価」「構文解析:文章の係り受けを評価し数値化」など、いくつかの手法があります。Concept Encoderは、形態素解析のうち、「単語と文書のベクトル化」の手法を用いて、テキストの特徴を数値化しています。「単語と文書のベクトル化」とは、自然文を単語に分解した後、単語と文書に対して多次元の変数を設定して最適化を行う手法です。

Concept Encoderの特長

Concept Encoderは、「単語と文書のベクトル化」により、解析の対象となる自然文からより多くの情報量を抽出できます。これは、文書の特徴をより多面的に捉えられることを意味します。また、「単語と文書のベクトル化」により数値化されたデータは、抽出された情報量を保ったまま、文書や単語間の類似性・関係性をさまざまな統計学的手法で解析できます。つまり、Concept Encoderは、対象のテキストデータを目的の統計解析に自在に適用できる、使い勝手の良いAIエンジンなのです。 Concept Encoderの応用例の中から、ここでは5つご紹介します。

1.文書間で比較ができる

図は”Word2Vec(word- to-vector)”と呼ばれる、自動翻訳などでも使用されている機械学習の手法の特徴です。 Word2Vecは、単語を要素によってベクトル表現化し(分散表現)、単語間の特徴を比較することができます。ベクトル型AIエンジンであるConcept Encoderも、この利点を備え持っています。Word2Vecで比較できるのは単語同士だけですが、「単語と文書のベクトル化」をおこなうConcept Encoderは、単語だけでなく、単語と文書全体を同時に比較できるという特長があります。Concept Encoderでは通常、分散表現を300~1,000次元として解析処理をしています。

2.ベクトル演算で、概念の演算ができる

Concept Encoderでは、ベクトルがその言葉の意味の範囲を含んでいるかのような挙動を示します。これは、Word2Vecでベクトル化した単語に対して見られる特徴の1つですが、Concept Encoderは、「単語と文書のベクトル化」処理により、単語に加えて文書もこの特徴を持ちます。そのため、単語や文書同士での「足し算」「引き算」や、「仲間はずれ検索」などが可能です。

3.言語の特徴分布もクラスタリングで評価が可能

Concept Encoderは、「仕分け」も得意としています。各分類に特異的な単語や文書をクラスタリングすることにより、効率よく仕分けができます。

4.個人の知識をトランスファーし、共有できる

Concept Encoderでは、知識のトランスファーも可能です。グループでお互いの知識を分かち合い使うことができるので、無駄なく効率よく研究開発を進めることができます。

5.アイデアを探索できる

Concept Encoderは、自由に記述した自身のアイデアの内容に類似した文書を探索することができます。PubMedなどから必要な文献を読み込み、自身の研究アイデアを自由記述でConcept Encoderに書き込むことにより、アイデアに関連した文献を、記述内容と類似度の高い順にリストアップすることができます。 さらに、文献の中から、重要と思われるキーワードの自動抽出も可能です。また、文章としての自動サマリ機能も現在研究開発中です。

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