アメリカでは今年だけで「電力インフラへの人的攻撃」が100件以上起きている
最近の変電所攻撃は「故意に停電を発生させるため」だと専門家たちは推定
真冬に故意に停電を発生させる意味
最近の米 NBC ニュースによれば、この 2022年のアメリカで、「変電所や送電網への攻撃が 106件発生している」のだそうです。
過去 9年間では 600件以上に及んでいるのだそうですが、今年が最も多いとのこと。
これまでは、これが事故なのか人為的なものか、はっきりとはしていなかったようなのですが、NBC ニュースが、米エネルギー省の公開レポートを分析したところ、
「人為的な破壊行為だと確認できた」
と報じています。
今年は特に攻撃が多く、8月までのデータで、すでに過去 9年間で最大となっています。
以前、アメリカで、「食料施設への攻撃」あるいは、原因不明の火災が相次いだことがありました。
[記事] 食料施設への不可解な攻撃が「世界中で起きている」ことが各国報道で判明。アメリカでは畜産管理アプリ経由での大規模なサイバー攻撃が発生…
In Deep 2022年5月1日
食料施設でや電力インフラ施設が次々と攻撃されるその具体的な目的や理由は不明ですが、最近、ノースカロライナ州で起きた変電所への攻撃では、4万5000人の人たちが、4日間、電気のない中で生活をせざるを得ませんでしたが、これについては、
「意図的に停電を起こすための攻撃である可能性が高い」
と専門家たちは述べています。
現在、アメリカには強い寒波が来ていまして、クリスマス頃にかけて、平年よりはるかに低い気温となっていくことが示されています。その中でも同じような攻撃による大規模な停電が発生した場合、多数の人命にかかわることにも発展しかねません。
アメリカの変電所への攻撃に関しての NBC ニュースの報道です。
ノースカロライナ州の変電所攻撃により、米国の送電網にセキュリティ上の懸念が生じている
North Carolina substation attack raises security concerns for U.S. electric grid
NBC NEWS 2022/12/08
NBC ニュースがエネルギー省の公開レポートを分析したところ、天候要因以外では、2014年以降の電気障害イベントの最大の原因は、送電網インフラへの物理的な攻撃の疑いがあることを確認した。
ノースカロライナ州の 2つの変電所に対する最近の攻撃により、数千人の電力が遮断されたことで、同州の送電網と多数の発電所のセキュリティ基準に関する懸念が生じている。
米国エネルギー省の公開したレポートの NBC ニュースによる分析によると、2014 年以来、電気障害イベントの最大の原因は、天候による要因以外では、送電網インフラへの物理的攻撃の疑いがあると確認されている。
報道によると、この 9年間で 600件近くの電気的緊急事態と障害が、送電網に対する物理的攻撃と破壊行為の疑いと確認によって引き起こされたことが示されている。
今年は、2022年 1月から 8月までに 106件の攻撃または破壊行為が発生しており、今年は攻撃数が 3桁に達した最初の年であり、しかも、これはまだ8か月分のデータしか含まれていない。
電力会社が連邦政府に自己報告したインシデントは、何が起こったのかについての詳細をほとんどまたはまったく提供していない。
しかし、専門家たちは、ノースカロライナ州で起こった事件は「停電を引き起こすことを目的とした計画的な攻撃」の可能性があると述べている。
トランプ政権時代に連邦エネルギー規制委員会(FERC)の議長を務めたニール・チャタジー氏は、以下のように述べる。
「非常に寒い冬の真っ只中にあるノースカロライナ州での停電の重要性を過小評価してはなりません。これは大きな問題です」
「私たちはこれを認識し、物理的なセキュリティとサイバーセキュリティを真剣に受け止めなければなりません。重要なエネルギーインフラを強化して保護するために、できることがあります」
停電は、ノースカロライナ州ムーア郡の 2つの変電所に対する意図的かつ協調的な攻撃であると当局が述べた後、デューク・エナジー社は、4万 5,000人の顧客が暗闇の中に放置された 4日後、ノースカロライナ州のすべての顧客に電力を回復させた。
ムーア郡のロニー・フィールズ保安官は、襲撃の動機は不明だと述べた。
攻撃に対応して、米エネルギー省の高官は、同機関が、エネルギー副長官のデビッド・ターク氏、電力企業全体からの30人のCEOたちとデューク・エナジー社の関係者たち、そして、FBI の関係者と捜査官、国土安全保障省、ホワイトハウス、国家安全保障会議を招集したと述べた。
彼らは攻撃について議論し、業界の幹部たちは警戒し、脅威と見なされる可能性のあるすべてのインシデントを報告するように伝えられた。
現在のセキュリティの基準は 2014年に採用され、電力会社はリスク、脅威、脆弱性の評価、および各ステーションの物理的なセキュリティ計画を作成する必要があり、そのすべてが第三者によって検証される必要がある。
しかし、この現在の標準がうまく機能するとは考えていない人たちも多い。
オバマ政権時代に、米国連邦エネルギー規制委員会の議長に任命されたジョン・ウェリンホフ氏は、現在のこの基準は「非常に曖昧」であり、「規範的ではない」と述べた。
2003年のアメリカ北東部での停電後、議会は 2005年のエネルギー政策法を可決した。この法律により、連邦規制当局は、国の送電網の信頼性基準を策定および実施するために「電力信頼性機関」に頼るようになった。
2006年以来、北米電気信頼性公社は信頼性基準の策定作業を監督してきたが、批評家たちは、このプロセスが事実上、業界が独自のルールを作成することを可能にし、エネルギー規制委員会から規制当局として機能する権限を奪ったと述べている。
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