乳幼児がいちばんの被害者だろう
1歳9か月の男の子を連れたお母さんが来院された。
「生後4か月時に乳児湿疹と言われました。ほら、これがそのときの写真です。背中が全体的に赤く腫れていますが、同じような腫れが全身にありました。
最初は母乳で育てていましたが、生後3か月過ぎた頃から出なくなって、粉ミルクだけになりました。そして生後4か月ほどで皮膚症状がひどくなってきて。
病院に行ったのは、医者の見立てが知りたかったからです。皮膚科医が「血液検査したいけど、この年齢では採血も難しい。見た感じとしては、乳児湿疹かな。でも単純ヘルペスの可能性もある」とのことでいろんな薬が処方されましたが、飲んでいません。
粉ミルクは先月から飲ませていません。チーズとかの乳製品も控えています。小麦粉もやめて、料理には米粉を使っています。
でもかゆみがひどくて、大変です。全身をかゆがって夜泣きしますし、常にかゆみが気になって集中力がないようです。
最近暑くなってきて汗もかきますし、皮膚が血だらけです。ステロイドは使いたくないけど、医者からステロイドの入ってないかゆみ止めが処方されていて、どうしようもないときはそれを使います。
予防接種は、よくないということは知っていましたが、どうしても断れなくて、3回だけ受けました」
小児の湿疹やアトピー性皮膚炎については、ワクチンの接種回数に比例してその発症率が上がることが分かっている。
しかし上記の患児の場合、もうひとつ別の要因があるように思われた。
生後3か月で母乳から粉ミルクに切り替わった。そこから1か月で生じた皮膚症状ということは、粉ミルクが原因の可能性を疑う。粉ミルクのメーカー、分かりますか?
「アイクレオです」
アイクレオの粉ミルクは遺伝子組み換え作物の原料を使っている。別に、企業秘密というわけではない。メーカーとして正式に公表している(ただし商品のパッケージには表記していない。タバコの箱にデカデカと『肺癌の原因です』と書いてあるように粉ミルクのパッケージに『発癌性のある遺伝子組み換え原料を使っています』と堂々と書くべきだろう)。
具体的には、粉ミルクに含まれる大豆、トウモロコシ、菜種が遺伝子組み換えである。
遺伝子組み換えトウモロコシ(ラウンドアップ耐性トウモロコシ)の摂取により発癌することが、マウス実験で明らかになっている。
赤ちゃんに発癌性のある遺伝子組み換え原料入りの粉ミルクを与えたとなれば、赤ちゃんの免疫系はこれを全力で排除しようとするだろう。皮膚症状はその苦闘の結果である。
毒物代謝系がしっかりしている成人であれば、肝臓や腎臓で毒物を処理し、うんこやおしっことして排出する。しかし代謝系の未熟な赤ちゃんは、肝臓や腎臓だけでは毒物の処理が追いつかない。そこで、皮膚から毒を出そうとする。そこで皮膚は「かゆみ」という信号を出し、ボリボリかく掻破によって毒物はようやく出口を得て、体外に出ていく。
かゆみは悪じゃない。体のまっとうな排毒症状であり、免疫が適切に機能している証拠なんだ。
生後3か月から1年以上にわたり、遺伝子組み換えミルクの摂取を続けた。患児の体へのダメージもさることながら、その事実を知ったときのお母さんの精神的ショックは相当なものだろう。
少し前に、僕はこのお母さんと同じ経験をした。だから気持ちが分かる。分かり過ぎて、胸が痛い。
こうちゃんも遺伝子組み換えミルクを飲んでいて、この子と同じような皮膚症状が出た。このときの経験については以前書いたことがある。
『粉ミルク(遺伝子組み換え)』
https://note.com/nakamuraclinic/n/n8a2cde45b2e3
悔しかった。赤ちゃんが、母乳以外で最初に口にしたものが遺伝子組み換えミルクだったなんて、最悪だ。なぜもっとしっかり調べなかったんだろう。今までこうちゃんが飲んだミルク、俺が代わりに飲んだことにしてやりたい。こうちゃんが受けた害、俺が全部引き受けたい。
悔しくて、どうしようもなくて、自分を責めたい。自分を責めたってどうにもならないことは分かっているけれど。
僕はこうちゃんを通じて、親であるということがどういうことか、ちょっとずつ分かってきました。
近所で鹿の生肉を冷凍したのが売っていて、僕はそれ、大好物なんです。前日に冷凍庫から出して解凍しておいて、包丁で細かく切って、ごま油と少しの塩をかけて食べる。ものすごくうまい。ロンとツモ(うちの犬)もこのうまさを知っていて、僕がこれを食べていると、ロンツモが頭をぐりぐり近づけてきて「ちょうだい!」と要求する。自分が食べながら、同時にロンツモにもちょっとずつやる。これ、僕の休日の楽しみなんです(笑)
あるとき、こうちゃんが僕の膝に乗って来て「それ、ちょうだい」という感じで催促するので、生肉の小さな切れ端を口にいれてやると、そのうまさに”開眼”した。「もっとちょうだい」というから、与え、さらに「もっと」「もっと」と食べていくうちに、僕は自分の取り分がすっかりなくなってしまった。
このとき僕がどんな気持ちだったか、みなさん想像がつきますか?父親の経験がある人は当然分かりますよね。もう、こんなにうれしいことって、ありません。
自分がおいしいと思うものを、この子もおいしいと思ってくれた。そして、ばくばくと食べてくれた。自分の取り分はなくなった。それでも全然かまわない。この子の「おいしい」は、僕の「おいしい」なんです。
逆に、この子の痛みは、僕の痛みになる。
ツモはまだ1歳半年くらいで、体的には成犬と変わらないけど、性格的にはまだまだ子供で、やんちゃでがさつ。あるとき、ツモが、こうちゃんのはいていたオムツを噛み破いて、中の吸水ポリマーが床にぶちまけられた。
こうちゃん、床でごそごそしていて、何をしているかと思ったら、吸水ポリマーを食べていた。「ああ!あかん!」と叫んで、すぐにこうちゃんの口に指つっこんで、口の中にあるポリマーをできるだけ掻き出した。どれぐらい食べたんだろう?胃腸でポリマーが水分を吸って、閉塞するリスクとか大丈夫だろうか?吐かせるべきか?それとも様子を見るべきか?すぐにネットを調べた。「認知症老人が誤って吸水ポリマーを食べる事例などは珍しいことではなく、ポリマーには特に毒性はないため経過観察でかまわない」といった記述を見つけ、ひとまず安心するが、やはり悔しい。わけのわからん化学物質を食べさせてしまった。自分の失策が悔しくて仕方ない。
「愛するということは、この世の中に自分の分身をひとつ持つことだ」と誰かの小説で読んだことがあるけど、そう、こうちゃんは僕の分身。もうひとつの僕なんだ。
世のお父さん、お母さんも、自分の子供に対して、僕と同じような感情を持っている。そう思えば、病気の我が子のために当院を訪れるお父さん、お母さんに対して、本気で向かい合わないといけないなと改めて思います。
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