収入の「70%」を持って行かれる…このまま社会保険料が「爆上がり」した先に待つ地獄
政府がそういうことをするとは国民は誰も思ってないだろうが・・・
増加し続ける社会保険料率
税金や社会保険料が年々重くなり、手取りは減っていく。国民がいかに搾取されているかは、数字の変化を見れば一目瞭然となる。
注目したいのは、国民の所得に占める税金や社会保険料の割合を示す「国民負担率」だ。1970年度に24.3%だった国民負担率は社会保障の負担増で上昇していき、1988年度には37.1%となった。
初めて40%を突破したのは2013年度のこと。2021年度には過去最高の48.1%を記録し、2022年度は47.5%となった。さらに2023年度は46.8%となる予想が示されており、「五公五民」が当たり前の状態になっていることがわかる。
なぜ国民の負担が重くなっていったのか。その原因は税金ではなく、社会保険料率の上昇にある。
医療や介護などの社会保障給付費は、2000年度に約78兆円だったが、現在は約131兆円(2022年度予算ベース)に達している。最近はやや伸びが鈍化しているが、団塊の世代が75歳以上となる2025年度以降、社会保障費の膨張は避けられない。
社会保障給付費の想定外の増加
社会保障費はどこまで膨らむのか。参考となるのは、2018年に公表された『2040年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)』だ。
この将来見通しでは、経済について「高成長」と「低成長」の2ケースで、社会保障給付費を推計した。経済成長率が1%程度の低成長ケースでは、2018年度で121.3兆円(対GDP比21.5%)だった社会保障給付費が、2025年度に約140兆円(対GDP比21.8%)、2040年度に約190兆円(対GDP比24%)まで増えると予測されている。
ところが、この試算を超えるスピードで社会保障給付費は膨張している。試算が示された翌年、2019年度の社会保障給付費は対前年2.5兆円増の123.9兆円となった。対GDP比でみれば22.1%で、早くも2025年度の予測値である21.8%を上回ってしまった。
この勢いが継続する前提で、2040年度までの社会保障給付費を予測すると、どうなるか。2095年度から2022年度までの平均成長率は0.35%だが、これより高い0.5%という成長率を前提に社会保障給付費の対GDP比を試算すると、2040年度の値は28%に急上昇する。増加分を社会保険料の引き上げで賄うなら、保険料を1.3倍にするしかない。そしてその多くは、現役世代の給与から引かれていくことになる。
小泉純一郎政権期では現役世代の負担増を抑制するため、2004年に年金改革を行い、厚生年金の保険料率の上限については18.3%に定めた。だが医療.介護保険の保険料率には切り込むことができず、現在も上限が存在しない。つまりカネが足りなければ、いくらでも保険料を上げることができてしまうのだ。
年金・医療・介護を合わせた社会保険料率は約30%という過去最高の水準に達したわけだが、この状況を放置すれば、35%を超える日もそう遠くないだろう。社会保障費の抑制や他の歳出削減をせず、増税も上乗せされれば、「六公四民」さらには「七公三民」となってもおかしくない。
国民負担率が上がっていけば、少子化がますます加速するのは間違いない。国民の負担を減らすことを本気で考えないと、この国の将来は危うい。
「週刊現代」2023年5月20日号より
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