「うわべだけのNATOの団結」はウクライナ紛争で崩壊した ― 米国の元国防総省職員

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ロシア情勢 戦争

「うわべだけのNATOの団結」はウクライナ紛争で崩壊した ― 米国の元国防総省職員

2年続いた戦争でウクライナは多くのものを失い西側諸国はこれ以上支援をすることをためらっている。

ロシア・ウクライナ戦争は1カ月後の2月24日には満2年となり、いよいよ3年目に入る。ウクライナ側はすでに人的資源や武器弾薬を使い果たし、これまでふんだんに支援を行い、ウクライナの生命線であった欧米各国は、今や、「ウクライナ疲れ」に陥り、支援の継続が危ぶまれている。西側の政治家やメデイアはそれぞれ異なる理由からそのことを認めたくはないようであるが、実質的にはウクライナの敗北だと言えるのではないか。現実を直視しない、この宙ぶらりんの状態は11月に予定されている米大統領選挙までは続くのかも知れない。

代理戦争の戦場となることを選んだウクライナでは、数多くの若者を戦死者として失い、停戦、あるいは、和平を模索しなければ、さらなる消耗を強いられ、国家は崩壊する。国家の基盤である国民の生命を守ろうとはしない時、国家は内部から崩壊する。夫や息子を失い、家屋は破壊され、何百万人もが、主として妻や子供たちが難民として国外へ逃れた。ウクライナの人口は急激に減少した。政治家が何らかの和平策を探らなければ、この趨勢は悪化の一途を辿ることだろう。歴史の中で今まで見てきた状況と同様な事態がまたもや繰り返され、最大級の苦難が一般庶民に課される。

ロシアとウクライナのどちらが勝者になろうとも、数多くの死者を出し、それでも戦争を継続しようとするのはもはや狂気そのものだ!

戦争を主導した政治家やその支持者たちはこの紛争から富を成して、停戦となった暁には国外へ逃避し、優雅な生活を送るのであろう。噂によれば、ゼレンスキーや彼の家族の米国への移住のための書類はすでに準備が完了しているという。

ダグラス・マックレガーの最新のコメントによると、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ウクライナ紛争が終わったら、「キプロスやイタリアの邸宅のひとつに、あるいは、フロリダに辿り着くだろう」と言い、「この紛争はすべてが詐欺であり、ウクライナ人は米国に搾取されている」と付け加えている。(原典:Ex-Pentagon Adviser Macgregor Says at Least 400 Americans Died in Ukraine: By Sputnik, Jan/25/2024

ところで、ここに「うわべだけのNATOの団結はウクライナ紛争で崩壊した ― 米国の元国防総省高官」と題された約1か月前の記事がある(注1)。

本日はこの記事を仮訳し、読者の皆さんと共有しようと思う。

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Photo-1: © KENZO TRIBOUILLARD

米国とその同盟国は、過去22ヶ月間、ウクライナにおける対ロ代理戦争に約2000億ドルにも相当する武器や現金を注ぎ込んできたが、多極化した世界秩序の台頭を加速させた以外にはその成果を示すものはほとんど何もない。

NATO加盟国間の結束のイメージと西側の兵器システムの優位性に関するあらゆる見せかけがウクライナの戦場で打ち砕かれたと元国務省高官のチャス・フリーマンが述べている。

「ブリンケン氏が何を言っているのか私には何も見えて来ない。何の成果も見当たらないからだ」とフリーマンはインタビューで述べ、キエフとNATO支援者の本年(2023年)における多くの「成功」に関して米国務長官が最近発言した内容に言及したのである。

「以前には存在していたNATOの結束といううわべにひびが入ったことを私は知っている。NATO加盟国はこの戦争を継続するという将来展望に、今や、公然と異議を唱えている。そして、もちろん、国際的な世界の多数派は、この戦いではもはや西側にあるのではなく、この戦いを傍観することを選択し、この戦いを欧米による戦争挑発と脅迫のもうひとつの事例として見ている」と元国防総省ならびに国務省で経験を有するベテラン高官が語っている。

「何を達成したのか?NATOの軍事力の信用を失墜させたのはロシアがNATOが持っている最高の兵器に対抗することを学んだからかも知れない。ロシアを弱体化させ、孤立化させるという西側の目標は全然は成功していない。ロシアは弱体化してはおらず、ロシア経済は成長し、ロシア産エネルギーへのアクセスの喪失によって引き起こされたエネルギー危機のために縮小したドイツ経済よりも大きくなった。ロシアは孤立してはいない。ロシアは東へ、南へ、中東へ、アフリカへと方向転換をした」とフリーマンは述べている。

「表明されていた目標は達成されてはおらず、ウクライナは壊滅的な打撃を受けている」と彼は強調し、この危機は1992年の人口約5100万人から2022年までに約3200万人に、そして、今日ではわずか2000万人にまでウクライナの人口崩壊を加速させるだけだったと指摘。

「ウクライナには仕事が見つからなかったので、人々は早くから移住した。そして、戦争が始まると、徴兵を逃れるため、あるいは、安全上の理由から移住し、彼らが戻ってくる気配はない」とフリーマンは述べ、紛争を関係者全員にとっては「大惨事」であると表現した。

ロ代理戦争ではキエフとその同盟国は敗北したとフリーマンは考えるが、欧米は「埋没コスト理論」、「何かに多額のお金を費やしたのだから、それをやめるわけにはいかない」といった考えのためにこの紛争に資源を注ぎ込み続けている。

「しかし、もしもあなたがやっていることが愚かで、逆効果だったら、それをもっと継続すれば、もっと多くの問題が蓄積されるだけである。何の解決にもならない」と彼は言う。

ウクライナ政府がさらに多くの兵士を動員する計画についても同じことが言える、とこの観察者は考えている。

「ウクライナ側の死傷者はおそらく40万人で、ロシア側の死傷者はもっと少ないだろう。ウクライナは首尾よく分割された。この状況は連邦制の下でドンバス地域をウクライナの一部として承認する筈であったミンスク合意とは異なる。ウクライナは同地域を取り戻してはいない。ゼレンスキーはさらに50万人の兵士を徴兵する必要があると述べている。ウクライナでは徴兵できる人は50万人もいない。現在、徴兵されている年齢は17歳から70歳までだ・・・。このような人たちには訓練は与えられない。だから、彼らは単に前線に押しやられ、殺されるだけだ。攻勢を始めたロシア軍は両軍間の前線で多くのウクライナ人を殺害し続ける。それだけではなく、実際にはさらに前進する見通しだ。むしろ、不気味なことには、プーチン氏の条件と目標は軟化するどころか、さらに硬化しているようにさえ見える」とフリーマンは警告した。

Photo-2:関連記事:Putin: There Will be Peace When Russia Achieves Military Op’s GoalsDec/14/2023

「彼はオデッサをロシアの都市として語っているが、これは彼がウクライナから黒海沿岸地域を奪う計画を示唆している。内陸国に閉じ込められ、切り捨てられたウクライナは、中立化しようがしまいが、ロシアがウクライナを封じ込めた。これは脅威だ」と同観察者は述べている。「歴史的には、もちろん、プーチン氏が正しい。オデッサはロシア人によって建設された都市であって、主にロシア語圏であった。そして、ウクライナ内戦の引き金となった虐殺のひとつはオデッサで起こり、ロシア語を話す人々がウクライナの民族主義的狂信者によって殺害された。だから、この発言はオデッサを占領するという脅しとして、あるいは、歴史的現実の認識として理解できる。どっちなのかは分からないが。」

結局のところ、「ウクライナは基本的にこの戦争に負けたという認識が米国では高まっている」とフリーマンは考えている。

Photo-3:関連記事:Kiev Still ‘Hunting Down’, Arresting Victims of 2014 Odessa Massacre And Relations, Says Witness: May/02/2022

「ウクライナの士気を高め、東欧におけるこの不幸に対する米国の支援を強化することを意図した勇敢な会談は、今や、厳しい現実に直面している。そして現実には、ウクライナは人員不足に陥っている。現在、ウクライナ軍の兵士の平均年齢は43歳。70歳で徴兵される人もいる。彼らには戦場で活躍するための体力やスタミナはない。ロシア側は妊娠中のウクライナ人女性兵士を捕らえたと話している。妊婦を軍隊に留めておくことになってしまったら、それはもう本当に終わりに近づいているのだ。だから、この戦争ではNATOや米国は勝ってはいないという現実が浸透し始めていると私には思える。ロシアが決定的に勝利したというわけではないが、ウクライナは負けたのだ」と米国防総省のベテラン高官であり元外交官が総括した。

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これで全文の仮訳が終了した。

いったい何が当事者を停戦、あるいは、和平へと向かわせるのだろうか。今の状況を見ていると、まったく予測ができない。ある出来事が起こった後で、その出来事の意味を理解し、政策に反映させるまでに6ヵ月はかかるとある識者が言っていたが、このロシア・ウクライナ戦争もその範疇に入るのだろうか?起こり得る事柄の中で、おそらく、最悪の事態は核兵器の使用であろう。ウクライナが自暴自棄になって核兵器の使用を考えたとしたら、現在、武器の供与を行っているNATO加盟国はどう対応するのだろうか?理性が狂気を駆逐してくれるのだろうか?不確定要素が極めて多いと思う。

すべては今秋の米大統領選まで待たなければならないのか?それまでに不測の事態が起こらないことを祈るばかりである。

参照:

1:‘Facade of NATO Unity’ Has Crumbled Over Ukraine – Ex-US Assistant Secretary of Defense: By Ilya Tsukanov, Sputnik, Dec/25/2023

マイコメント

ウクライナとロシアの戦争はもう決着がついたとみるべきだろう。
そして、それを認めたくないゼレンスキー大統領が窮地に追いやられ、戦争を終結させ
ざるを得ない事態を迎えるだろうと思います。

この戦争で衝撃的だったのは西側諸国やアメリカがウクライナを支援してもロシアが
ビクともしなかったことではないだろうか?

この戦争で多くの軍需兵器と資金を失ったのは欧米諸国であり、特に米国は今後世界を
またにかけて戦争を遂行する能力を当分の間持ちえないだろうと思われます。

そこで、経済的に追い詰められようとしている中国がどう動くかです。
やけっぱちになって世界を敵に回して戦争に赴くのかですが、いずれにしても世界は
今大きく疲弊しています。

コメント

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